見出し画像

会社の文化、いつから必要?

こんにちは、竹林(@Take_ba)です。
今日はスタートアップシリーズです。

「会社の文化や行動指針っていつから必要ですか?」
「社員のモチベーションを上げるために何をやっていますか?」
「社員が自発的に動いてくれないのですが、どうしていますか?」

こういった質問・相談をもらうことが多いので、今回は「会社の文化・行動指針はいつから必要か?」という話を、僕なりの意見としてこんな感じでお話していきたいと思います。

こちらの内容はstand.fmで配信したもので、記事用に編集されています。
さらに細かいお話なども含めて、本記事の配信はこちらから直接お聞きいただけます。

【結論】会社の文化が必要になるタイミングは、「ミッションが決まってから」

事業やビジョンで変わってきますが、必要になってくるタイミングはミッションが決まってからだと思っています。
文化というとすごく曖昧な言葉になるので、今回は行動指針に絞ってお話していきます。

まずはミッションを決めよう

よく語られるのは、ビジョン・ミッション・バリュー(ミッション・ビジョン・バリューというケースも有る)という順番ですが、今回はそれでいうバリューの話です。

スタートアップには一番最初にPMF(プロダクトマーケットフィット)を探している期間がありますが、その期間に大量に人数を増やすってことってあんまり考えられないですよね。
2・3人ぐらいの創業メンバー+有期雇用やアルバイトのメンバーに協力してもらいながら、最初のマーケットフィットまで持っていくという作業が入ると思いますが、「これでいくぞ!」「この事業ドメインで行くぞ!」というものが決まってきて、結果自分たちのミッションはこれだ、法人格のミッションはこれだと定義ができたタイミングで行動指針が必要になってくるかなと思います。

初期のミッションがある程度決まった後に壮大なビジョンを作り、さらに下に戻って行動指針を作っていくという流れになるケースがほとんどです。
じゃあ行動指針はいつから必要なの?という話の論点でいくと、そもそもミッションがないと絶対に決められないと思います。

行動指針やバリューは会社の性格になるものなので、法人としての性格が社長個人の性格に依存するっていうのは、あまり適切じゃないのかなと思っています。
法人格として判断していくべきところが社長の性格として判断してしまうとなるとそれってやっぱり歪(いびつ)ですよね。
社長ではあるものの、その法人格で行うミッションに合わせた働き方やマネージメントシステムに合わせ、自分もそういう振る舞いをしないといけないと思います。
あくまで行動指針は、ビジョンやミッションを達成させるために必要なものであるという定義なのかなと。

株式会社LOB(弊社)ではどう決めたか

LOB(エルオービー)は楽天社に買収されてグループ会社化していますが、グループ会社化してからの会社のミッションとしては明確で、「楽天の広告プラットフォームを成長させる」ということでしかありません。
広告で使ったテクノロジーというのは、 ECやサービスECの流通を大きくさせるいう役割でもあるので、流通を最大化させようというミッションにしています。ちなみに弊社のミッションは、「流通のケタを変える広告プラットフォームを創る」です。
ミッションが非常に明確なので、ビジョンはLOBには必要ないという判断をしました。そのため、LOBにはビジョンはありません。

LOBの行動指針をいくつか紹介します。

・Respect the others
社内の人達だけではなく楽天の人達や小売店の人達に対しても、リスペクトを持ってプロダクト開発をしていきましょう。

・Be crazy
何万人いる会社の中のぼくらの会社なんて40人程度の小さい会社ですが、僕達がせめてでも強烈な熱量を持ってやらないと、ぬるぬると物事が進んでいくだけ。
まずはとにかく強い情熱を持ってやっていこう。

Respect the othersに関しては、一見ふつうのコトじゃん?と感じられると思いますが、我々のミッションを達成するための仕事の進め方として、大企業の大きな組織の間に立ち、うまく進めないと目的地に到達するのが結果的に遅くなってしまうという属性を持っています。

そのため、自分たちの主張ばかりするのではなく、社内の複数部署の方々のニーズや既存のビジネスへのリスペクトを持ち、それでいて気持ちよく仕事が進められるような「人間関係における爽やかさ」のようなものが求められると思います。

このような事情により、この一見人として当たり前なことをバリューの一つとしました。

Be crazyに関しては、その逆で、大きな組織を巻き込み動かしていくためには、とにかく狂ったような熱量が必要だとも感じています。あのウォルト・ディズニーは「情熱を持つ一人は情熱を持たない100人に勝る」と言っていますし、幻冬舎の見城社長の本でも「たった一人の情熱」が最高なものづくりには必要と話されています。

我々の会社は30人そこそこの小さな会社ですが、大きな組織を巻き込み動かしていくには十分な人数だとも思っています。

このように、LOBではミッションを遂行できる行動指針・バリューにしようと、逆算をして決めました。

参考事例

【楽天株式会社】
楽天社には素晴らしいバリュー(成功の5つのコンセプト)が存在し、それを浸透させるために新人の研修などでわざわざ三木谷社長自身がかなり多くの時間を割いて直接研修しているほどです。

ただ、既に事業が多岐にわたり、且つかなり大きな規模になっているため、バリュー=単体事業の成功というより、バリュー=日本を変えるために必要な姿勢くらいの大きな規模で考えられたバリューだと思います。

