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スパーズレポ vsバーンリー

 プレミアリーグ第27節、バーンリーvsトッテナムのマッチレポートです。

 CLドルトムント戦から10日ぶりとなったこの試合、ケインが復帰し勝って良い勢いでビッグマッチに臨みたいところでしたが、相手に完全にう対策され、最後までうまくいかないまま敗れてしまいました。

 バーンリー 2 vs 1 トッテナム

 47分 ウッド(BUR)
65分 ケイン(TOT)
 83分 バーンズ(BUR)
 

まず、前半序盤のスパーズのビルドアップから。組み立ての核は中央CBのトビー。
バーンリーの対応は大きく分けて3パターン。

①右サイドにボールが渡ると積極的にプレス
②左サイドにボールが渡るとハーフェーラインまで引いてブロック形成
③ゴールキックやGKまでのバックパスには積極的にプレス

①右サイド

右サイドにボールが入る(フォイスやオーリエがボールを受ける)と、バーンリーはスイッチが入ったように積極的にプレスを仕掛けてきました。フォイスからオーリエ・シソコに入っても絶対に前を向かせない対応。ウィンクスやエリクセンのような剥がすテクニックのない選手がいない右サイドでは、前プレスから奪おうという狙いがはっきりと見えました。

②左サイド

右サイドとは対照的に左サイドにボールが入ると、バーンリーは2トップがハーフェーラインまで引いてブロックを形成することを優先した守備をしてきました。プレッシャーが右サイドほど強いわけではないので、ヤンはパスコースを探しながら前進しました。

③GKから

ゴールキックの時は、できるだけ後ろから繋いでいこうとするので、バーンリーは中盤も連動して前からのプレスを仕掛けてきました。相手のプレッシャーがきついため、ほとんどロリスにリターンしてロングボールを蹴りました。

いったんGKまで戻すと、はまっている時は積極的に奪いに来ましたが、そうではないときはハイラインを維持したまま右サイドへ追い込むようなプレスをかけてきました。

右サイドでのビルドアップほとんどうまくいかず、奪われてカウンターをくらうシーン多く見られました。相手の対応が正確なので苦労していましたが、アルデルヴァイレルトはとても冷静で、意識的に左から攻めれるようにボールを散らしたり、左サイドに展開すると見せかけてターンし、空いたシソコに縦パスを通したりするなどしてチャンスを作りました。

前進後、左からの崩し

 この試合は左からの崩しを試みるシーンが多く見られました。ここでもバーンリーはスパーズ戦に向けて準備してきたと分かる隙のない対応をしてきます。
 この守備の特徴は、ローズが上がった時にSHがマークの受け渡しをせずに最終ラインに加わり5バックになるという点です。

 フェルトンゲンがボールを持ったとき、エリクセンが下りて受けようとする動きに相手はついて来ませんでした。そのため、エリクセンが崩しのパスを供給しようと試みます。ここで、スパーズが狙いたいのは
①中盤2枚の脇のスペース
②DFラインの裏
③逆サイドへのサイドチェンジ
この辺を狙っていたと思います。

5バックで①③に素早く対応、②には好GK

 バーンリーは、5バックにして、バーンズリーがハーフスペースをケアできるポジションをとることで、顔を出しに来たソニーやケインに誰が対応するかを明確にしていました。また、5バックによって左サイドバックがそれほど絞らずに大外をケアしています。これには、サイドチェンジを牽制する狙いがあったのだと思います。

 エリクセンやローズは、DFラインの裏を狙うフライパスを通そうとしますが、これにはGKヒートンが飛び出してきて対応されました。

 エリクセンは、フェルトンゲンに預けて自らは中央に入り、引きつけてフェルトンゲンが縦パスを出せるようするなど、色々試して崩しにかかりました。

アタッキングサードでのポジショナルな攻撃

図は、44:20のシーンを切り取ったものです。展開的には右サイドシソコからフォイスと繋ぎ、フリーのウィンクスに鋭いパスが通ってチャンス、という感じです。

 スパーズは、戦術的な配置か個人の判断かは分かりませんが、オーリエが結構中に入ってきてクロスに飛び込みました(後ろに下げても右に戻って張ろうとしないので邪魔になるときもありました)。それもあり、相手のほとんどがエリア内まで戻って守備対応。人数をかけてクロスに対応してきました。
 バーンリーは、サイドのローズは2の次で、バイタルのケアを最優先とした守備配置でした。そのため、サイドに渡したときローズには1人しか対応にいきません。常に1対1が作れるので、ローズは何度も突破を試みますが、ギリギリのクロスをあげるので精一杯という感じでした。


バーンリーの攻撃手法とスパーズの対応

 この試合のバーンリーの攻撃方法は極めてシンプルで、とにかく素早く前線にロングボールを供給する、というものでした。シンプルで明確なだけに、連動性も高く、スパーズ守備陣は苦しめられます。
 こんな簡単な方法でうまくいくのは、
・前線に高さと速さのあるFW二人がいるため
・GKや最終ラインの選手のフィード能力が高いため
・中盤の選手のインテンシティが高く、中途半端なクリアを拾えるため
・決まり事であるのでポジトラ時にFWが感じ取って先に動き出せているため
といった理由があると思います。

 サイドに抜け出し、そこから迷わずクロスをあげてきました。苦しみつつもなんとか対応していましたが、CKから先制を許してしまいます。


ビハインド後の戦況

 リードを得たバーンリーは、完全に引いてブロックを形成しました。そのため、先に紹介したアタッキングサードでのポジショナルな攻撃と同じような展開が長く続きました。
 なんとか崩したいところですが、ソニー・ケインへのマークはさらに激しくなり、ボールが入るとすぐさま2,3人が囲んで奪いに来ました。

 そこでウィンクスを下げ、ジョレンテを投入。ロングフィードやクロス攻撃を強化。また、CBをピン止めすることで、片方が下りて受けることができるようになるというメリットが生まれます。

 それでもバーンリーの守備は堅く、決定機はあまり作れない中、スローインから一瞬の隙を見逃さず同点に追いつきました。


同点後の展開

 同点に追いついた後、バーンリーはスコアレスの時と同じような対応に変わります。スパーズも再び後ろからのビルドアップを試みますが、ウィンクスが交代しているため全くうまくいかず、逆に奪われてピンチになりました。
 そのため、ロングボールを蹴らざるを得なくなりますが、相手は元々その対応は万全なので跳ね返されてうまくいきません。前線に3人を残してロングボール蹴って競り合い、通ればチャンス、奪われればピンチという、なんとも危なっかしい状況が続きました。

 結局、終盤に勝ち越しのゴールを許し、その後はなすすべなく試合終了。残念ながら試合を落としてしまいました。


総評

 完璧に準備してきた相手に完敗というゲームだったと思います。アリがいればなあと思いましたが、けがなのでしょうがないですし、まだ当分帰ってこれないみたいなので、現状の戦力でなんとか勝ちすすんでほしいです。


 長いことサボってましたが、また不定期でぼちぼち投稿しつつ、スパーズの戦い方の蓄積をしたいと思います。シーズン終了後に各局面を詳しくまとめれたらなあと思ってます。読んでくださりありがとうございました。


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