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展示物から「次世代スマート ホスピタル202X 看護」を振り返る:日本医学会総会2023東京 博覧会 次世代スマート ホスピタル202X 03

2023年04月22日、私は東京国際フォーラムを訪れ、一般客として、日本医学会総会 2023 東京 博覧会(以下2023博覧会)に参加した([1])。

 

「次世代スマート ホスピタル202X」は人生100年時代における次世代のスマート ホスピタルの姿を紹介するものである。

 

スマート ホスピタルは、情報技術(Information Technology:IT)を用いた医療サービスの質の向上、スマート ホスピタルの解説は既に、「展示物から「次世代スマート ホスピタル202X 診察」を振り返る:日本医学会総会2023東京 博覧会 次世代スマート ホスピタル202X 01」で実施済みである。

本記事では、「次世代スマート ホスピタル202X 看護」での展示物を紹介する。

なお、本記事は「次世代スマート ホスピタル202X 看護」に基づくものである。

 

avatarin株式会社は、コミュニケーション型アバター ロボット「newme(ニューミー)」を展示した。

newmeは、自分の好きなタイミングで行きたい場所へ瞬間移動し、自由に動きまわり、自分の目で見て、話すことができ、相手に自分の存在感を感じてもらえることが可能なコミュニケーション型の遠隔存在ロボットである。

身体を移動させずに、遠隔地へ「人の意識・存在感」や「人のスキル・価値」を伝送することができるので、人の応対が必要な接客や案内業務など、人材が不足している幅広い業界のソリューション・サービスの提供を可能にする。

実際、受付や教育など、ならびに、地域との共創活動で利用されている。

医療現場では、感染防止のため患者との接触を減らす必要がある場合などに、非接触で面会やお見舞いができ、また、医師や看護師の巡回や診察、服薬指導などが行える。患者はモニターに映し出された面会者、ならびに、医師や看護師の顔を見ながらコミュニケーションできるため、不安が少なく安心して会話ができる。 また、医療従事者は患者の顔色や身体の様子をモニターや声で確認できるため、細かい体調の変化にも気づくことができる。そのうえ、病室に入らなくても患者の巡回、診察、および、服薬指導が可能になる(図03.01,[2][3][4])。

(a)「newme(ニューミー)」。
(b)「遠隔操作で動かし、コミュニケーションができるアバター ロボット」。
図03.01.avatarin株式会社 コミュニケーション型アバター ロボット「newme(ニューミー)」。

 

iPresence株式会社はテレプレゼンス アバター ロボット(以下テレロボ)を紹介した。

テレロボは、離れた場所にあるロボット アバターに乗り移ることで現地の人と体験を分かちあいながら、リアルタイムにコミュニケーションがとれるロボットで、ビジネス、教育、観光、建築、イベント、医療、および、介護など様々な分野で幅広く活用されている。

テレロボは、テレビ会議+ロボット+遠隔操作技術を組み合わせたロボットである。遠隔操作とロボット技術を組み合わせることで、自分の今いる場所から遠く離れた所に存在(プレゼンス)させることができる。

テレロボにはスマートフォンやタブレットなどのディスプレイが頭部分に付いている(※ディスプレイ統合型もある)が、このディスプレイを使用することで、テレビ会議と遠隔操作による移動が可能となる。使用者は、スマートフォン、タブレット、および、PCなどでビデオ会議を行いながら、相手側にいるロボットを遠隔で操作できる。これにより、自分が主体となり、誰とコミュニケーションを取るか、どこへ移動するかを自由に決めることができる。

また、テレロボの普及により以下のことが可能となる。

1.展示会などイベントへの遠隔参加

2.オフィス内の非対面・非接触対応

3.教育分野での遠隔授業参加

4.医療分野における遠隔面会

5.観光地への遠隔旅行

特に医療現場では、受付と病室間の面会受付用に、医師室と病室間の遠隔診療用に、ナース ステーションと各病室間の館内巡回用に、および、病室と院内コミュニティ スペースを繋ぐ子供たちのロボットとして、使用できる。

また、テレロボのその一機種である「temi(テミ)」を展示した。temiは、AI俯瞰マップ生成機能、自動追従機能、および、充実した拡張機能を有する(図03.02,[5][6])。

(a)「temi(テミ)」。 
(b)テレプレゼンス アバター ロボット。
図03.02.iPresence株式会社 テレプレゼンス アバター ロボット「temi(テミ)」。


パラマウント ベッド株式会社は、体動検出センサー「眠りSCAN」を展示した。主な特徴は、利用者の自然な睡眠を計測できること、リアルタイムでモニタリングできること、および、用途に合わせた接続方法が選べることである。

眠りSCANは体動(寝返り、呼吸、脈拍など)を検出して、睡眠状態を判定する非装着・非侵襲のセンサーである。

マットレスや敷布団の下に敷いて電源を入れるだけで使用できて、身体に何も装着しないので、利用者に機器の存在を感じさせずに自然な睡眠を計測できる。計測したデータは専用のViewerアプリでリアルタイムに閲覧できるので、利用者様の状態に合わせたケア・見守りに利用できる。

