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絵本読み聞かせノート

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子どもへの読み聞かせの時間を通して、気づいたことや考えたこと、見出した問いを掘り下げてみた備忘録です。
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#絵本

川の日なので加古里子『かわ』を読む|あわせて『たいふう』『だむのおじさんたち』も…

今日、7月7日は七夕ですが、それと同時に「川の日」でもあるそうです。ということで加古里子…

自然とわたしとあなたのかさなり|庭を描いた絵本を読む

よく、よい家庭ができるためには、家だけでなく庭も大切、だから「家庭」なんですよ、というホ…

建築への妄想力を高め、おうち時間を充実させてくれる「オススメ絵本リスト」

子どもが読んだり、読み聞かせしてもらったりすることを想定しているにもかかわらず(だからこ…

元・建築設計士アネット・チゾンが描く絵本『バーバパパ』の世界

世界的人気を誇るキャラクター「バーバパパBarbapapa」は、アネット・チゾン(Annette Tison:1…

絵本作家・石崎なおこの世界|〈似ている〉が生み出す発想の転換

最近、わが家の「オヤスミ前の読み聞かせ」レギュラー絵本は『ものすごくながいちょんまげのと…

住むこと 生きること 働くこと|絵本よみきかせノート はじめに&目次

noteのマガジン「絵本よみきかせノート」や「子育て観察ノート」に書き散らしていた文章たちを…

異なるスケールをつなぐ|おおでゆかこ『シロクマくつや』3部作を読む

子どもに絵本を読み聞かせしていると、子ども向けと侮っていた物語に「おお!これは!」と深遠な意味を発見したり、子どものころにはスルーしていた文脈に気づいて「読める!読めるぞ!」と叫んだりする瞬間があります。 絵本『シロクマくつや』(おおでゆかこ、偕成社、2014)(図1)とふたつの続編『シロクマくつや:ちいさなちいさなうわぐつ』(同、2016)、『シロクマくつや:すてきななつやすみ』(同、2017)もそういった絵本たちです。 図1 おおでゆかこ『シロクマくつや』 3部作に

西山夘三の嘆き/加古里子の願い|高層アパートと持ち家・一戸建てをめぐって

1974年12月27日。帰宅した西山夘三(1911-1994)は家に残されたメモ書きを発見します。「子供…

ねんねすること/ねんねすると言えること/そして、表現できること

寝る前の読み聞かせ絵本。寝る前だけあって『おやすみなさい』(ヴィルジニー・アラジディほか…

加古里子と住まいの復興|絵本『あなたのいえ わたしのいえ』を読む

絵本作家・加古里子(1926-2018)の愛らしい絵本『あなたのいえ わたしのいえ』(図1)。家を…

夏休み、実家に帰るメカニズム|絵本で読む戦後日本型循環モデル

のりもの絵本の巨匠・山本忠敬(1916-2003)の代表作『しゅっぱつしんこう!』(福音館書店、1…

家財道具との連帯|絵本で読む「モノ」と「ヒト」の関係とその再編

民俗学者・今和次郎(1888-1973)は、敗戦直後の1945年末に出版した『住生活』(乾元社)の冒…

アンパンマンという正義|戦後消費社会にパンを与え続けた愛と勇気の行方

次女がアンパンマン適齢期になって、我が家にひさしぶりにアンパンマンが帰ってきました。長女…

絵本で読む「働くこと」【3】|うどんの「開かれ」とノラネコの「ほぐし」

なんとなく就職した会社でながく働く人もいれば、意中の会社に入社したのにわずかな期間に転職を決める人もいます。本人は勤めるつもりがその会社がなくなるなんて話もよく耳にします。 前回は『セミくんいよいよこんやです』(教育画劇、2004)と『ケチャップマン』(ブロンズ新社、2008・2015)を対比しながら、エンカレッジされた経験が自己実現の下地になる中曽根臨教審以後の世界と、とはいえ、現実社会はたとえ自己実現したかにみえても空虚な思いに満たされる「こんなはずじゃなかった」感につ