JC論:青年会議所のブランドをどう上げるか
青年会議所を考える上でよく問題になるのが、ブランドをどう上げるかです。青年の品格のところで述べたように、ブランドとは、「長期記憶=(短期記憶×感情的起伏)×反復」で作られます。そのためには、短期的な取り組みではなく、長期的な取り組みが欠かせません。しかし、単年度制の青年会議所では長期的なブランド向上の取り組みは簡単ではありません。しかし、できることはあります。ここでは3つの取り組みについて説明します。
どんなブランドイメージを持ってほしいか?
青年会議所のブランドはどんなイメージであってほしいでしょうか?よもや飲み会集団だとか、ボンボンの集まりというイメージを持ってほしいわけではありませんよね。
異論はあるかもしれませんが、持ってもらいたいイメージとしては、大体3つに集約できると思います。
1、社会に役立つ集団
2、社会から認められた集団
3、尊敬されるメンバーのいる集団
このような長期的記憶を多くの人に持ってもらうために、やるべきことが3つあります。
社会に評価される事業の実施
「社会に役立つ集団」というイメージを持ってもらうためには、社会に評価される事業を実施し続けることです。内輪だけでウケる独りよがりな事業を実施するのではなく、その地域に住む多くの市民が評価できる事業を実施し続けることです。もっと具体的に言えば、LOMの事業があなたの家族や社員から高く評価されるものでないならば、ブランド価値を向上することなど望めないでしょう。
評価されるためには、わかりやすさも重要です。どんなに誰もが評価する事業でも、知らなければ評価にはなりません。知ってほしい人にちゃんと届く仕組みと、誰もが一目でわかるわかりやすさを備える必要があります。いわゆる広報が担当しているのは、青年会議所のブランド構築の中でこの部分だけということが多いのです。しかし、そもそも評価できるものでなく、わかりにくいものは、どんな仕組みがあっても届かない、ことは認識される必要があります。
一方で、Active Citizen Frameworkに従うと、一見わかりにくい事業になることがあります。問題の真の原因を解決するためには、遠回りが必要なこともあるのです。そんな時に役に立つのが、SDGsです。SDGsは世界共通の目標であり、わかりにくい青年会議所の事業の目的を誰の目にも明らかにしてくれます。
もう一つ重要なのは中長期ビジョンです。手法は何でも構いませんが、中長期に目指すべき目標を明確化し、その目標に向かって毎年毎年事業を行っていくことは長期記憶の形成に繋がります。
コラボレーションの推進
「社会から認められた集団」になるために最も手っ取り早いのは「より社会から認められた集団」とのコラボレーションを進めて、「より社会から認められた集団」から認められることです。
日本青年会議所でも、長年政府や大企業とのコラボレーションを推進してきました。2019年も外務省(SDGs)や国連女性機関(ジェンダー平等)とのタイアップを行ったり、2020年も環境省(SDGs)やイオン株式会社(SDGs、防災)とのタイアップを進めてきました。これは青年会議所の運動の推進に役立つだけでなく、ブランド向上にも役立つと考えています。イオン株式会社とのタイアップでは日本青年会議所だけでなく、全国の青年会議所でイオンモール等での事業推進が容易になるなど、地域への影響も大きいはずです。
余談ですが、私のLOMではコラボレーションを行うとき、その審議の理事会にコラボレーション相手の担当者などを呼ぶことがあります。理事会に来た人が口をそろえて驚くのが、「青年会議所はこんなに真面目に計画して、議論して決めているんですね」ということです。多くの公益法人では、理事会とは事務局の作った案の単なる追認機関にすぎません。青年会議所のようにガチで議論しているのは珍しいのです。このような点はもっとアピールすると他組織からの青年会議所のブランド向上に役立つでしょう。
メンバーの行動の改善
「尊敬されるメンバーのいる集団」になるためには、メンバー自身の資質向上と青年会議所メンバ―であることの日常のPRが重要になります。
メンバー自身の資質向上という意味では特に、服装などの外見を整えたり、スピーチの能力や、SNSでの発信(メディアリテラシー)など一人ひとりが社会に与える見た目を改善していく必要があります。
また、青年会議所メンバーであることのPRという意味では、日常的なSNSでの青年会議所活動の発信やJCバッジの日常的な着用というのも重要です。例えば、ロータリークラブではビジネスや社交の場で日常的にロータリーバッジを着用することが推奨されています。これは「あの人もロータリアンだ」と周囲が認識することで、ロータリークラブのブランド向上に大きくつながっています。一方、青年会議所では、日常的にJCバッジをつけている人は少数なのではないでしょうか?JCの会議や大会などだけでJCバッジを着用し、「俺は青年会議所メンバーなんだ」と叫ぶより、日常的にJCバッジを着用して青年会議所メンバー(a young active citizen)として誇りある行動をしてください。
継続的な発信
過年度の成果はブランディングを上げる大きなポイントです。過去の素晴らしい事業や、有名な取り組みをぜひLOMのホームページ等で乗せ続けましょう。自分が関わっていなくても、自分の成果のように話していいのが、団体というものです。青年会議所はなぜか毎年毎年ホームページを作り直し、前にやったことを丸ごと棄ててしまう癖があります。これはせっかく上げた成果をドブに捨てているようなものです。先輩の成し遂げた偉大な成果を公開の記録としてきちんと残しましょう。
結局のところ、一人ひとりの長年の積み重ね、それこそが青年会議所のブランド向上につながるのです。
JC論の目次
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?