ニセ科学関連書籍読書、番組視聴、および、ホームページ閲覧記録 01

私は記事「『もうダマされないための「科学」講義』を読む:ニセ科学に対抗するために」を発表した。

この件を契機として、ここでニセ科学に関連する、既読書籍、既視聴番組、および、既閲覧ホームページを順次紹介する。


01.左巻健男 著.ニセ科学を見抜くセンス.初版第2刷,株式会社 新日本出版社,2015年10月25日,192 p.

本著から、ニセ科学を見抜くセンスを身に着けるためには、とりあえず教科書を丹念に読むことをお勧めする。そのためには、とりあえず地元で教科書を販売している書店を探そう。

有用微生物群、ホメオパシー、および、脳に関しては、生物学の教科書を丹念に読めば、ニセ科学に騙されにくくなるだろう。

「マイナス イオン」、「水からの伝言」、水のニセ科学、および、雲をめぐるニセ科学に対処するためには、物理学や地学の教科書を丹念に読むことをお勧めする。余談だが、私は物理学や地学は不得手である(笑)。

なお、「水からの伝言」に対処するためには、真っ当な道徳教育が必要だと私は考えるが、今さら第2次世界大戦前の修身(所詮は明治→大正という過渡的な近代の規範でしかない)教育を復活させることはできないからな。やはり、仏教に基づく道徳教育が無難か。何せ、神道には教義や教典がないわけだし。また、神道の神々は現世利益を追求するいい加減な神だし。もっとも、伝統宗教が霊的な需要に応えられないほど空洞化してしまっているがゆえに、生き辛い人がカルト宗教系ニセ科学に誘引されるというしょっぱい現実があるわけだし。

健康食品や食品添加物に関しては、家庭科の教科書だけでなく、それに関する正確な情報が掲載されている書籍の読書やサイトの閲覧をお勧めする。何せ、ニセ科学を嫌っている一方で、食品添加物を嫌っている人は結構多いわけだし。

ケムトレイル陰謀論などの陰謀論を信じている人にとって本当に必要なものは、精神医療や福祉である。なぜなら、この種の陰謀論者にとって、科学啓発は非常に無力かつ非力である。


02.特殊法人 日本放送協会(NHK)総合.“出版の自由”と医療情報.フェイク・バスターズ.2022年08月05日,44分.

本作から、世の中には、医療に関して、科学的根拠が不十分な本、統計の解釈が不十分な本、および、筆者の主張が科学的根拠を捻じ曲げている本が野放しになっていることを改めて思い知らされた。

グーグル合同会社は上記の本への対策に躍起になっている一方、アマゾン ジャパン合同会社は表現・言論の自由に基づいて上記の本を容認している。

もっとも、上記の本がそれなりに売れている理由には、患者やその親族が厳しい話をする医療従事者に対する不信感を抱いていること、および、両者間のコミュニケーションが不十分なことなどが含まれる。それに、論理性は感情論に勝てないからね(だからこそ、科学的信頼性が低くても、身近な人の意見を優先してしまう,[1])。

誰もが「エビデンス ピラミッド」([2])や「メディア ドクター指標」([3])に基づいて、医療情報を評価すべきである。それ故、特定の治療法や健康法を勧める本を特に警戒すべきである。

医療に関する本を見極めるためには、以下の件に留意すべきである。

1.標準治療は現時点で科学的に最高の治療法であることを知る。それに、国民健康保険が使えるしね。

2.専門家の発言でも、「個人の意見」には警戒すべきである。

3.後半に宣伝文句が書かれている本を後ろから目を通すことも1つの手である。ニセ医療を主張する本の中には、特定の商品を勧めるものもあるからね。

講談社の様に信頼度が高い医療情報を提供している出版社はきちんと校閲している一方、ニセ医療を提供している出版社は筆者の主張を尊重するという建前に基づいて校閲すらしていない。

各地域の図書館で、ニセ医療本や科学的根拠が不確かな本が混在して所蔵・陳列されている。これらの図書館は「図書館の自由に関する宣言」([4])に従っている以上、この種類の本を排除できない。

その一方で、名古屋市志段味図書館は国立がん研究センターのパンフレットを陳列し、がんに関する勉強会を開催するなどして利用者が正しい情報に触れる機会を作っている。

なお、医療に関する本の注意点は留意する価値がある。

1.ニセ医療本や科学的根拠が不確かな本は図書館にも存在する。

2.人は欲しい情報を集めてしまいがちである。

3.医療に関しては、本だけに頼らずに、専門家に相談すること。

医療に関して、より正確な情報を求めるためには、レファレンス サービスの積極的利用もお勧めである。

個人的には、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下薬機法)で、ニセ医療本や科学的根拠が不確かな本を取り締まるべきではと私は考える。「言論・表現の自由」を守るためとはいえ、デマやニセ科学(特にニセ医療)を野放しにすれば、却って「公共の福祉」や人命が損なわれるからな。

それに、私はこう言いたい。「HPVワクチンに関するデマを流したくせに、その総括すらしていないマスコミなんて、要らねー」([5])!



参考文献

[1] マナビ研究室.“論理性が感情論に勝てない理由”.マナビ研究室 ホームページ.2022年04月04日.https://note.com/manaken/n/nbea03ab66e68,(参照2023年04月11日).

[2] 一般社団法人 Jミルク.“ちょっと気になる基礎知識 「疫学研究」って?”.Jミルク トップページ.乳の知識トップ.食の安全性.2019年07月10日.https://www.j-milk.jp/knowledge/food-safety/uwasa_ekigaku.html,(参照2023年04月11日).

[3] メディア ドクター研究会.“review 評価方法”.メディア ドクター研究会 ホームページ.http://mediadoctor.jp/menu/review.html,(参照2023年04月11日).

[4] 公益社団法人 日本図書館協会.“図書館の自由に関する宣言”.日本図書館協会 ホームページ.図書館について.図書館に関する資料・ガイドライン.https://www.jla.or.jp/library/gudeline/tabid/232/Default.aspx,(参照2023年04月12日).

[5] 株式会社 メディカルノート.“コロナ禍におけるメディアリテラシーの重要性―子宮頸がんワクチンから学ぶこと”.Medical note トップページ.News & Journal記事一覧.2021年06月07日.https://medicalnote.jp/nj_articles/210602-005-AI,(参照2023年04月12日).

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