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大手脱毛サロン倒産理由と今後脱毛サロンがやるべきこと

2022年、2023年と脱毛サロンの倒産ニュースが続き、多くの消費者が怒りと不安・失望を感じていることと思います。
エステティック業界に携わる方々においても今後のことを心配されている状況かと思います。

そこで、これまでの脱毛サロンの倒産状況と理由、これからどのようにしていくべきなのかをまとめてみましたので良かったらご覧いただければと存じます。

これまでの倒産状況

集計期間:2023年9月30日まで
集計対象:負債1000万円以上法的整理による倒産
調査機関:株式会社帝国データバンク

「脱毛サロン」の倒産が年内に入って急増している。エステ脱毛を中心とする「脱毛サロンの倒産は、2023年に9件判明した。既に前年累計の4件を大幅に上回って、年間で過去最多件数を更新したほか、初めて年間10件に到達する可能性がある。ただ、脱毛サービス終了の発表や水面下の私的整理、廃業といったケースを含めれば、実際はより多くの脱毛サロンが市場から淘汰されたとみられ、業界全体の苦境が鮮明となっている。
2023年の脱毛サロン倒産の特徴は、店舗を全国に複数展開し、回数無制限などを謳った通い放題のプランで会員数を拡大してきた中・大規模の企業で頻発している点があげられる。9月には女性専用の脱毛サロン・シースリーを展開していた「ビューティースリー」、男性専用の脱毛サロン・ウルフクリニックの経営に関与していた「TBI」など、大手の脱毛サロンが相次ぎ経営破綻し、通い放題プランを購入した会員などを中心に延べ約5万人が影響を受ける事態となった。

主な倒産、閉店、事業譲渡サロン一覧

2007年 エピドール(倒産)
    ビューティーネプチューン(倒産)
    銀座ビューティークリニカル(倒産)
2009年 FRIGG(倒産)
2013年 Pure(倒産)
2015年 ミュゼ(事業譲渡)
2017年 エターナルラビリンス(倒産)
2020年 ミュゼ(事業譲渡)
2021年 ストラッシュ(事業譲渡)
2022年 脱毛ラボ(倒産)
    SASALA(事業譲渡)
    TEGOSHI BEAUTY SALON(閉店)
    Am salon(閉店)
2023年 ミュゼ(株式譲渡)
    シースリー(倒産)
    銀座カラー(倒産) 

2019年以下も脱毛サロンの倒産はあったが、コロナが明けた2022年移行、閉店や倒産ラッシュが続いている状況がおわかりいただけると思います。

なぜ脱毛サロンは倒産するのか?

では、なぜここにきて脱毛サロンの倒産が相次いでいるのか?
その原因について考察してみましょう。

①参入障壁の低さによる競争激化

エステティック業界は資格がいらない業界です。エステの3大メニューであるフェイシャル・痩身・脱毛の中でも脱毛はマシンが結果を出してくれるので一番技術を必要としないメニューになります。

教育に時間がかからないこともあり、トータルビューティー化の波の中で導入の第一選択肢として脱毛が選ばれ、エステサロンだけではなくヘアサロン・ネイルサロン・アイラッシュサロン・整体院・整骨院など多くのサロンで脱毛が導入されています。

また、コロナ過の支援である事業再構築補助金の影響で、異業種から美容業に参入する企業も多く、より競争が激化している状況です。
安価な中国製脱毛機の増加により、導入しやすくなったことも一因に上げられます。

②価格競争の激化

脱毛の低年齢化や介護脱毛、メンズ脱毛需要の増加に伴い、脱毛を希望する顧客が増えているのも事実ですが、それ以上に脱毛メニューを提供するお店が増えたことにより他店と差別化をすることが必要となりました。
カウンセリング力や技術、能力の高い脱毛機などで差別化を図るサロンは一握りで、多くのサロンは一番簡単な「価格を下げる」という選択肢を選んでしまった結果、どんどん価格競争が始まり、サロンの利益を圧迫していきました。

③広告費の高騰

脱毛は終わりのあるメニューです。毛がなくなればお客様は来なくなります。
そのため常に新規顧客を獲得する必要があります。
上記のように価格競争も激しくなり、なんとかして新規顧客を集客しなければサロンを存続することが難しくなります。
特に大手脱毛サロンは競争に勝つために、広告に有名タレントを起用したり、TVCMやアフィリエイト、リスティング、ラッピングバスなどあらゆる広告手段を講じていきます。

