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<妻の目線>古ポジ建築再構築プロジェクト#05_日本人の美意識について



こちらのサイトは、一級建築士事務所を営む夫と、その妻が、それぞれの目線から購入した古民家をめぐる物語を紡いでいます。かつて一世を風靡した某テレビ番組のビフォーアフター的な分かりやすい経過と結果、匠のしごとも良いですが、それ以上に古民家を手に入れてしまった夫婦の素朴な驚きと日常をお伝えしたいと思っています。



古建築をポジティブに!
小説で描かれる古民家暮らし

古ポジ建築とは

今回は、一級建築士の妻になったばっかりに、古建築を再構築することになった妻の目線からの投稿です。

撤去部分の工事が始まる古民家の最後の姿を撮影しようと思っていたその日は、朝から雨がしとしと降る暗い一日。

さぞかし雨の古民家は、陰鬱で不気味なんだろうなと想像しながら撮影に向かったんだけれども、、、、

古民家の玄関を開けた途端の蒸せられた古い家屋の香り、暗い部屋から見る光の先の、ひさしに落ちる雨音の揺らぎを聴いていると、なんとこれが大変心地よかったのです。

陰翳礼讃という本をふと、思い出しました。湿度と暗さは、日本人の美意識と深く結びつき、DNAに組み込まれているのかもしれません。

陰翳礼讃は、日本建築をリスペクトする建築家の指南書的存在。
私の夫も、もちろんその本のことを知っています。

「暗い部屋に住むことを余儀なくされた

 われわれの先祖は

 いつしか陰影のうちに美を発見し

 やがては美の目的に添うように

 陰影を利用するに至った」

さすが変態文豪・谷崎潤一郎先生。

しばし、この雨音を聴きながら揺蕩っていよう。

一階の床の間から縁側を望む

陰翳礼讃は青空文庫で誰でも読むことができます!

Y Takebayashi



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