ワニくん大パニック、みんな「批判」ではなく感情的に「反応」しているように見える


Twitterで稀にみる大バズになっている「100日後に死ぬワニ」のコンテンツですが、最終回とともにグッズ化、書籍化、映画化が発表され大批判がまきおこり、それに対して「クリエイターがお金をもらうのはあたりまえのことじゃないか!!」という意見も大炸裂するなどして喧々諤々。それだけ力のあるコンテンツだったということですね。すごい。


この一連を見ながら興味深いなあと思うこと、あとちょっとした違和感はやっぱり感じており(といっても商業化への違和感はない)、メモ書き程度に残しておきたいと思います。


商業化への意見は「批判」ではなく「反応」だと感じます


たしかにこのタイミングで大々的にグッズ販売や映画化といった流れに「あれ?いままでの文脈は・・?」という気持ちがあるのはわからんでもない。

でも、これ、このおそらく多くのひとがもっている感情を実際に言葉にしているひとたちって「批判をしたい」のではなく「反応をしている」んじゃなんじゃないかなあと思ったのです。


ワニくんはじめ、登場人物の純粋無垢な印象をふくめ、純白というか、潔白というか、そういう、商業色がまったくない空間ができていました。そして読み手はその空気感をふくめて毎日の更新を楽しみにしていました。

そしてむかえた最終回で・・
「グッズ!映画!書籍!」となってしまうと、おそらく純粋系アイドルに熱愛報道!!みたいなような気持ちになってしまった。

熱愛反応にたいしての免疫はできつつあるけれど、クリエイターのアイデアに支えられたSNS上でつくりあげられた、純粋と思われた空間がそうではなかった・・というショックはあまり経験したことがない類のものですからね・・


ワニくんを生み出したきくちさんへの人格攻撃をしようという意図はないんだと思うんだけど、ただただイノセントと思われた空間がじつは商業的な意図がたっぷりふくまれており「想像していたものと違った」と感じてしまう展開になってしまったことに、みんなショックだったのだと思う。そのことへの生理的な反応が口に出ている(=ツイートはじめ、批判に見えている)というひとが多いんじゃないかなと感じている。

もちろん悪意をもってきくちさんへ攻撃しているひともいるとおもいますが、こういうひとはどんなことであっても悪意をもって攻撃しているひとやと思いますし、大多数のひとが言っている「ワニくん、電通案件だったのかよ・・」という言葉は、たぶん、純粋な「作者とわたし(たち)の空間が思ってたものではなかった!」という反応なのではないかなあと。

この「反応」を「批判」と取り間違えているから、ギスギスした言論空間に見えてしまっているように思えます。が、ほとんどの批判に見えているそれは、コンテンツの力が強すぎたから起こってしまっている「反応」だよなあ、思っています。



とはいってもやっぱり「ユーザー体験」的には悪手だった

とはいっても、ユーザーがなにを期待しているかや、多くのユーザーはどのような気持ちで更新を楽しみにしていたか、といったところまで配慮していると、今回のような怒涛の発表!!にはならなかったでしょう。

この巨大化したコンテンツから、その巨大さに見合ったマネタイズをするために採用された方法は、ユーザー体験としては悪手だったことは間違いないと感じています。ほんで今回のこと、もし批判をするとすれば「ユーザー体験を軽んじていますよね」という点以外にないですからね。「コンテンツでマネタイズする」ということ自体はまーーーーったく悪いことじゃない。

ただ、キクチさんの職業、イラストレーターだから・・。ひとりのイラストレーターさんに「ユーザー体験まで考えろ!」というのはいかがなものかと感じません・・? 少なくともぼくはひとりのイラストレーターの方にそこまでの責任があるとは思えないです。



擁護しているひと、ポジショントークじゃね・・?


あと個人的に・・こんなことを思っているのは性格が悪いなあと思いつつなんですが・・

マイルドに「コンテンツからお金とること、悪いことじゃないじゃんね・・?」と言っている人が、結構な割合で広告業界のみなさん or 広告とズブズブのみなさんなんだわ・・

そんなことみなさんのほうがよーーーっくご存知だと思うんですけれど、ユーザーは「そのコンテンツの文脈」とかすごく大事にしますし、見抜いてることは承知の事実・・

普段は「消費者は~」と一括りにしてるんやろうなあと容易に想像できてしまう人が言ってる「いやいやみなさん落ち着きましょう・・だって、彼、プロですからお金もらってダメなんです・・?」みたいな言い方がぼくが今回いちばん違和感を感じたところだ・・

たぶん一般ユーザー側にはかなり多くの割合で「ああたしかに・・クリエイターが仕事分儲けるのは悪いことじゃないな・・」と(結果的に)反省するひとは多くいるんじゃないかと思うんですが、広告側のひとはなんで常に啓蒙する側なの・・?

我々一般ユーザーも「クリエイターへのリスペクト」をしっかり考え直すべきと同時に、みなさん方は「ほんとうに愛されるコンテンツになるためになにができるのか」とかを考え直したほうがいいのでは。知らんけど。なにかが起きたときに啓蒙する以外の立場もとれるのだということをぜひご認識いただければと僭越ながら感じている次第です。ほんま性格悪い言い方やな・・言ってて自分でへこむ・・すんません・・


ということで、今回の一連でぼくが感じることは、

結論1:これだけのコンテンツを生んだきくちさんまじすごい。みんなでリスペクトしよう。ワニくん轢かれてほんと悲しい😥

結論2:マネタイズするときのユーザー体験、大事。


特に「きくちさんがすごい」ということはどれだけ言っても語りつくせないし、変わることはないですし、この前後の出来事を含め長く語り継がれるぐらい、日本のコンテンツ界や広告界で長く語り継がれる出来事だと思うので、それぞれの立場で学びに・・していこうな・・・

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