見出し画像

JC論:運動の作り方

運動してますか?のところで運動の重要性については記載をしました。さて、ではどのようにして運動を作ればいいのでしょうか。

ゴールデンサークル

運動をどうやって作るか、基本的な理論は実は、個人の機会に対する接し方と変わりません。つまりゴールデンサークルです。

画像1

どんな事業をするかという「何を」から入るのではなく、「なぜ」その運動が必要なのかを考え、「どのように」人々の考えと行動を変え、そのために「何の」事業をするのか、その順番で考えなければなりません。

誰を変えたいか、なぜ変えたいのか

誰をなぜ変えたいかの理由となるもの、それは大別すると3つあります。

一つ目は比較することです。これは最もスタンダードなやり方です。
同等の他者と比較してみると、なぜ変えたいのかの理由は案外簡単にわかります。例えば自分のまちと、隣のまちを比較してみると、自分のまちをなぜ変えなければならないかはわかるものです。
組織内部でも不均衡なことはよく起こっています。例えば、なぜこの部門の売上は上がり、隣の部門の売上は上がらないのか、それを比較するとなぜ改善しなければならないかが見えてきます。
過去と今との比較もあります。昔はとても良かったのに、今は悪くなっている。これも変える理由となります。
未来と今との比較もあります。人口減少のように確実に予想される未来と今を比較して、今何をすべきなのかがわかることもあります。

画像2

二つ目は不当ということです。これも強い「なぜ」になりうるものです。
社会の不公正、組織内の不公正、こういうことは変えるべき理由となるものでしょう。
既得権益というのもあります。既得権益が守られ過ぎれば、新しく参加した人や集団は不当な状況に置かれることになります。
格差というのもあります。なぜ女性の給与は男性より明らかに低いのか、これも変えるきっかけとなります。格差というのは単なる比較ではなく、明らかにおかしいというものです。
差別というのもあります。差別というのは意図的になされる格差です。外国人に対する差別や人種による差別といったものです。

画像3

三つ目は使命というものです。
これは、「理想像」があって、そこから現実とののギャップを埋めるものです。
例えば宗教というのはその典型例でしょう。
地球環境などの環境もあるべき姿があって、それと現実のギャップがあるものです。
そして、集団が持つべき使命もあります。例えばJCの使命は青年により良い変化をもたらす力を与える、つまり運動を作れる人を作るということです。これは企業や集団によって変わるものです。
道徳的な使命というものもあります。思いやりの心とか、親孝行とか、道徳的な使命というものも、人の考えと行動を変えるべき理由になるでしょう。

画像4

JCの議案で言えば、この「なぜ」の部分が事業の背景という欄に書くものとなります。

はっきり言って、ここが考え尽くされているかどうかが運動の鍵を握るといっても過言ではありません。例えば、明るい豊かな社会を目指すというのは背景たりうるでしょうか?たり得ません、なぜなら、「明るい豊かな社会」がなんなのか誰も知らないので、何をどう変えるべきなのかという理由が出てこないからです。そんな運動は、誰も変えられない単なる自己満足に終わります。

考えと行動をどのように変えたいか

誰を変えたいのか、その理由はなぜか、がはっきりしたら、次はどのように変えるかです。どのように変えるのかは大きく分けて三つあります。

一つ目は規範です。規範が変わるというのは、人々の考えと行動が変わる最もわかりやすい例です。
規範の最たるものは法律です。例えば人種差別運動をやって、人種差別を禁止する法律をつくる。法律は強制力がありますから、明らかに人々の行動と考えが変わるわけです。
次に各種の規則があります。これは社会的にいえば法律に準ずる規則でしょうし、企業であれば企業内のルールでしょう。
プロトコルというものもあります。法律や規則が強制力を伴うのに対し、プロトコルは強制力はありませんが、コミュニケーションを円滑にするものです。しかし、例えば服装のプロトコルが変われば、そのプロトコルに合わせようとする人たちの考えと行動が変わることになります。
慣習はプロトコルよりさらに強制力は低いものですが、多くの人の考えと行動を縛っているものです。日本における女性の男性に対する格差の多くは法律というよりは慣習によるものです。慣習も変えるべきターゲットとしては意識されてしかるべきです。

画像5

二つ目は資源配分です。
どのように資源配分するかが、多くの人の考えと行動を規定することになります。
資源の際たるものはモノであり、モノの抽象例がお金です。例えば、マーケティングも潜在顧客の考えと行動を変えるという意味では立派な運動ですが、マーケティングでいう運動は要は潜在顧客のお金の使い方を変えてもらうわけです。また、募金活動もこの範疇に入るでしょう。
もう一つの資源が人です。組織レベルでいえば役割分担がこれにあたり、個人ベースにすれば時間という資源になります。例えが企業レベルならどこに人的資源を割くべきかを変える運動ということになるでしょう。ボランティアを推進する運動なら、多くの人にボランティアに時間という資源を割いて欲しいという運動でしょう。

画像6

三つ目がつながりです。
つながりを変えることも人の考えと行動を変えることになります。例えば地域に住んでいる人同士のつながりを作り、地域コミュニティを形成すればその人々の考えと行動が変わるでしょう。
同じ嗜好を持つ人同士のつながりを作ることも、その人々の考えと行動を変えることになります。これはいわゆる同好会というものです。近年ではニコ生からのオフ会や、漫画からのコミケがこれにあたるでしょう。
さらにつながりを強めれば、NPOや企業といった団体という目的を持った組織になることもあるでしょう。組織化すれば継続的にその組織に関わる人の考えと行動が変わる運動となります。
組織間の関係というものもあります。組織間のつながりが新たにできれば、その組織に属する人々の考えと行動が変わります。また、組織間のコラボレーションが起こればそれまでどちらの組織だけではできなかったことができるようになります。
国際的な関係が広がれば、元来地域に閉ざされた人々の考えと行動を変えることになります。戦争や紛争が地域益、集団益のぶつかり合いだとすると、人間関係が広がることで相手のことを考えられる人が増えることは、世界平和にもつながることになります。

画像7

規範、資源配分、つながり、これが変えるべきターゲットとなります。これが運動の目的となるわけです。

運動を作るということ

運動を作る上で、まず決めなければならないのは運動の背景と目的、この二つです。これが決まれば、あとは自分たちで「何を」できるかどうかを考えることができます。

重要なことは、背景と目的を徹底的に具体的に詰めていくということです。曖昧で人によってイメージの違うことを背景や目的に掲げてもそんな運動は広まりません。誰を、なぜ変えたいのか、その理由を少なくとも運動の中心にいる人がはっきり言える。どのように変えたいのかのイメージが見えている。そこが大切です。

「明るい豊かな社会につながります」そんなことを背景にしているようでは、メンバーの時間とお金の無駄遣いでしかありません。

続いて読む

運動のための事業をどう作るか


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?