おそらく創業初期から現在のバリューで変更していませんが、殆どの会社では参考事例にならないと考えています。あれは三木谷さんの視座の高さ(日本をどうするかという考え)からくるものであって、僕が今ツラツラと話してきた「社長の人格≠会社の法人格(性格)」とは少し違うのかなと。圧倒的視座と力強さの前では、理論なんてもんはいらないのかもしれませんね。汗

楽天は、事業アセットがとにかく強いというのが特徴です。
事業アセットとしては、大量の楽天会員ID・ポイント経済圏などかなり強固なものがあるので、アセットの有無で会社の文化やバリューの作り方はかなり変わってくると思います。
モチベーションよりも成果を出した人を何%達成したかどうかで評価し、それを肩書き運用にのせ、評価していく。
人のモチベーションをセンシティブに見ているというより、評価システムや目標設定のシステムで評価をし、結果それがモチベートになっているというかなりシステマチックな運用が、十分なシステムになっているのかなと思います。
組織の中の良さとかモチベーションがみんな高いかとか、そういうことを敏感なほど見ている感じではないです。

【サイバーエージェント】
サイバーでいうと強みは”人”と”変化対応力”です。

・子会社を作って一般社員を社長にしてやる気を持たせる
・責任を持たせる
・抜擢をする
・勢いのある若手をもっと勢いづける

上記のように、人がとにかくやる気になっていくこと自体を強みにするというのが特徴だと思っています。
近くに住むと家賃補助がある・気軽に飲みにいける仲間が社内にいるなど、会社のありとあらゆるところに熱量が高く保てる人事システムが会社から用意されているというような環境でした。
(僕がいた頃から5年弱経つので、今は変わっていることもあると思いますが)

CA社も事業をコングロマリットに展開していて、かつてはビジョンを「21世紀を代表する会社を創る」とし、Mission Statement(ここでいうバリュー)では、インターネット産業で21世紀を代表する会社を創るために必要なスタンスが書かれています。

単体事業の成功ではないですが、「インターネット産業で21世紀を代表する会社を創ること」を目的としたバリューとして見事に機能していたと思いますし、それを浸透させるための言語化や浸透施策は他社が真似できないほど様々取り組んでいた印象です。

・販売パッケージが決まっている会社
広告媒体営業・人材営業や不動産営業は、売り方がある程度決まっています。
そういった会社では、社員の評価は数字のみで一定評価をして回るはずなんですが、一方では競合が多い文化なので、単純に優秀な人を採用するということで考えると、採用が相当大変になってくると思います。
差別化が難しくなるため採用で差をつけようということになり、採用文脈として会社の文化が必要になってきます。

そのため、事業成功のために、というよりかは、事業成功のために必要な人材を集めるためにミッションや文化が必要、という解釈なのかなと思っています。


まとめ

Q. 会社の文化や行動指針はいつから必要ですか?

・ミッションが決まってから

マーケットフィットして事業戦略が決まったその後でも良いと思います。

Q. 社員のモチベーションを上げるために何をやっていますか?

・まずは仕組みで解決することを考える
・評価の仕組みを作れる事業であれば、過度にモチベーションに気遣う必要はない
・それで悩むくらいなら、そういう採用をしてしまってるということ

まずは、モチベーションを上げる必要があるのかどうかです。
せっかくバリューを決めたのにそれに添った形でモチベーションを上げてくれないんです!とか、モチベーションを上げるためにバリューを決めたいです!みたいな話は、バリューの目的を履き違えていると思います。それとこれとは全く別です。

もちろん、モチベーションが高いことに越したことはないし、社長としては社員のみんながモチベーション高く仕事をしてくれていると相当幸福感があるものです。

ただし、採用した人100人中100人がモチベーションを常に高く維持するのは無理だと思いますし、社長も自分が嫌われたくないだけなんじゃないか?というところを考えてみてください。
それは嫌われているわけじゃなくて、事業モデルに合っていないモチベートの人と思えば良いです。そう思えば、その後も個人的な人間関係はちゃんと継続していけるはずです。会社をやめたからと言ってその人の人格を否定する必要なんてありません。
この時代のIT企業で働く人たちにとっては終身雇用なんて無関係な話だと思うので、そういう考えの会社が世の中に存在してても良いかなと思っています。
そこも、仕組みでモチベーションを高く保ってくれる人をとにかく大切にしよう、ということですね。

Q. 社員が自発的に動いてくれないのですが、どうしていますか?

・放っておいて評価をしない、それだけでOK

自発的に動いてくれない社員と飲みに行ってひたすら話して…みたいなことに、社長や中間管理職の人の時間を費やしすぎてしまうのはNG。
組織の成果を出すことが仕事なのに、社員のモチベーションをあげることが仕事、みたいなことを思っているマネージャーが多すぎますね。
仕組みで解決していくことを考え、入り口をもっと細かく定義した方が良いと思います。

次回予告

Stand.fmでは創業期〜100人規模のマネジメントについて、と話していましたが、そもそも僕は100人規模の会社をマネジメントしたことがないことにあっさり気づきましたので、市場調査シリーズ「ビジネスコーチングについて」をnote化していきたいと思います。

ラジオでは、記事化しないこともたくさん話していて、毎日(できればっ!)なにか投稿しているので、お時間あるときに是非、よければ聞いてみてください🏀


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?