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「京都大学 宇治キャンパス公開2022」見聞録03:20.電子顕微鏡で見る結晶の世界

2022年10月23日、私は「京都大学 宇治キャンパス公開2022」(以下「宇治キャンパス公開2022」、図00.01,[1])に一般客として参加した。


「宇治キャンパス公開2022」内の「20.電子顕微鏡で見る結晶の世界」で、化学研究所 先端ビームナノ科学センター 複合ナノ解析化学研究領域科・大学院 理学研究科 化学専攻 結晶化学分科(以下同分科,[2])はモノクロメータ搭載低加速原子分解能分析電子顕微鏡(図20.01)、および、この電子顕微鏡で撮影された金格子の写真(図20.02)を展示することで、(走査)透過電子顕微鏡((Scanning) Transmission Electron Microscopy:(S)TEM)法を用いた高空間分解能での分析手法の開発と応用を紹介した([3])。

図20.01.モノクロメータ搭載低加速原子分解能分析電子顕微鏡 日本電子株式会社製 JEM-ARM200F。


(a)金箔。
(b)格子像。
図20.02.金格子像。


また、同分科は超高分解能電子顕微鏡法も紹介した。

電子顕微鏡の空間分解能は20世紀後半に発明された球面収差補正器のおかげでその分解能は既にsub-Åの領域に達している。現在では水素を含む周期表のすべての原子を直接見ることができる。同分科は、電子顕微鏡でしか分析することができない結晶欠陥や結晶界面などの非周期な領域における原子位置をpmの精度で分析し、物性との関係性を研究している。

また、電子顕微鏡では高速の高ネルギー電子線を使用することから電子線に弱い材料の研究には制限がある。同分科は、電子線に弱い有機結晶にフォーカスし、有機結晶の結晶欠陥の研究を進めている(図20.03,図20.04,図20.05,[4])。

図20.03.「今まで見えなかった元素が見える」。
図20.04.「同じ材料を違う方向から見ると…」と「分子は構造式通りの形をしているのか?」。
図20.05.「元素の違いも区別できる」と「元素の状態の違いも区別できる」。


そして、電子顕微鏡の発展の歴史を紹介した(図20.06,[5])。

図20.06.「電子顕微鏡の発展」。


同分科による研究は、興味深いものである。



参考文献

[1] 国立大学法人 京都大学.“京都大学 宇治キャンパス公開2022 ホームページ”.https://www.jimu.uji.kyoto-u.ac.jp/open-campus/2022/index.html,(参照2024年08月17日).

[2] 国立大学法人 京都大学 化学研究所 先端ビームナノ科学センター 複合ナノ解析化学研究領域科・大学院 理学研究科 化学専攻 結晶化学分科.“京都大学 化学研究所 先端ビームナノ科学センター 複合ナノ解析化学研究領域科・大学院 理学研究科 化学専攻 結晶化学分科 ホームページ”.https://eels.kuicr.kyoto-u.ac.jp/index.html,(参照2024年08月17日).

[3] 国立大学法人 京都大学 化学研究所 先端ビームナノ科学センター 複合ナノ解析化学研究領域科・大学院 理学研究科 化学専攻 結晶化学分科.“研究”.京都大学 化学研究所 先端ビームナノ科学センター 複合ナノ解析化学研究領域科・大学院 理学研究科 化学専攻 結晶化学分科 ホームページ.https://eels.kuicr.kyoto-u.ac.jp/research.html,(参照2024年08月17日).

[4] 国立大学法人 京都大学 化学研究所 先端ビームナノ科学センター 複合ナノ解析化学研究領域科・大学院 理学研究科 化学専攻 結晶化学分科.“超高分解能電子顕微鏡法”.京都大学 化学研究所 先端ビームナノ科学センター 複合ナノ解析化学研究領域科・大学院 理学研究科 化学専攻 結晶化学分科 ホームページ.研究.https://eels.kuicr.kyoto-u.ac.jp/research2.html,(参照2024年08月17日).

[5] 国立大学法人 京都大学 化学研究所 先端ビームナノ科学センター 複合ナノ解析化学研究領域科・大学院 理学研究科 化学専攻 結晶化学分科.“歴史”.京都大学 化学研究所 先端ビームナノ科学センター 複合ナノ解析化学研究領域科・大学院 理学研究科 化学専攻 結晶化学分科 ホームページ.研究.https://eels.kuicr.kyoto-u.ac.jp/research1.html,(参照2024年08月17日).

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