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飼育動画を観て猫様の下僕が思うこと

日頃YouTubeで動画を漁っているが、ペットを飼う人ならば高確率でオススメされる可愛い動物たちの動画。いつも癒されてます、ありがとう!
その中で、飼育に関する動画も数多くある。私は猫様の下僕なので、猫様ばかりがオススメされるのだけど、おそらくわんこでも鳥さんでもうさぎさんでもあるのだろうと思う。
ここでは猫様の話に限定させていただくことをお許し願いたい。

さて、やはり猫様には幸せな環境で暮らしていただきたいと思うのが下僕である。となると、猫様の健康についてや、「これをするのはNG!」というものに関心が向く。
そこでいくつか動画を拝見しているのだが、率直な感想を言えば、

当たり前のことしか言ってねえな

である。
思えば私も下僕歴が今年で26年目。人生の半分以上を猫様の下僕として生きてきたことになる。マジかよ今初めて計算したわ…
もちろん、中には新しい知見もあるが、それは主に病気についてであり、動画を観るより病院へ行く方が早くて確実である。猫様の下僕には常識であろうが、猫様は不調を隠すのがとてもお上手だ。下僕ごときが不調に気づいた時には、四の五の言わずに最速で病院に行くのが最善である。それ以外にない。断言する。

他に気になるのはやはり食事である。最近は種類が豊富にあり、猫様の健康を考えて良いものを召し上がっていただきたいと思うのが当然だ。しかし種類が豊富すぎてわからない、一体何が良いの?と動画を観るのである。
MさんやSさんは病気を患ったり高齢だったので、それはそれは気を遣った。食べやすく栄養があるもの、その上で猫様のお口に合うものを探し、東奔西走したものである。高価なものでも猫様のお口に合わないこともままあることなので、その辺は苦労されている下僕もいると思う。大変ですよね…
Kさんはカリカリしか召し上がらない上に、どうも高価なものはお気に召さないらしく、庶民的なもので落ち着いている。グレインフリーですらない。

この、「グレインフリー」とは穀物類を使わないフードのことだ。猫様は元々肉食であり、穀物を消化する機能が弱いらしい。またアレルギーを持つ猫様もいらっしゃるそうだ。
すわ一大事、と私はグレインフリーのフードを何種類も購入した。結果、召し上がってくださらなかった…まあまあ高かったのに…。

しかし、思えば我が家にいる猫様は元々野良である。どこかで西洋の血が混じったこともあるかもしれないが、代々日本で暮らしてきた、誇り高き野良なのである。
考えてみてほしい。この日本で暮らす猫様の食の歴史を。昔は残りご飯にかつお節や煮干しを載せた「猫まんま」なるものが主流であった。もちろん、魚や小動物を狩って食すこともあっただろう。だが、人間のごく近くで暮らしている猫様が、穀物を食べずに生きてこられただろうか。高確率で口にしているはずだ。
誇り高き野良の末裔である我が家の猫様に関しては、そこまで神経質になる必要はないように思える。実際、アレルギーもないし、特に短命な訳でもない。
大切なのは、猫様のお口に合うものの中で、より良いものを探求することだろう。あとまあ、ぶっちゃけフード系の動画は案件も多いしね(笑)。

※ すべての野良出身の猫様に穀物アレルギーがない、とは言えない。ご主猫様の様子をよくみて判断してくださいね

ただ、ペットショップやブリーダーさんから譲り受けるような血統書付きの猫様は海外生まれの品種であり、注意が必要なのかもしれない。

そういえば、猫様のフードに魚が多いのは日本だけですね。海に囲まれた島国であること、江戸時代までは獣肉を食す文化がなかったことが影響している。手に入る動物性タンパク質が魚だった訳だ。
また、内臓などを含む「〇〇ミール」が入っているものが良くない、という配信者が多いが、肉食動物は内臓を好む。内臓に含まれるタンパク質を摂取する必要があるからだ。よほど悪質な業者でない限り、病死した家畜の肉など使わないだろうし、あまり心配しなくても良いように思うが、どうしても不安ならば避けた方が賢明だろう。少なくとも動物愛護の精神のない原産国ならば注意した方が良いかもしれない。

そして「これをするのはNG!」系の動画だが、ご自分が猫様の下僕である、という自覚のある方にはまったく必要がない。いくつか観たが、すべて常識の範囲内であり、新しい知見は得られなかった。
初めて猫様にお仕えする下僕初心者や、歴が浅くて不安だ、という下僕、あるいは、「人間が飼い主だ」と誤解したままの人間向けである。

それなりに経験を積んだ下僕であれば、猫様を注意深く観察し、猫様の嫌がることは絶対にしない、という行動が身についていることだろう。それは正しい。自信を持ってお仕えしてほしい。
また、誤飲の可能性があるものについてもよくご存知のことと思うし、トイレを常に清潔に心がけるなど下僕の基本中の基本である。たまに忙しくて忘れていて猫様のお叱りを受けることもあるが(申し訳ございません)。

常に猫様ファースト。

それさえ理解していれば、自然と身につくことばかりである。
逆に下僕の皆さんにそういう動画を観ていただきたい。動画の内容以上にコメント欄に驚くことだろう。
私は驚いた。そして、こういう動画も必要なのだと理解した。嘆かわしいことではあるが、こういう動画から猫様への理解が深まり、幸せな猫様が増えるのならば、それに越したことはない。

もし、ここまでの文章を読んでくださった方の中で、猫様の下僕ではない方がいらっしゃったらドン引きされているかもしれない(笑)。
だが、もし猫様をお迎えすることになったら、遅かれ早かれ下僕マインドを持ち、猫教とも言われるこの世界が正しいと気づくことになるだろう。
大丈夫、怖くないよ…楽しいよ…

私も歴の長さに助長することなく、今後も猫様のために精進するつもりだ。猫様が虹の橋をお渡りになるとき、「まあまあの下僕だったな」と思ってくださるよう努力したい。

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