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ぼくが読んだサッカー本

試合がないので書くネタも中々ないのですが、書かないと鈍る一方なので、気まぐれにでも何かしら書いていきます。今回は今までに読んできて個人的にいいな、と思ったサッカー本を紹介していきます。電子書籍ですぐ買えるものも少なくないので、参考になれば幸いです。

鹿島アントラーズ関連

常勝ファミリー・鹿島の流儀

決して過去のことを知らないからどうこう言うつもりもないし、言われることもないと思うが、今の鹿島になっていくまでの成り立ちは知っておいて損はないというのが個人的な考えだ。この一冊では強化部長の鈴木満さんの視点で2008年までのクラブ史が振り返られている。興味深いエピソードも多いので、取っつきやすいと思う。

オズワルド・オリヴェイラ自伝―風のおもむくままに

鹿島の歴代監督で在任時にきちんとした自伝を残しているのはオリヴェイラくらいだろう。鹿島の監督に就任する前から、鹿島での2007~2009シーズンというリーグ三連覇を果たした年のことがオリヴェイラ目線で振り返られている。

僕は自分が見たことしか信じない

鹿島は監督の自伝も少ないが、選手の自伝も多くはない。そんな中で唯一と言っていいほど複数も出しているのがこの男だ。単行本の方ではセクシーショットもあったが、こちらの文庫本ではそちらをカットして、彼の心情や考え方が多く綴られている。鹿島が残留争いをしていた時のことについて触れた文章からは圧倒的漢気を感じるので、ここだけでも読んで欲しい。

世界一に迫った日 鹿島アントラーズクラブW杯激闘録

2015年夏から2018年末までの鹿島が番記者の田中滋さんの視点から書かれている一冊。CWCの部分は結果論ベースで書かれているので若干美化されている部分がなくもないが、そこを差し引いても当時のクラブの歴史を振り返るには理想的なものだろう。ファブリシオのエピソードが個人的には笑える。

血を繋げる。 勝利の本質を知る、アントラーズの真髄

強化部長の満さんの初めての自著。『常勝ファミリー・鹿島の流儀』ではエピソードがベースとなった構成だったが、ここでは本人の考え方がベースとなっている。フロントとしての戦略を窺い知るには読んで損はない一冊だ。

内田篤人 悲痛と希望の3144日

前述した『僕は自分が見たことしか信じない』ではブラジルW杯前までについて書かれているが、本書で書かれているのはブラジルW杯以降、内田篤人がケガに苦しむことが多くなった時期のことだ。苦しみながらももがく姿が描かれているのは重いが、読む価値のある一冊だ。鹿島関連では知られていなかったエピソードもいくつか登場している。

他チーム

通訳日記 ザックジャパン1397日の記録

日本代表を率いていたアルベルト・ザッケローニ元監督の通訳を務めていた矢野大輔さんの著書。ザッケローニが代表を率いた4年間のことが日記形式で綴られており、そこからは各々の苦心ぶりが窺えるし、ザッケローニが個々やチームに求めていたことも書かれており、内容量の多い一冊だ。

ペップ・シティ スーパーチームの設計図

今、世界トップレベルに位置するマンチェスター・シティを選手や監督、コーチ陣、フロント、裏方とそれぞれの目線から得た情報を基に書いている。面白いエピソードも多く、読み終えた頃にはシティというチームに愛着がわいていてもおかしくない。Amazon prime videoで見られる『オール・オア・ナッシング』の視聴と併せて読んで欲しい一冊だ。

戦術系

footballista 2019年 05月号

まず、紹介するのはfootballistaのゲームモデル特集。昨今の流行となっている「ゲームモデル」とはなんぞや?という部分の取っ掛かりには一番いいのでは。最初の解説で概要を掴み、後に具体例を提示することで読者もイメージしやすくなっている。

モダンサッカーの教科書 イタリア新世代コーチが教える未来のサッカー

文字通り現代サッカーの「教科書」とも言える一冊。ただ、ある程度知識を持っている人向けの内容なので、初手でこれを読むよりは先に紹介したfootballistaを読んでからの方が内容が入ってきやすいのでは。ここで書かれているフレームワークの考え方は自分もレビューの時に取り入れている。

欧州サッカーの新解釈。ポジショナルプレーのすべて

footbalistaで概念を学び、『モダンサッカーの教科書』で基礎部分を固めた上での実践編とも言える一冊だ。戦術部分で頻出する単語の概説をおさえつつ、具体例を挙げてそれらのプレーの解説がなされている。ここまでの流れが理解できれば、戦術系の文章に対する苦手意識は消えていることだろう。

フットボール戦術批評

この雑誌では主に欧州のトップレベルで戦うチームの数々が現在どんな戦い方をしているのかという観点で解説されている。チームごとに戦い方を変えているのが明らかになるし、これを読んだか読まないかで試合を見た時にプレー選択の理解度が変わってくることは間違いない。

footballista 2020年 3月号

戦術系で最後に紹介するのはfootballistaの「戦ピリ」特集だ。この一冊ではここまで紹介してきた書籍が触れてきた現代サッカーの潮流や戦い方の部分を、どうチームにトレーニングの中で効果的に落とし込むかという部分がフォーカスされている。練習にどんな意図が込められているのか、それを把握するのに効果的な一冊だ。

小説

龍時

無名の高校生が単身スペインへと渡り、やがてリーガ、そして五輪代表で奮闘する姿を描いた全三部作だ。日本と世界とのギャップ、孤独との戦いなど様々な難題と向きあうその描写は読みごたえ十分だ。主人公が所属するリーガのチームがレアル・ベティスというのも中々エモい。三部では曽ヶ端準も出てくる。

ディス・イズ・ザ・デイ

津村記久子さんを初めて知ったのはこの作品だが、今ではその作風の虜になっている。描かれるのは二部リーグの最終節。それぞれのチームのサポーター(とも言えない距離感の人物も登場する)がそれぞれの事情を抱えながらも目の前で起こる試合を通して、生きがいや喜びを得ていく連作の短編だ。とにかくサポーター個々の描写がリアルなので、サッカー好きな人は共感できる部分も多いはず。


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