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IT企業向け オンラインシステムのOEM提供のための契約書【契約書ひな型/商用利用可能】【メールでご質問可能】

便利な予約管理システムを開発したので、これを関連企業向けにOEM提供して、売り上げを拡大したい

自社が開発した業界向けシステムをOEM提供することにより、提供先はその会社のブランドで、システムをユーザに販売することができます。開発社は利用料を得られます。システムのOEMは企業が互いの強みを活かしたビジネス展開をする方法です。

OEMはもともと自社製品を他社の「オリジナルブランド」として販売できる、ある種のライセンス的な契約です。サプリメントなどの物理的な製品を指すことが多いですが、クラウドサービスやオンラインシステム(たとえば顧客管理システム、売上管理システム、予約管理システムなど)の分野でも活用されています。

活用すれば、開発スキルを持たない企業であっても、既存顧客にマッチするシステムをスピーディに立ち上げ、自社ブランドとしてサービス展開することができます。

OEMのメリットは協力関係?

開発するIT企業側にとっても、OEM先の販売網を利用できるので、ようするに協力、共栄のビジネスモデルといえます。これは大きなメリットですが、往々にして「協力」の意味合いは立場によって変化し、あいまいになりがちです。そのためかなり気を付けていないとお互いの思惑や期待がすれ違い、かえって負担の増す結果になりかねません。そこで、事前の入念な契約検討が欠かせないでしょう。

システムのOEM提供のリスクポイント

では、どんな点に気を付けるべきでしょうか? OEMは互いに協力しあうことで、OEM提供先の企業の顧客に、製品やサービスを販売する契約なので、なんといっても「役割分担」がカギとなります。お互いが、お互いに対して、どこまでやってくれるのか、どこまでの責任を負担してくれるのか、を納得したうえで取引すべきだからです。

それぞれ、以下の事項について検討するべきでしょう。

■システムの開発企業側が気を付けるべきこと
・システムを提供する際の料金体系を決める
・納入後の運用イメージを決める 
・導入サポートはするのか?
・リモートメンテナンス、オンライン管理といった体制の提供はするか?
・販売数には上限や、ノルマはもうけるのか?
・トラブル、障害、停止時の責任負担(免責・不保証)はどうするか?
・トラブル時に使用をストップさせられるか、解除できるか
■OEM先の企業側が気を付けるべきこと
・利用料(ランニングコスト)は妥当か? 
・初期費用、導入費用、その他のコストはあるか? 妥当か?
・利用につき上限や、ノルマを課せられることはあるか
・保守や運営管理の委託は具体的にどこまでできるのか?
・データの保存など、期待できる管理上のメリットはあるのか?
・途中で解約できるか(違約金などへのケア)

システムのOEM提供契約書のひな形

以上を踏まえた契約書のひな形を公開します。実践的な内容になっていますので、すぐに現場で活用できるはずです。Wordファイルでもダウンロードできますので、いますぐ編集可能です。Wordファイルでは、重要な部分に黄色マーカーをつけてありますので、ミスなく加筆できます。また、疑問点が生じた場合はメールでご質問いただけるよう、末尾にご質問用フォームをつけています。

以下にひな形と、「アレンジのポイント」をまとめます。

このひな形に含まれる条項
適用範囲、OEM提供、IDパスワードの管理、知的財産権の取扱い、商標等、対価、報告義務、契約期間、登録情報、委託、権利譲渡、禁止事項、不保証、乙の責任、使用停止、提供停止、解除、反社会的勢力の排除、契約終了後の措置、合意管轄

ひな形

          システムOEM提供契約書

株式会社〇〇〇〇(以下「甲」という。)は、〇〇〇〇株式会社(以下「乙」という。)に対して、以下に定めるサービス使用許諾契約(以下「本契約」という。)に基づき、乙が自社ブランドとしてカスタマイズした〇〇〇〇管理システム「〇〇〇〇」を、乙の顧客に対して販売する目的で、甲の供給するシステム(以下「本システム」という。)を使用する権利を許諾する。

第1条(適用範囲)
 本契約は、甲が提供する本システムの使用及び使用許諾契約について適用されるものとする。

第2条(OEM提供)
 甲は、本契約記載の条件に従い、甲の提供する本システム及び本システムとともに乙に提供されるマニュアル等の関連資料(以下「関連資料」という。)に関する著作物について、日本国内における非独占的な使用権を乙に許諾(以下「本使用許諾」という。)する。
2 乙は、本契約に基づき、甲指定のサーバー(以下「本サーバー」という。)に本システムをインストールして使用することができる。
3 乙は、本契約の条件に従い、甲の定める範囲内で、自己使用を目的として本システムを使用する者(以下「顧客」という。)に本サーバーにアクセスさせる方法により、本システムの日本国内における非独占的な使用を再許諾(以下「本再使用許諾」という。)することができる。


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