Vtuberと音楽


先日、Vtuber界の親分ことキズナアイ氏の活動休止のニュースが飛び込んできた。
にじさんじ、ホロライブなど箱と呼ばれるグループ形式のVtuberが昨今珍しくないが、それ以前、個人活動が盛んだった頃の先駆者(と言ってもActiv8という企業の生まれではあるが)としてキズナアイは正にVtuberの象徴と言っていい存在である。

そんな彼女の活動が盛り上がりを見せていた頃、界隈は今とは全く様相が違っていた。先に述べたように個人活動、とりわけ個人勢とよばれるクリエイターとしての側面の強い人々が視聴者を魅了する時代だった。
ある者は3Dグラフィックの可能性を求め、ある者はゲームクリエイトの未来を語り、ある者は自ら生み出した世界観を最大限に表現し、またある者は誰もがなりたい者になれる時代が来ると語りその身で証明してみせていた。
そんな中、音楽に関するバーチャルクリエイターたちも着々と根を伸ばしていた。
今回はVtuber界隈における象徴的な音楽を古今を問わずに載せてゆこうと思う。

AIAIAI(feat.中田ヤスタカ)

中田ヤスタカ氏といえばポップ音楽カルチャーを嗜む者で知らぬ者はいない大御所である。
perfume、きゃりーぱみゅぱみゅ等々…時代を象徴するアーティストに携わる彼とキズナアイとのコラボはある意味必然だったのかもしれない。

ハイカラ浪漫

作曲系Vtuberの中堅、ミディ氏の作品。
発表当時界隈でブームになり、歌ってみたが多く投稿された。
VtuberがVtuberの曲を歌うという流れはここから始まったと言ってもいいかもしれない。

グミ超うめぇ

個人勢の中でも今や名物コンビぽんぽこ&ピーナッツくん、その礎を築き上げた兄ぽこ(ピーナッツくんのご主人様であり、ぽんぽこの兄である)の世界観が爆発したこのリリックは引き込まれるが、実の所本当にグミが美味しいとしか言ってない怪作である。
チャンチョとぽんぽこが歌う「幽体離脱」もまた違った切り口でお薦め。

※下ネタ注意

ミッドナイト・ファイティングブリーフ

ポエムコアとはBOOL氏(ミソシタをプロデュース(?)したのも彼である)が提唱する比較的新しい音楽ジャンルである。説明が難しいので一聴するのが早いが下ネタ成分が多いので注意されたし。
Vtuber黎明期においてこのような作品も受け入れられていた。正にクリエイティビティの氾濫と混沌の時代を象徴する作品である。

※下ネタ終了

【Cover】なんでもないや

富士葵女史は表現を恐れずに言うと当時、存在感を放っていた芋っぽい系Vtuberの一人だった。これは技術的な問題でありグラフィックの進歩が進んだ今となってはあまり見かけない話である。
そんなかつての彼女の歌ってみた動画は実はかなり衝撃的な出来事だった。いわゆるギャップ萌えである。
歌うま系Vtuberは今となっては多くいるがその走りが彼女である。

プラチナ 歌ってみた
富士葵がYouTuberとしての活動を展開していたのに対し、YuNiは初めからVシンガーとして活動を始めた存在である。
彼女の魅力は歌唱も勿論なのだが、高クオリティの映像表現にもある。3Dモデルがぐるぐると縦横無尽に動き回るMVは当時の視聴者を圧倒した。
透明声彩と花は幻は一度見る事をお勧めする。

フォニイ / 花譜 feat.可不

花譜も上記のYuNiの系譜を辿るVシンガーだが、最近になってボカロ化を果たしそのもう一人の可不がボカロ界隈で破竹の勢いで人気を獲得している。
ツミキ氏が手がけたフォニイが主なその人気の起点であるが、それを元ネタである花譜本人がもう一人の自分と歌うというのはヴァーチュアルならではの現象である。

月の兎はヴァーチュアルの夢をみる

最後に紹介するのはにじさんじの象徴と言ってもいい有名な学級委員長(?)月ノ美兎のアルバム。
上記のミソシタにも言える話だがVtuberとサブカルは切っても切り離せない関係だ。しかしVtuberの人気拡大に伴いその空気感は失いつつある。それは界隈の発展からしたら喜ばしいことでもあり、同時に昔から親しんできた身としては少しの寂しさを感じさせる事でもある。
そんな中、月ノ美兎女史の発表したこのアルバムはサブカルというものを俯瞰的に見つつその空気感を圧縮し一つに納めている。
今一度かつてのV界隈を思い返しつつまさかのMoonに泣く、そんな作品集である。名盤。


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