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【GK&DF編】2023鹿島アントラーズ前半戦選手別通信簿

GK

クォン・スンテ

出場なし

ポジションを失った状態でスタートした今季はここまでケガの影響もあって、公式戦のベンチ入りがゼロ。すでに復帰していて、相変わらずのいい兄貴分ぶりを見せており、期待されたパク・ウィジョンの育成の役割もこなしているが、昨季のパフォーマンスを見る限りこのままピッチに立たせないのはどうももったいない気はするところ。

早川友基

リーグ:17試合(17試合先発)出場16失点

昨季終盤に掴んだポジションを離さず、今季は正GKとして君臨している。その中で、失点数が試合数を下回り、完封試合も半分以上の9試合を記録しているのは評価されていいだろう。守備が安定してからはそもそも早川のところで仕事をあまり求められていないのもあるが、アウェイ浦和戦のように終了間際のビッグセーブでチームに勝点をもたらせるようにもなってきた。追い込まれても質の高いミドルパスで局面を変えられるのも大きく、またその精度ももっと高められるし、逆にハイボールやカウンター時などの判断の質には課題があるが、逆にそれが伸びしろとも言える。

沖悠哉

ルヴァン:6試合(6試合先発)出場4失点
天皇杯:1試合(1試合先発)出場0失点

今季は開幕からずっと第2GKとしてカップ戦のピッチに立ち続けてきた。正直、早川との差はそこまでなく、むしろシュートストップだけなら沖の方が上かもしれない。それでも立ち位置が変わらない理由としては、チーム状態が悪い時に存在感を発揮できなかったことと、プレッシャーを受けた時のキックの質だろう。沖もキックの質自体は高いが、相手に寄せられると途端に雑になってしまうし、判断も怪しいところはある。早川がキック一発で局面をひっくり返している部分を見ると、そこが沖に足りない部分かもしれない。

パク・ウィジョン

出場なし

ルーキーイヤーの今季はここまで出番がなく、鍛錬の日々を送っている。来日当初はコーチングしようにも言葉が出てこなかったが、そうした部分でも確実に成長を遂げている。今季はまだでも、来季以降のどこかで試合に絡んでくることを期待したい。

DF

安西幸輝

リーグ:16試合(16試合先発)出場4アシスト
ルヴァン:5試合(2試合先発)出場

今季はコンディションがいいのだろう、ドリブルのキレも仕掛けの精度も昨季とは段違いだ。その結果として、すでにアシストは4とJ1でのキャリアハイを更新している。守備でも後手に回ると脆さを見せる部分こそあるものの、チーム全体として安定してきていて安西へのフォロー体制も整っているため、そこまでボロを出すことなくプレーできている。このコンディションをこの先も継続して、シュートやクロスの質を上げて数字を伸ばせれば、チームにとって大きな左の矢になってくれるだろう。

昌子源

リーグ:10試合(4試合先発)出場
ルヴァン:3試合(3試合先発)出場
天皇杯:1試合(1試合先発)出場

始動早々のケガで出遅れたものの、復帰後はレギュラーとしてプレー。しかし、そこでチームが状態を落とすと関川にレギュラーを奪われ、現在はCB3番手に甘んじている。相変わらず味方を動かすプレーについては一日の長があるし、プレーぶりもそこまで悪いものではない。しかし、全盛期に比べると明らかに身体のキレが落ちており、それを経験則と「昌子源」という格でなんとかごまかしている部分があるのも事実であり、相手にガツガツ来られるとしんどそうなのは否めない。また、組み立てでも関川より貢献度が低いため、そのあたりで序列が下がってしまうのだろう。ただ、シーズンのどこかで昌子を必要とする時は必ず来るはずなので、その時までコンディションを上げ、機会を窺いたい。

関川郁万

リーグ:13試合(13試合先発)出場1ゴール
ルヴァン:4試合(3試合先発)出場

昌子の復帰直後はポジションを奪われたが、その後レギュラーを奪回。そこからチームが上り調子になり、その座を不動のものにしつつある。軽いミスがなくなったわけではないが、地上戦でも空中戦でも対人の強さを見せ、カバーリング能力も向上。植田と鉄壁の守備陣を築いている。また、組み立てにおいても貢献度は高く、左右両足から精度が高くスピードのある縦パスを躊躇なく入れられるし、自ら運ぶことも覚えつつあるため、左サイドの攻撃を活性化させる一因になっている。今季このパフォーマンスを続けられれば、一つ高いところに自分を持っていけるはずだ。

