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契約書に貼った印紙には消印(けしいん)をしよう

契約書には収入印紙を貼る必要があります(貼らなくて良い場合もあります)。

収入印紙を貼ったら、必ず消印をしましょう(割印という方もいますが、正しくは消印です)。消印を忘れると印紙税を納めていないことになってしまいます。契約書の電子化が進めば不要な知識になりますが、印紙についてはちょっとした豆知識として面白いので覚えてしまいましょう。

消印の押し方は?

消印の正しいやりかたですが、契約書に印紙を貼り付けたら、その契約書と印紙にかけて(つまり印紙からはみ出すように、契約書とまたがるように)消印を押します。

消印をするのは誰なのか?

実は作成者でなくても消印できます。消印は、文書の作成者又は代理人、使用人その他の従業者の印章又は署名によることになっています(令第5条)。つまり、契約書を作った当事者かその会社の社員さんなどがハンコか署名によってすることになっています。

つまり、消印する人は文書の作成者に限られていませんし、しかも、消印はハンコに限らず手書きでしてもいいことになります。

ハンコはどれをつかうべき?

そしてハンコは、必ずしもその契約書に押したハンコである必要はなく、作成者、代理人、使用人、従業者のハンコ又は署名であれば、どのようなものでも差し支えありません。ということはシャチハタでもゴム印でも角印でも可能ということです。

名前入り日付印でもいいのか?

そもそも消印は、印紙の再使用を防止するためのものです。よって、必ずしも「ハンコ」でなければならないわけではなく「氏名、名称などを表示した日付印、役職名、名称などを表示したゴム印のようなもの」でもOKです(基通第65条)。誰が消したのかが明確にわかればよいとされているためで、会社にあるものならたいてい使えそうですね。

手書きでもいいのか?

もちろん手書きのサインで消印しても全く問題ありません。通常は氏名ですが、通称でも商号でもOKです。

ただし、あくまでも氏名や名称で消印する必要があるのであって、単に「印」と書いただけのものはダメです(名前が分からないから)。また同様に、二重線や、斜線を引いただけのものではハンコでもないし署名でもないため、これはNGです。

鉛筆で消印してはダメな理由

鉛筆や消せるボールペンなどで消印する人はいないと思いますが、なぜダメなのでしょうか。鉛筆などは消印にはつかえません。これには、「印紙は判明に消さなければならない」というルールがあるためです。よって、通常の方法では消印を取り去ることができない手段によって消印する必要があるのです(法第8条第2項)。

相手のハンコもいるのか?

消印に相手のハンコは不要です。消印の実例をみると、契約書の当事者が2者の場合、消印もそれぞれが押している(つまり2種類のハンコで消印されている)ことがよくあります。本来はこの必要はなく、契約書の作成者のうち誰か1人が消印すればOKです。双方が消印しても間違いではありませんが、どちらか1人で消印することで差し支えありません(基通第64条)。


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