広告を出稿する企業が増えれば増えるほど、当然広告費用も高騰していきます。
広告媒体にもよりますが、1名のお客様をサロンに集客するために必要な費用(CPA)はおよそ3~5万円、お客様の契約率はだいたい30%です。つまり顧客成約するために必要な広告費は10~15万ほどになるということです。
1年6回¥98,000の契約獲得では当然赤字ですし、30万円の契約を獲得したとしても広告費が占める割合が30~50%になってしまっては異常に高いです。適正な広告宣伝費は高くてもせいぜい15~20%程度でしょう。

④永久保証による予約圧迫

契約率を上げるためには価格はもちろんですがサービスも充実させる必要があります。
大手脱毛サロンでは「永久保証」や「通いたい放題」などを契約内容に盛り込むところが多くなっていきました。そこまで差別化しないと契約が取れないからです。
ただ、これが非常にまずい。
事業を継続、繁栄させるためには新規顧客の売上が必要になります。
契約に対しての役務消化が終わったお客様が永久保証や通いたい放題の権利を行使したらどうなるでしょう??
新規顧客の予約枠がどんどん減っていきますよね。
当然サロン側とすれば、高額契約をしてくださったお客様や新規顧客の予約を優先します。
役務消化が終わったお客様の優先順位は下がります。
そうなるとどうなるか?
「全然予約が取れない!!!」となるわけです。
今はSNS時代なのであっという間にこのクレームが拡散されサロンの評判が悪くなっていきます。
役務消化が終わっていないお客様でも予約が取れない状況が続いた場合は「解約」を選択される場合もあり、サロンは返金をしなければならなくなります。
そうなるとさらに財政面を圧迫していくことになります。

⑤人件費の高騰と人材難

働く側のスタッフの問題も多くあります。
コロナ過で営業時間が限られたことにより雇用の解消後、人が戻ってきていないことや、コロナ以降は対面での仕事に対する恐怖感が拭えず、サロンスタッフとして働くことを辞めた人も多いです。
残ったスタッフの業務量も多く、疲弊して辞めてしまうケースもあります。
当然、働き手の募集も給料を高くしないと求職者が来ない状況になり、人材難かつ人件費の高騰という厳しい状況もサロン運営に影響が出ています。

クリニックなら安心なのか?

このように脱毛サロンの倒産が続く状況の中で、
「脱毛サロンで脱毛なんて情弱」「クリニック1択!」「脱毛するなら医療脱毛」などネットでも医療脱毛のニーズが高まっている印象があります。
では、医療脱毛なら安心・安全なのでしょうか?

主なクリニックの閉院・倒産状況

2007年 エクセルビューティークリニック(倒産)
2010年 神奈川クリニック(倒産)
2012年 菅谷クリニック(閉院)
2022年 TWEEDIA CLINIC(閉院)
     東京ディアークリニック(閉院・偽物使用)
2023年 ウルフクリニック(倒産)
     某クリニック(倒産間近?)

ここに記載はないですが、個人経営のクリニックは相当数閉院しています、、、、。

医療脱毛なら安心の闇

10数年前に比べ美容クリニックも乱立しており、競争が非常に激しくなっております。
基本的にやっていることはエステティック業界と同じなので、医療だから絶対に安心というわけではありません。

新規集客獲得のための広告予算もかなり増やしています。TVCMも増えましたし、特にインフルエンサー広告、アフィリエイト広告が非常に多くなった印象です。

形成外科や皮膚科の専門医のキャリアをもたないドクターの美容医療への参入が続いており、過当競争による質の低下が起こり続けています。
そのため火傷や皮膚トラブルもエステ同様起きておりますし、上記の東京ディアークリニックのように、ソプラノチタニウム使用を謳っておきながら、実は偽物の中国製を使用していることがバレて炎上したケースもございます。

美容医療=儲けビジネス=金の亡者という先生もいるとか、、、。

記憶にも新しいウルフクリニックも、やはり集客の為に契約金額を安くして、広告を強化していましたが、採算が合わなくなって最終的に倒産してしまいました。

国家資格だし、なんとなく「医者」や「医療」という言葉には権威的なブランド力があるため安心であるという錯覚に陥りやすくなります。
当然、クリニックもその安心材料を利用して集客を強化しています。

ここまで読んで頂いた方には、それが「幻」であるということはもうお分かりかと思います。エステティックサロンであってもクリニックであっても正しい経営をしているところを探すようにしなければなりません。

脱毛サロン競争を勝ち抜くためには

ではこれからの脱毛サロンにどのような経営が求められるのでしょうか?

