面白かった授業の思い出

思い出に残っている授業ってありますか?
義務教育までは「これは教えなさい」って規定がある訳ですが、色々と工夫して先生方も教えていて、中にはちょっと特殊な授業をされている先生もいらっしゃいます。
そんな、ちょっと変わってたなーと思った授業の思い出を語ろうと思います。

現在は小学校から英語の授業がありますが、私の頃は中学校からでした。進学するにあたり、英語ってどんな感じなんだろう…と不安に思ったものです。
今みたいに英語圏出身の先生もほとんどいなくて、先生ご自身もその点を考慮していたのかもしれません。中学1年生の時の英語の先生は、最初の授業である映画を見せてくれました。
『Sound of Music』です。家庭教師として派遣された先生とその家庭の子供たちの戦時下での様子を描いた名作ですね。元々はミュージカルの舞台で、たくさんの歌が出てきます。ドレミの歌とかエーデルワイスとか。
(尚、詳しくあらすじを調べたところ、主筋は家庭教師マリアと子供たちの父親トラップ大佐との恋だった模様。すっかり頭から抜けてました)

先生は字幕なしのその映画を私たちに見せました。当然、英語のわからない私たちはブーブー言いつつ見始めた訳です。だって何を言っているのか、まったくわからないのですからね。
ところが、気がつけば皆、その映画に惹き込まれ、教室内は静まり返りました。教室に掛けられた時計の針の音が聞こえるほどに。
何を言っているのか、正確なところはわからないまま、それでもその映画の世界で何が行われているのか、何が起こっているのか、私たちにも伝わってきたのです。私たちは息を呑み、画面に釘付けになりました。エンドロールが流れた時、どの生徒もホッと息をつき満足げだったのを覚えています。

それで英語に対する興味が湧いたのかと言われると微妙ではありますが(笑)、強烈な印象を残した授業ではありました。

もうひとつ、これも中学校での授業です。
理科を担当している先生はかなりクセの強い方でした(笑)。生徒は男女の区別なく、すべて君付けで呼んでいて、何故なのかと尋ねたことがありました。
「君というのは尊称で、男女で分けるのはよろしくないと私は思う。だから私は君たちをすべて君付けで呼ぶのだ」
というようなことを仰っていて、私も納得したものです。ユーモアがあって面白いけれど、生徒が何か間違いをした時には大きな声で叱り、良いことをすれば大きな声で褒める、そんな先生でもありました。

そんな理科の先生は、授業でカエルの解剖をしました。生徒たちを周りに集め、先生が1匹のカエルの解剖をしながら説明をする、そこまでは普通の授業だと思います。
しかし、解剖が終わると先生は生徒たちに外に出るよう指示しました。一体何をするんだと不思議に思いながら外に出ると、先生は校庭の隅に生徒たちを集めました。そこで解剖したカエルを埋葬し、お経をあげたのです。

「このカエル君は君たちのために犠牲になった。君たちも感謝して手を合わせなさい」 と。

正直、反抗期真っ盛りな中学生の生徒の中で真摯にそれを受け取った生徒が何人いたか、定かではありません。バカバカしいと思っていた生徒が大半だったと思います。
ですが、30年経った今でも忘れられない授業です。

大人になって、これらの授業を思い返し、先生はあんなに頑張ってくださったのに、身になってなくて申し訳ないなあ…とは思うのですが、同時に感謝の念は深まりました。
当時、このことに気づけていれば、もう少し真面目に勉強していたでしょう。あの頃の私は先生に恵まれていたのに、もったいないことをしたものです。

大抵の大人は、社会に出てからもっと勉強しておけば良かった、と後悔するといいます。現役の学生にこれを言ってもなかなか伝わらないものです。もどかしいですが、それが人間の愚かさなのでしょう。
せめて、こんな授業があったな、幸せだったな、と思うことで、今更ながらあの頃の先生にお礼を申し上げたいと思います。

先生、面白い授業をありがとうございました!

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