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「明日世界がゾンビだらけになったら、私、誰より先に死ぬわ」〜ダイアログ・イン・ザ・ダークより〜

ダイアログ・イン・ザ・ダークをご存じでしょうか?

ダイアログ・イン・ザ・ダークは、視覚障害者の案内により、完全に光を遮断した”純度100%の暗闇”の中で、視覚以外の様々な感覚やコミュニケーションを楽しむソーシャル・エンターテイメントです。
これまで世界50カ国以上で開催され、900万人を超える人々が体験。 日本でも各地でオリジナルイベントが開催されています。

公式ホームページより


現代人が完全なる暗闇を経験することは、今やほとんどありません。
首都圏ではまず不可能。空をも覆い尽くす森の真ん中を夜中に歩かない限り、どこへ行っても真っ暗闇を体験するのは難しいことです。

私は、仲間数人と、そんな体験を通じてどんな感情や気づきを得るのか、新発見を求めにこの催しに参加しました。

そして最終的に、私はゾンビ映画で一番最初に象徴的にやられるザコキャラなのだという答えを導き出した。
今日はそんなお話です。


当日は、エントランスでアテンダーである視覚障害者の方から事前説明を聞き、暗闇の中を歩くための白杖を受け取ります。目の見えない方が使っているあの杖ですね。

荷物は全てロッカーに入れますが、暗闇の中でドリンクを飲めるシーンがあるということで、小銭だけは持っていくことに(ちゃんとポシェットの貸し出しもあり)。

いざ、扉を開けて暗闇空間に入り、ガイドさんの先導のもと、「東北のおじいちゃん家に遊びに行く」というミッションを遂行するわけですが……
(このテーマは時期によって変わります)

当然、真っ暗闇の中では足がすくみます。
いくら杖をついて足元に何かないか確かめられるとは言え、目の前に障害物がないか、すぐそこに段差があるのではないか、そんな恐怖に怯えながら歩くのはとても恐ろしいことです。

公園を通ったり電車に乗ったりおじいちゃんの家の縁側に上がったり。
真っ暗闇の中で、聴覚と嗅覚、触覚だけを頼りに進んでいきます。

そんな中で、気づいたことがいくつかありました。

  • 自分がいかに普段から視覚頼みの生活を送っていたか

  • 鈍感だった聴覚が、暗闇を歩く中でどんどん研ぎ澄まされていった

  • 暗闇空間を狭く感じるか広く感じるか、人によって感じ方が様々だった


おそらく、みんなハッとするはずです。視覚以外の感覚が意外と使えていなかったことに。
あ、こういう体験をすることでスピリチュアル能力って開花しちゃうのかしら!?と思うくらい、五感の毛穴が開いたように感じました。

でも、今回私が一番気づきになったのは、また別のことなのです。

ゾンビ映画のキャラだったら、私一番最初に死んでるザコキャラだわ

ダイアログ・イン・ザ・ダークでの一番の気づき、それは、

人の行動特性が如実に現れる

です。

例えば、暗闇の中を先へ進まなければいけない時。
ある人は、近くにいる誰かから離れず一緒に行動をする。
ある人は、白杖や自分が触れたものの感覚を信じて一人で進んでいく。

列の先頭にいるのが心地良い人や、リスクを考えて後ろの方にいたい人。
このイベントのルールである「自分がどこにいるか、どんな動作をしようとしているか、逐一声を掛け合いながら進む」を忠実に守る人と、それよりもマイルールを優先して口数が少なくなってしまう人など。

良い悪いではなく、ここまで大きく行動の仕方にばらつきが出てくるのです。

そこで、私は思いました。この状況って……

まるで、ゾンビから逃げようとしている小集団のようだと!!!

ゾンビ映画では、大抵、主人公が複数のパーティーで生き残るために脱出劇を繰り広げたり戦ったりするわけですが、絶対足並みが揃わずにバラバラな行動をとっちゃうのがお約束なわけです。

「いやいや、勝手に一人でフラっとどこか行こうとしないで!それ、絶対いらんことしてゾンビを呼び寄せるフラグだから!」

「キャーキャー泣き叫ぶだけじゃなくてマジで足動かして!それ、あなたじゃなくて助けに行った人が死ぬフラグだから!」

っていうの、ゾンビ映画でのお約束ですよね。

ところで私、「明日世界がゾンビで蔓延した時にどう生き残ろう」って毎日考えているんですけど、みんなやってますよね?これ。ね?

家の目の前にドラッグストアとコンビニがあるので、そこまでどうやってゾンビに見つからず食糧を調達しにいくか、綿密なシミュレーションもしてます。

家の中にある道具で何か武器になるものも探してます。さすまたでも買おうかなって、一時真剣に検討しました。

でも……。

私、どう考えても映画開始5分であっさり殺されるタイプだわ。

ダイアログ・イン・ザ・ダークの中で、私は黙々と一人で先へ進んでしまうタイプでした。

時にはアテンダーの人さえ通り越して先へ進んでしまいました。
仲間はたくさんいるのに、私はそれでも自分の感覚だけを頼りに進んでいきます。
そう、それは、何でも自己完結型な自分の性格をバッチリ表している行動でした。

この手のタイプ、ゾンビ映画ではすぐにやられます。

サバイバルな状況では仲間の力で乗り切ることはマスト。
なんなら、私みたいに一人で頑張っちゃう人よりも、ワーキャー言って足手まといになってる人の方が断然生存率はいいのがゾンビ界のお約束。
(なんでだよ!w)


やはり密なコミュニケーションはいついかなる時も必要ということですね。

そんな、人を頼ることが苦手で一人で何でもやっちゃう自分がコンプレックスですが、でも結局はそういう自分も好きなんだよなぁ。


ということで、世界がゾンビだらけになったら、やっぱり私は一番最初にやられるザコキャラということで。




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