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AIを舐めてもらっちゃ困る

2018年の1月、ponanzaの作者山本一成氏の講演を聞く機会がありました。
このponanzaは当時の最強の将棋ソフトで、当時の佐藤天彦名人ですら全く歯が立たなかったのです。

これを機に人間が強いかAIが強いか?という論争に終止符が打たれたといってよい、そんな時期でした。

講演は、医療関係者を集めたものでしたが、山本氏は、これだけ医療関係者に集まっていただいて恐縮ですが、と前置きしたうえで『医療において、AIと医者を比べたら…? 我々人工知能を扱う者からみたら、もう論争すらならないです』と言い放ちました。

恐らく、会場の皆さんは「何っ!?」と思われたと思うが、私は「そうだろうな」と素直に受け止めることが出来ました。
いかに人工知能が優れているか、当時の人間vs人工知能の将棋や囲碁の対決を見てみれば直ぐにわかりました。

実は、囲碁においても将棋においても、対局中の序盤は「人間側が形勢がいいのではないか?」とほとんどのプロ棋士が言っていました。 それが、徐々に「人間側が良いけれど、具体的に手が難しい」と言われ、さらに「もしかして、人間側が悪いのではないか?」となり、終盤は「具体的な敗着が分からない」と、変わっていきました。
(何度やってもそのパターンでした)

後々、棋譜を調べてみると、人間側が形がいいと呼ばれた序盤の局面(人工知能が違和感のある手を選択したから生まれた局面なのだが)で、既に人工知能側が「自分が有利」と判定していたようだったのです。
(実際、アルファ碁vsイ・セドルの対局では、7手目イ・セドル氏の一着を完璧に咎めていたことが分かっています=そのことに当時気づいた人間は誰一人いなかったのです)

昔のアニメの例えで言えば、北斗の拳で『お前はもう死んでいる』と言っていることに等しい。 相手は、数秒後に『あべしっ!』と言いながら死んでしまうのですが、棋士はそれから何時間も苦悩し自分が負けたことを理解するのです。

いまは、人間とAI、どちらが強いかというのは論争にすらならないです。
将棋中継を見れば、AIは何百億という手を読んで最善手を見つけ出しています。 指数関数的にAIは進化している現実がその通りになっています。


さて、その割には現実は変わっていないように見えます。
実は、変わっていないのではなくて、周回遅れで同じところを走っているだけなのです。 私たちは、そこに気づいているかどうか…。

まぁ、これは医療側だけの問題ではありません。
例えば、「ahamo」「povo」「LINEMO」の月間20GBを例にとっても同じ事です。 日本経済全体が全くと言っていいほど進化していないのです。
続きは、また明日。

 



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