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【無料記事】ルーキーイヤーを戦う男たち -後編-

彼らは、
新たな時代を背負って立つ男たちなのか。

今季、ルーキーイヤーを戦う
1998-99年生まれの選手たちを見ていると
ニッポンの未来を託したくなる
ワクワク感を覚える。

ある者は「新生・日本代表のニュースター」に、
ある者は「チームの絶対的エース」に、
そして、ある者は「シーズン一番の成長株」に。

「年々、全体のレベルが向上している」

日本にやってくる外国籍選手の多くが
口を揃えて移籍の理由をそう語るほど、
いまBリーグの競争は激しく、レベルが高い。

そんな実力者が集うプロの世界で、
まだ大学を卒業したばかりの
何色にも輝ける可能性を秘めた原石たちが
続々と頭角を現している。

本記事では
「ルーキーイヤーを戦う男たち」と題し、
12月に公開した【前編】では
宇都宮ブレックス・荒谷裕秀にフォーカスした。

記事を公開後、荒谷の活躍はさらに著しく、
2022年だけで
すでに4回もキャリアハイの得点を更新。

持ち味のオフェンス面で違いを出せる男が
ようやく、そのベールを脱ぎ始めている。

一方、西地区に目を移すと、
東海大学で主将を務め
"日本一"を掴んだ津屋一球が、
終盤戦の"台風の目"になりそうな
三遠ネオフェニックスで脱皮の時を迎えている。

後編】では、
その進化の記録を記しておきたい。

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3Pシュートだけじゃない、津屋一球の今

もし、津屋のプレースタイルを聞かれたら
シューターとしての
印象を挙げる人も少なくないだろう。

前半戦は30%台中盤の
3Pシュート成功率を推移してきたが、
2月のバイウィーク明けに行われた滋賀戦では
2戦合計で11本中8本の固め打ち。

ここにきて、ついに40%台に乗せた。
※3Pシュート成功率:42.3% (3月29日現在)

ただ、いま相手にとって怖いのは
外角だけじゃない。

「エンドワンを取りに行きたい」

そう津屋は語気を強める。

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変化が見て取れたのは、12月のことだった。

この頃、チームは外国籍選手に
ケガやコンディショニング不良が目立ち、
ロスターを8人で戦う試合もあったりと
苦しい台所事情が目立っていた。

だが、その中でも収穫だったのが
日本人選手たちに芽生えた点を取る意識

それまでルールを遵守するように
遠慮がちだった津屋以外の選手たちも
果敢なリングアタックを見せ始め、
活気のあるチームの姿が顔を覗かせていた。

12月4日の三河戦。
その変化の兆しを、津屋はこう語っている。

「自分が中心選手ぐらいの気持ちで
 ボールを受けたり、触りにいかないと、
 チームからの信頼をもらえないです。
 
 正直、外国籍選手だけが活躍する展開だと
 ゲームをやってる感じがしないですし、
 今まで皆が遠慮しすぎていた部分があって
 日本人選手がもっと存在感を出して
 やらないといけないと思いました」

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それまでの津屋が、
積極的なアタックをできていなかったのは
気持ちに自信がないことが原因だった。

そんな時、ふと学生時代の記憶を辿ると
あるヒントがあったと言う。

「中学・高校は結構アタックしてたんですよ。
 なんで自信があったのかなと思ったら
 3Pシュートより
 ミドルシュートの方が自信があった。

 "ミドルがあるという安心感があった方が
 ドライブができる"という考えが僕にあって、
 11月・12月ぐらいから3Pシュートと同じぐらい
 ミドルシュートを打つ練習
をしました」

これで、余裕が生まれた。

ドライブでリングまでアタックできなくても
「ミドルシュートが入ればいい」
そう考えたら、必然的にドライブは増えた。

❶に3Pシュート、
❷にドライブ、そしてダメなら
❸にミドルシュートといった具合に。

自分の得点パターンだけでも
3つの選択肢ができたことで、
チームのオフェンス面にも好循環が働いた。

「より周りを見られるようになりました。
 去年までの僕だと
 ただレイアップに行くことしか
 考えてなかったですが
 アシストが4つとか増えたりする時もあって
 そういう部分に繋がってると思います」

ディフェンスが楽しい

そして、オフェンス面でだけでなく、
ディフェンス面でも存在感を示し始めている。

今季は大阪のD.J.ニュービルのような
エース級の外国籍選手、
また、時には名古屋の齋藤拓実のような
起点となるポイントガードにつくことが増えた。

夏に一度取材に行かせてもらった時は、
"特別指定選手"だった1年目の苦労話の印象が強く
筆者はその成長に驚いていた。
少なくとも、
DFで存在感を発揮する選手ではなかった
と記憶していたからだ。

