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政府はフリーマネーに注意せよ(The Economist 2020年7月23日版)

The Economist 2020年7月23日版から、「Macroeconomics~Governments must beware the lure of free money~」の記事を取り上げてみたい。内容は「マクロ経済学で、政府に対するフリーマネーの注意」についてだ。

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コロナウイルスによるパンデミックでの問題の1つが、経済の衰退だ。

厳しいロックダウンなどによって経済活動をストップさせた結果、多くの国において苦しい経済状況に直面している。

コロナウイルスの特効薬やワクチンがない今、我々は健康を考えて身を守る必要がある。しかし、同時に経済を回すということも意識しなければならない。

そこで重要になってくるのが、政府であるし、中央銀行であるし、企業でもあると思う。

この記事には直接言及されていないが、企業がこのコロナウイルスを機会と捉え、どれだけのイノベーションを起こせるかということもとても大切だと感じる。

重要英単語と基本概念の整理

■重要単語
・heretical(異端の)
・epoch(新時代)
・wade into(~を激しく攻撃する)
・accommodative(緩和)
・magical(魅惑的な)
・dial down(~を控えめにする)
・bail out(経済援助)
・subdue(~を支配する)
・infinite(無限の)
・delegate(~を任せる)
・multilateral(多国間の)

■基本概念
・monetarism(マネタリズム)
政府の裁量による財政政策や金融政策の有効性を主張するケインズ経済学を批判。市場のはたらきを信頼し、貨幣供給の固定化を提唱している。

・monetary policy(金融政策)
中央銀行が行う金融面からの経済政策のこと。

・fiscal policy(財政政策)
国の財政の歳入と歳出を通して、総需要を管理して、経済に影響を及ぼす政策のこと。

記事の簡単な要約

コロナウイルスのパンデミックによって、新しい金融時代が始まった。

過去にも、時代ごとに大きな経済の変化が起こってきた。例えば、1990年に中央銀行は独立がある。

現在、私たちはこの大きな経済変革のなかで、「政府が経済と金融市場に大きく介入する」ことによって発生するリスクをしっかりと考えなければならない。

まず、新しい経済変革について考える。4つのことが言える。
①莫大な政府の借入
IMFによれば、裕福な国において、合算したGDPの17%を借入している。実際の金額は、4.2兆ドルにのぼる。
②準備金
アメリカ、イギリス、EU、日本などの企業や地域の中央銀行は、新しい準備金(3.7兆ドル)を用意した。その結果、公債発行が増加しても、長期金利は低いままという現象が起きている。
③FRBと財務省の金融市場への介入
FRBと財務省は主要企業の債券を購入し、さまざまな業界に直接融資している。その結果、FRBと財務省は巨額の借金を抱えている。
④低インフレ
公的債務は低インフレを解決することはできない。中央銀行は巨額の借金を抱えて、準備金を生み出している。

このような状況の中で、我々は「経済状況が正常に戻ることはない」ということを認識すべきである。

仮にこのような状況が長く続くようであれば、政府の赤字と紙幣の大量供給は何十年もの間、政策決定の標準ツールになる可能性が非常に高い。

また、政治の経済への影響ということもしっかり考慮しなければならない。政治は経済活動に影響を与える強い力を持っている。
たとえば、政治家は、どの企業が減税を受けるか、どの労働者が州から支払われるべきかを決定している。

政治家は票を獲得するために、つぶれそうな企業を救い、仕事がない人に仕事を与えようとする。これによって、ゾンビ企業が生まれたり、公平な経済活動が行われなかったりする可能性もある。

まさに中央銀行は、政府の借金を管理する使用人のようなものになっているのだ。もちろんこれは、中央銀行の本来の役割ではない。

エディターの結論として、テクノクラート(技術官僚)がもっと財政を管理すべきだと主張する。
さらに、金融分野ではフィンテックやデジタル決済のようにデジタルトランスフォーメーションが必要だと述べている。

自身の見解

真剣に経済のことを考えなければならない時代がきたと感じる。

コロナウイルスのパンデミックによって経済が回らなくなることで、餓死をする人や失業によって自殺する人も相当な数になるだろう。

個人的な意見としては、今こそ日本企業にはイノベーションが求められるということを強く考えたい。

コロナウイルスのパンデミックが起こる前に戻ることをただ待っている企業は、これから淘汰されていくだろう。

コロナウイルスが我々に問いかけたことを考え抜き、環境に適応する形で我々が新しい時代のビジネスを創造していかなければならないのだ。

おわりに

いつもThe Economistの記事は難解だが、今回は特に。

ただ、経済についてしっかり考える良い機会になった。

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