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JC論:議案の書き方:なぜ議案書があるのか

青年会議所ならどこでも議案書があるか?といえばそうではありません。日本青年会議所はLOMに議案書を作ることを求めていません。議案書フォーマットも決まったものはありませんし、年によって大きく変わることもあります。JCIは事業計画(Plan of Action)と予算(Budget)を作ることを推奨していますが、もちろん義務ではありません。

じゃあなぜ議案書を書かなければならないのか、その答えは青年会議所の使命に関係があります。「より良い変化をもたらす力を青年に与えるために、発展・成長の機会を提供すること」その使命のためには議案書が必要なのです。

成長の機会となる

「より良い変化をもたらす力」とはすなわち「運動を作る力」です。そのためには、運動を起こすことのできる事業を作る能力を青年に身に着けてもらう必要があります。そのための良い練習台が議案書です。文章という残る形にすることで、誰かの行動を変える事業の作り方を身に着けてもらうことができます。

議案書の書き方を身に着けるとビジネスにも良い影響が出ます。いわゆる補助金・助成金の応募文章はほとんど議案と構造が同じですし、企業の経営計画やビジネスで使われる企画書・提案書といったものも構造が似ています。どんな背景で、どんな目的をもってどんな事業を行い、どんな効果が期待されるのか、という思考形態はビジネスにとっても重要なのです。実際に、企業内に議案書フォーマットを取り入れて成功している例もあります。

有効な事業を行う

青年会議所の予算は大抵会費か寄付金等から出ています。つまりは事業を実施する委員長のお金で行うのではなく、「みんなのお金」を使うわけです。当然のことながら「みんなのお金」を有効に使う説明責任があります。だからこそ、理事会等の会議で議論を行い、業務決定機関である理事会で審議を行うわけです。そのためには議論の対象となる議案書が必要です。

また、たった一個の事業で長期的な運動を作ることのできるインパクトを出すためには、単純な計画では難しいものがあります。JCでは「一度心に決めた事業を石の上にも三年でやり通す」ことはできないのです。だからこそ、メンバーの英知を集め、より有効な計画を立てることができる枠組みとして議案書フォーマットがあるのです。

組織の価値を上げる

青年会議所のメンバーは年々入れ替わっていきますから、口伝での知識の伝承は難しいところがあります。こういう経緯で始まったとか、これをやって失敗したとか、こうすべきだとか、やってみなければわからなかったことが伝わらないのでは組織としての価値が低いままです。しかし、議案書(特に報告議案)という文章で後に残ることで、知識を伝承することができます。これは単年度制と卒業という青年会議所の弱みを補完するものです。

時代は繰り返すものであり、以前行った事業が再び必要になることもあります。高松青年会議所では以前長きにわたって献血運動を行っていました。時代の流れとともに献血運動を実施しなくなっていたのですが、新型コロナウイルスの影響で献血が減った際に再度献血運動を使用ということになり、10年以上前の議案を参照して再度献血事業を行いました。こんなことができるのも、議案が残っているからです。

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