それでも
ディフェンス第一主義を掲げる
清水太志郎HC代行のもとでは、
エースが集う3番でスターター起用が続く。
それだけディフェンス面での
信頼が大きいことが頷けるだろう。

津屋は成長をこう語る。

「僕自身、東海大学にいた時に
 ディフェンスチームでやってきたんですけど、
 足が動くディフェンダーだと思ってなくて。
 でも、この1年ぐらいを通して
 足が動けるようになってきたなと感じます。

 大前提として、
 前からプレッシャーをかけられるようになり
 簡単に抜かれなくなった。
 そういうところからチームの中でも
 ディフェンスを任せられる存在になれた
 手ごたえは感じていますね」

 この1年で、なぜ足が動くようになったのか?

 その質問には
 「僕も分からないんです」と笑ってみせたが、
 「半分以上は気持ちです」
  実に津屋らしい答えが返ってきた。

「もっと前でプレッシャーをかけたい、という
 気持ちになってきて、それが楽しくなって。
 自分の気持ちが前向きになってきた上に、
 何回もやっていくうちに
 感覚的にコツを掴んでる感じかなと思います。
 すべては気持ちからです」

「ディフェンスが楽しい」
津屋はハッキリと言ってのけた。

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今季、手応えを掴んだ試合がある。
2月26日・27日に行われた
滋賀レイクスターズ戦。

結果は1勝1敗。
フィリピン代表でキャプテンを務め
攻撃のタクトを振るうキーファー・ラベナに
GAME1では9得点10アシスト、
GAME2では28得点8アシストを許したものの、
ターンオーバーを2日間で
6つ誘発できたことは、自信に繋がった。

「ああいった技術がある選手にも
 ちゃんとついていけると改めて実感ができた。
 前からプレッシャーをかけて
 ターンオーバーを取ったりもできたので、
 試合が終わった後に
 "もっとできる"という感覚になりました」

目指す憧れのプレーヤーがいるから成長できる

外角シュートだけでなく
ドライブから得点や味方をアシストし、
ディフェンスでも存在感を示すことができる
万能型のプレースタイルは、
津屋が常に「憧れの存在」と語る
偉大な先輩に近づくためでもある。

それが東海大学の先輩でもある田中大貴の存在。

とある試合の会見では、
田中のプレースタイルを意識していることにも
言及している。

「大貴さんは自分でボールを持って
 要所で3Pシュートを決めたり、
 ディフェンスでもしっかり要の選手なので
 僕自身、今日は勝手にイメージしていました。
 プルアップもできたし
 アシストすることもできたし
 あとは3Pシュートを毎回決めないといけない」

3月5日・6日、アルバルク東京戦。
津屋は田中と初めて対戦する機会を迎えた。

実際にマッチアップしてみて、
肌で感じた「差」は想像以上に大きかった。
だが、打ちひしがれるような男ではない。

「余裕感というか...
 安定感と余裕がある感じです。
 本当にオーラを纏っている感じが
 すごいなと思いました。
 どれだけプレッシャーをかけても、
 ここで抜いてくるんじゃないかとか
 そう思わせるような素振りもあったりとか、
 「いつでも、何でもできますよ」という感覚が
 本当にすごいなと思いました。

 改めて尊敬できるし
 憧れの選手だなと改めて感じて、
 やっぱり早くそこまで行きたい、
 早く超えたい
という気持ちが
 より増した試合でした」

目標を口にし、有言実行していく

「日本代表になる」
「新人賞を獲る」

津屋は目標をハッキリと口にすることで、
その差を埋めるための努力や
行動を自分に意識づけできる選手だ。

「田中大貴を超える」

実際に対峙して距離感は理解できたはず。

一歩一歩、その差を埋める作業が、
もっと高みへと連れていってくれるだろう。

今は3Pシュートパーセンテージが良いので、
本数が増えても、
絶対に落とさないようにしたい。
あとはドライブのところも
もっと意識して決めていきたいです。
エンドワンを取りに行きたいと思っています。

Bリーグに新しい風を吹き込むルーキー世代。
まだ23歳、
可能性はどこまでも広がる。

彼らが新時代を切り拓くのか。
ニッポンの未来に彼らの成長を重ねて
今後の活躍も追っていきたい。

▼津屋一球選手 特集(21年9月公開)

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