①継続的な新規集客

google広告やFacebook広告などのインターネット広告、HPBを始めとしたポータルサイトなど、お金で解決できる広告は非常にコストが上がっておりますし競争が激しいです。
そのため、いかにお金をかけずに集客をするかが重要なポイントとなってきます。

サロンと相性の良いgoogleマイプロフィールやInstagramを活用して自店の差別化ポイントをしっかりと訴求することが大事です。

安さをウリにするのではなく、他のサロンにはない独自の強みやこだわりにより得られる効果や満足感をウリにします。
そのためにはもちろん勉強や努力をすることも必要です。
その結果が顧客からの信頼となり、紹介として広がっていきます。

SNSについてもはや欠かせない集客ツールの一つです。
今もし広告での新規集客が上手にできていないのであれば、ここに着手をすべきだと思います。苦手だから、、、を言い訳にしていると未来は変わりません。

「楽して儲ける」という考えのオーナーサロンにはお客様はついてきませんから。

②信用回復のための都度払い

エステティック業界の特徴の一つでもある前受け金に対する信用不安がかなり大きくなっています。

青汁王子こと三崎優太氏も、「銀座カラーが破産して、お金が返ってこないって問題になってますが、こんなの自転車操業だし、詐欺同然だろ。高額な先払いって、本当に危ないって改めて感じる。人の人生を狂わせるよ。このロクでもない先払い商法はホストの売掛と同様に禁止にすべきだろ。」とXにて投稿されています。

本来、一括でお支払い頂いた前受け金は預かり金です。
役務提供した分だけ売上として計上すべきものです。しかしながら大手脱毛サロンはこの前受け金を活用し事業展開をしてきました。
だから新規集客ができなくなったり、返金騒ぎが起きると一気に資金繰りが悪化するのです。

この信用不安を脱却するためには、やはり「都度払い」という明朗会計をせざるを得ないです。
都度払いではリピート率に影響が、、、と思われる方も多いかと思います。
確かに影響は少なからずあると思います。
ただ、しっかりと効果の高い信頼できる脱毛機を使用し、顧客からの信頼を獲得できていれば必ずリピートはしてもらえます!

③適正価格と確かな結果の提供

前述のように顧客からの信頼があれば、客離れは起きませんし、喜んでサロンに来てもらえます。信頼を獲得するためには
・安すぎない適正価格
・価格に対して満足度の高いサービスレベル
・確かな結果
が必要だと思います。

 ▶安すぎない適正価格
もはやこの状況になると安すぎる価格設定には裏があると思われます。
 ・安い中国製の脱毛機を使用しているのではないか?
 ・中古でまともに整備していないものではないのか?
 ・サービスに自信がないのではないか?

など不安要素の方が大きくなります。
サロンも利益を得ないと存続ができません。無理して潰れる方がお客様に迷惑がかかります。

 ▶価格に対して満足度の高いサービスレベル
適正価格の設定ができたら、その金額に対してちょっとでもお得だな!と思ってもらえるサービスレベルを目指しましょう!

人は「事前期待」に対して「事後評価」が高ければ満足感が高くなります。
逆に事前期待を下回れば、不満やクレームに繋がります。

どうすればお客様の期待を上回れるか?これを常に考えて行動すれば必ず良い結果になると思います。

 ▶確かな結果
脱毛機における確かな結果は、マシンに依存するところが大きいです。

ここ最近は、どう考えてもあり得ない理論・理屈を展開しているメーカーも目立ちます。
波長やパルス幅、出力などマシンの仕組みを理解し、正しい知識を身につけ、正しい脱毛機を選択することが重要です。

出力が高ければ良いというものでもありません。
出力が高い=トラブルリスクも高い ということも頭に入れておかなければなりません。

もちろん、お肌の見極める能力を向上させることも結果を左右しますので、現場で様々なお客様のお肌に触れることで経験値を高める必要があります。

まとめ

ここまで記載したように脱毛業界には多くの課題がございます。
広告費の高騰、人件費の増加、人材難、ゼロゼロ融資の返済も始まり、サロン事業者に取って厳しい状況はしばらく続くと思います。

おそらくこれからも脱毛サロン・脱毛クリニックの倒産は出てくるでしょう。

このようなニュースばかりがピックアップされることもあり、特にエステティックサロンは斜めから見られる傾向にあります。

自店の利益ばかりを求めるサロンが増えれば増えるほど業界は荒れていきます。
最近のメンズサロンのエロ広告は本当にひどいです。

今後美容業界が発展していくためには、業界全体でこの問題に取り組む必要性があると感じています。

美容には「人の未来」をプラスに変えられる力があると信じています!
その一助になれるよう今後も頑張って行きたいと思います。


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