キム・ミンテ

ルヴァン:4試合(3試合先発)出場
天皇杯:1試合(1試合先発)出場1ゴール

CB4番手としてリーグ戦では出番がなく、カップ戦要員に甘んじてしまっている。ポカがないわけではないが、今季は守備で強さを見せており、組み立てもまずまず。また、高さの部分は攻撃においても相手の脅威になっており、決してパフォーマンスにそこまで問題があるわけではない。それでも序列が変わらないのは、植田、関川、昌子の存在感が影響している部分は大きく、正直相手が悪すぎる面はある。バックアッパーとしては贅沢すぎる存在だが、助っ人として今の立ち位置でいるのはかなり微妙なので、他のチームが即戦力で欲しがる可能性はあると思う。

広瀬陸斗

リーグ:13試合(10試合先発)出場1アシスト
ルヴァン:5試合(3試合先発)出場1アシスト

常本のケガもあって、チームがドン底の時にスタメン起用されると、そこから巻き返しもあって右サイドバックのスタメンに定着した。ドリブラーにゴリゴリ仕掛けられた時の対応はかなり危ういが、守備では周りを動かしながら的確にスペースを埋めることができるし、何より攻撃では組み立てにも参加できるし、大外から正確なクロスでチャンスメイクもできる、というバランスの良さがここまでは光っている。ただ、常本との差がそこまで大きいわけではないし、チームとして広瀬に頼らないボール保持を覚えつつあるので、まだまだポジション争いは続くだろう。調子を維持して、守り抜けるか。

溝口修平

リーグ:1試合出場
ルヴァン:4試合(4試合先発)出場1アシスト
天皇杯:1試合(1試合先発)出場

今季はカップ戦でコンスタントに出場機会を得ており、確実に経験を積んでいる。同じ左サイドバックの安西と違うのは、やはり左利きであることと、中央でのプレーも得意にしていること。ただボールを受けて捌くだけではなく、中央に入り込んで崩しにも加わることができるのは、溝口が持つ大きな武器だと言える。一方で、守備のポジショニングや90分間通しての強度という面では、まだ信頼を掴み切れていない部分がある。引き続き練習からアピールを続けていき、出場機会を掴んでいきたい。

常本佳吾

リーグ:14試合(8試合先発)出場1アシスト
ルヴァン:3試合(3試合先発)出場
天皇杯:1試合(1試合先発)出場

チームがドン底の時期に軽傷で離脱すると、その間に広瀬が定着してしまい、ここまでレギュラーを奪われてしまっている状態である。相変わらず対人は鬼のように強いが、ゾーンの風味を強めた今のチームの守り方にイマイチアジャストできていない感があり、相手に食いついてはその裏を使われるシーンが目立っている。攻撃でも年々できることも増えているし、質も上がってきているが、まだ貢献度としてはそこまで高くないのが現状。とはいえ、広瀬とそこまで差をつけられたわけではないし、元々の能力の高さは折り紙付きなだけに、攻守両面にレベルアップしてレギュラー奪回を期したい。

津久井佳祐

出場なし

負傷で出遅れ、今季はここまでベンチ入りなし。CBの5番手になっている。今季はライバルの先輩たちが強すぎるため、出番は巡ってこないかもしれないが、お手本としては最高の教材が揃っているともいえるために、飛躍のための1年に充て、レベルアップしたいところ。

植田直通

リーグ:17試合(17試合先発)出場
ルヴァン:4試合(3試合先発)出場

フィールドプレーヤーで唯一のリーグ戦フルタイム出場を続け、守備陣の柱として君臨している。裏を取られた時の対応こそ怪しいものの、前向きの守備は凄まじく強く、空中戦ではことごとくボールをはね返し、地上戦でも強さ速さで相手を封殺している。個人の勝負で負けることがまずないし、プレーエリアも広いので、貢献度は超高い。17試合やったセンターバックでファウル数がそもそも1しかないのは、良い意味で異常な数値だ。課題はボールを持っている時。鋭いロングパスを狙ってはいるが、あまりパスは通ってないので、攻撃の流れを切ってしまっている。あと、セットプレーからのゴールもそろそろ見たい。

MF&FW&監督編に続きます


遠征費とスタグル代に充てるので、恵んでください