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アメリカの歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士、歯科助手数

皆さん、こんにちは!
今回はアメリカの歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士数についての投稿をしていこうと思います。

歯科医師数


アメリカの歯科医師の数についてですが、アメリカ歯科医師学会、American Dental Association(通称ADA)の報告によれば、2022年の時点で、202,536人の現役の歯科医師がおり、これはアメリカ人10万人あたり約60人の歯科医師がいる(1)計算となります。


アメリカ合衆国の地図



歯科医師数が最も多い州はカリフォルニア州で、2022年の時点で30,727人。次いでテキサス州(16,324人)、ニューヨーク州(14,242人)、フロリダ州(12,003人)となっています(2)。

やはり大都会特に、ロサンゼルス(カリフォルニア州)やヒューストン(テキサス州)、ニューヨーク(ニューヨーク州)、マイアミ(フロリダ州)にはたくさんの歯科医師が在籍していますね。

一方日本では厚生労働省によると、2020年の時点で107,443人の歯科医師が届け出ており(3)、人口10万人あたりの歯科医師数は74人で、アメリカより人口あたりの歯科医師数は多いという結果になっています。

日本は歯科医師過剰と叫ばれて久しいですが、それに比べるとアメリカもそんなに大差ないように感じる方もいるか知れません。

それはある意味当たっており、実はアメリカでも大都市部においては歯科医師過剰となっているところもあるのです。

しかし、全体としてはアメリカにおいて歯科医師の数は不足しており、現在でも歯科大学の新設を行い、歯科医師数を増員しています。


Loma Linda University 歯学部の校舎
多くの学部生、専門プログラムの学生、歯科衛生学生などが学業、診療に励んでいる。
メインクリニック
主に歯学部の3,4年生がここで実際に患者を診療しながら学んでいる


つまり、歯科医師の数が州や地域によって差があり、あまり歯科医師から人気のないところに住む方々に対する歯科医療が十分に行き渡っていないという格差がある現場となっているのです。

日本でも、田舎では歯科医師が不足しているところもあるので、状況は似たようなものと言えるかも知れません。

ただし、全体として歯科医師数を増員する必要があるという点においては歯科医師にとって日本で働くよりもアメリカで働く方が様々なチャンスが多く訪れる可能性が高いと言えるでしょう。

歯科衛生士数

次に歯科衛生士さんの数についてですが、アメリカ労働統計局(U.S. Breau of Labor Statistics)の調べでは、2022年5月の時点で、214,700人の雇用されている歯科衛生士がおり(4)、歯科医師と歯科衛生士の比率はほぼ1:1となっているようです。

理想的にいえば、すべての歯科医院は患者の流入を安全に管理するために、2人の歯科衛生士を必要と言う意見もあるため、現状においては一人のクリニックの院長に対し、一人の代診と二人の歯科衛生士という形でバランスがとれるといった状況でしょうか。

歯科衛生士さんの数も歯科医師の数に伴って増加が見込まれるため、歯科衛生士さんの今後の需要も高いといえます。

一方日本の歯科衛生士さんの数は、令和2年度の厚生労働省調べで、142,760人となっており(6)、歯科医師あたりの歯科衛生士の数はアメリカよりも多くなっています。ところが、日本の方が歯科衛生士不足が叫ばれることが圧倒的に多い印象です。これはおそらく保険の制度の違いが大きな原因となっていると考えられます。

日本の保険制度において、歯科衛生士さんは、経営の観点においてもアメリカよりも重要であるため、たくさんの衛生士さんを抱える大規模歯科医院となかなか募集をかけても衛生士さんが来てくれない歯科医院の格差が大きく、高い離職率とも相まって日本では、実際の歯科衛生士数の現状と比較して、歯科衛生士不足が深刻に叫ばれているのではないでしょうか。

兎にも角にも、アメリカでも日本でも今後も歯科衛生士さんの需要は高いと言えます。

歯科技工士数

さて、次は技工士さんの数についてです。

アメリカ労働統計局の調べでは、2022年5月の時点で、雇用されている歯科技工士の数は33,330人です(7)。

一方日本の歯科技工士さんの数は、平成28年度の厚生労働省調べで、34,640人となっています。

アメリカの歯科医師の数は日本の歯科医師の2倍近くであるのに対し、歯科技工士の数はほぼ日本と同じで、アメリカの歯科技工士の数は日本員比べるとかなり少ないことが見て取れます。

ちなみに、日本の歯科技工士は国家資格ですが、アメリカでは歯科技工士になるのに資格は必ずしも必要ありません。アメリカにもCDT(Certified Dental Technitians)という資格があり、アメリカ歯科医師会(ADA)はこれを取得することを積極的に推奨していますが、日本のように国家資格がなければ出来ないというものではありません。

そのため、個人的な感覚としては、平均的な歯科技工士のレベル日本の方が遥かに高いと感じます。しっかりと専門的な教育を受けた上で適切なトレーニングを受けた日本人の歯科技工士さんは世界でも十分に評価されます。

私も日本の歯科医院で歯科医師として働いた経験があり、歯科技工士さんとも関わる機会が多くありましたが、残念ながらほとんどの日本で働く歯科技工士さんは報酬面でも、あまり適切に評価されていないように感じます。

日本で歯科技工士の担い手がどんどん減っている現状を考えると、もう少し日本の歯科技工士さんに世界に進出できる環境を整えることができれば、歯科技工士の地位は向上し、より若者に歯科技工士が魅力的に移り、また世界的に更なる歯科医療の向上が見込めるのではないかと考えます。

その為に私個人としても尽力できることがないか日々考えています。

まとめ

日本とアメリカでは規模が全く異なるので、単純な人数での比較は難しいですが、歯科技工士の数が圧倒的に少ないイメージです。
また、一定基準の定められた教育を受けて国家資格を習得しなければならない日本の技工士さんは海外でも需要が高いことは想像に難くありません。
日本の歯科医療従事者がさらに国際的に活躍できるようになることで世界、日本の双方にとって良い結果がもたらされるように、今後とも情報を発信していきます。

次回は気になる”アメリカの歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士の年収”についてです!
お楽しみに!

参考


1. アメリカ歯科医師数(https://www.ada.org/en/resources/research/health-policy-institute/dentist-workforce#:~:text=As%20of%202022%2C%20there%20are,Ratios%20vary%20by%20state.\

2. 州ごとの歯科医師数https://www.kff.org/other/state-indicator/total-dentists/?currentTimeframe=0&sortModel=%7B%22colId%22:%22Location%22,%22sort%22:%22asc%22%7D
3. 日本歯科医師数(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/20/dl/R02_1gaikyo.pdf)

4.アメリカ歯科衛生士数(https://www.bls.gov/oes/current/oes291292.htm#nat)

5.歯科医師あたりの歯科衛生士数(https://www.premierdentalconnections.com/blog/how-many-operatories-can-a-dentist-or-a-hygienist-have-in-a-dental-office/#:~:text=Ideally%2C%20every%20dental%20office%20needs,overlap%20of%20equipment%20or%20space.)

6.日本の歯科衛生士数(https://www.mhlw.go.jp/content/10804000/000912195.pdf)

7.アメリカ歯科技工士数(https://www.bls.gov/oes/current/oes519081.htm)

8.日本の歯科技工士数(https://www.mhlw.go.jp/content/10804000/000404472.pdf)


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