病棟では、看護師が受け持つ患者の数の増加や病棟での繁忙度が、ヒヤリハット事象(意図しない検査値の異常やベッドからの落下など)の発生に影響すると考えられている。情報通信技術(Information and Communications Technology:ICT)を活用して、入院患者のデータを取得し、自動で見守ることでヒヤリハット事象の発生を予測し、防止しようとする取り組みが進んでいる。

ベッドに設置されているセンサー「眠りSCAN」で取得した情報をベッドサイドの端末に集約し、電子カルテなどの医療情報システムと連携させて、患者情報をスタッフ全体でリアルタイムに共有し、見守ることで、 安心・安全なケアを実現する。また、バイタル機器との連携で、電子カルテへの入力業務の低減をサポートする(図03.03,[7])。

(a)「眠りSCAN」。 ベッドの背中側に設置されている。
(b)ヒヤリハット事象。
図03.03.パラマウント ベッド株式会社 「眠りSCAN」。


2018年08月09日、日本光電工業株式会社は、患者のバイタルサイン(心電図や血圧などの生体情報)を測定するベッドサイドモニタ CSM-1000シリーズ ライフスコープG7/G5(商品コード:CSM-1701 /1702/1501/1502)を発売した。

本製品は、次世代の医療を担うモニタリング ソリューションをコンセプトに開発しており、様々な臨床的価値を医療従事者へ提供することで、患者、そして、医療の未来に貢献する。連続モニタリングとシームレスなデータ保存により治療方針の早期決定に貢献するとともに、新たに超音波検査画面を表示でき、病態に合わせた治療をサポートする。

本製品の主な特長は、病態変化を確実に捉え、迅速な意思決定をサポート、オープン データ プラットフォームの構築により、効率的で質の高い医療サービスを提供、病態に合わせた治療をサポートする先進的なテクノロジー、および、次世代ディスプレイの搭載による優れた視認性である。

これらのベッドサイドモニタは、連続モニタリングとシームレスなデータ保存により治療方針の早期決定に貢献するとともに、院内システムとバイタルデータの連携が可能なだけでなく、脳波測定や超音波測定などを可能とする高い拡張性で病態に合わせた治療をサポートするものである(図03.04,[8])。

(a)ベッドサイドモニタ CSM-1000シリーズ ライフスコープ。 
(b)ベッドサイドモニタ モニタリング ソリューション。
図03.04.日本光電工業株式会社 ベッドサイドモニタ。


「次世代スマート ホスピタル202X 看護」で、私は主にロボットやICTを用いる最新看護を知ることができた。

こうした看護は院内看護だけでなく、訪問看護にも有用である([9])。

課題は多いとはいえ、こうした看護は普及するだろう。また、個人的にも期待する。



参考文献

[1] 第31回日本医学会総会2023東京 展示事務局.“第31回日本医学会総会 博覧会 ホームページ”.https://isoukai-expo.jp/,(参照2024年01月03日).

[2] avatarin株式会社.“アバター ロボットnewme”.avatarin トップページ.製品・サービス.https://about.avatarin.com/service/#sec1,(参照2024年01月04日).

[3] avatarin株式会社.“利用事例一覧”.avatarin トップページ.利用事例.https://about.avatarin.com/biz/case-study/,(参照2024年01月04日).

[4] avatarin株式会社.“地域との共創活動のご紹介”.avatarin トップページ.利用事例.https://about.avatarin.com/biz/areasolution/,(参照2024年01月04日).

[5] iPresence株式会社.“テレプレゼンス アバター ロボットとは? iPresenceが取り扱う全テレロボをご紹介”.iPresence トップページ.TELEROBOTS & SERVICE.https://ipresence.jp/telepresence_avatar_robot_products/,(参照2024年01月04日).

[6]  iPresence株式会社.“temi(テミ)とは”.iPresence トップページ.TELEROBOTS & SERVICE.テレプレゼンス アバター ロボットとは? iPresenceが取り扱う全テレロボをご紹介.https://ipresence.jp/temi/,(参照2024年01月04日).

[7] パラマウント ベッド株式会社.“眠りSCAN”.パラマウント ベッド株式会社 トップページ.医療・高齢者施設のお客様.高齢者施設向け製品.ベッドオプション センサー.https://www.paramount.co.jp/series/2/2000061,(参照2024年01月06日).

[8] 日本光電工業株式会社.“ベッドサイドモニタ CSM-1000シリーズ ライフスコープ G7/G5 新発”.日本光電 ホームページ.お知らせ.2018年08月09日.https://www.nihonkohden.co.jp/news/18080901.html,(参照2024年01月06日).

[9] リコージャパン株式会社.“理想的な訪問看護ステーションをつくるためICTを積極活用 うらら(香川県)”.中小企業応援サイト ホームページ.事例集記事一覧.2022年12月08日.https://smb.ricoh.co.jp/casestudy/001143/,(参照2024年01月06日).

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