短いエッセイ/満たすあなた
子どもを育てていると時々、子どもの成長に「ああ、いいなあ」と思う瞬間がやってくる。
娘と2人で、お風呂に入っているときのこと。
私が髪を洗っている間、隣にいる2歳の娘はマットの上に水遊び用のおもちゃ一式を広げて、忙しそうにしている。
真剣な顔。洗面器にたまったお湯を丸いスコップですくい出しては、取手がついた別の容器に一生懸命注いでいる。
洗面器のお湯はみるみる減って、私がシャンプーを流し終わるころ、とうとう注ぎ先の容器のお湯はいっぱいになった。
ああそうか、と思った。
この子は、満たすことを覚えたんだ。
この子が毎日を生きてゆく中で、満たすことはきっと、けっこう大事だったりする。
お湯を満たす。お腹を満たす。心を満たす。
自分で自分の何かを満たせる人は、たぶん本当の意味で強い人。自分もそうでありたいし、娘もそうであればいいと思う。
この先の人生に、幸多きことを祈る。
丁寧に丁寧に、お湯を満たすあなたに。
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筆が遅い私、短いエッセイを始めてみました。
今後も短いものをちょくちょく書いていこうと思います。
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