なぜデ・ブライネは全力疾走でいとも簡単にゴールを決められるのか。
熾烈な優勝争いを繰り広げる今季のプレミアリーグ。
その天王山と位置付けられた首位アーセナルvs2位マンチェスターシティ。
この試合を決めたのは我らがデ・ブライネさんでした。
この記事ではデ・ブライネさんのゴールを徹底的に分析し、彼の何がそんなに凄いのかを丸裸にします。本当は2ゴールともやる予定でしたが1点目だけで長くなった上に2点目の方が語りたいことが多いので2点目は改めて取り上げます。
久しぶりのnoteへの投稿ということでテーマを何にするかずっと悩んでいたんですが、デ・ブライネの解説記事で世に出始めたところがある僕にはうってつけのネタが降って参りました。
まだお読みでない方は是非。1シーズンの全ゴール分析もやってるのでそちらも良ければ!
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該当シーン
(再生すると該当シーンが先頭に来るようにしてあります)
半端ないですね。このスピードで行かれてそのまま打たれたらそりゃついていけないです。
全速力で走ってきてボールを蹴ろうとするとどうしても詰まったような当たりになったり、体が流れてしまって上手く脚を振り切れなかったりするミスが多くなってしまうかと思います。
このミスの原因は大きく分けて2つで、
軸足でのブレーキが不十分であること
助走の歩幅が合っていないこと
であることがほとんどです。
以下、それぞれの要素についてデ・ブライネ先生をお手本にしつつ詳しく解説していきます。
ポイント1:軸足でのブレーキ
そもそも軸足の役割はアクセルかブレーキかという問いから考えてみましょう。アクセルは軸足が地面についた後、体を前に勢い良く運びながら蹴るイメージ、ブレーキは軸足がまさに軸のようになり体を前に運ぶのではなくその場に留まり蹴り足だけが振られるような形を作るイメージです。
ここまでの流れから明らかな通り答えはブレーキなんですが、前提知識のない選手に聞いてみるとアクセルと答える人の方が多い印象です。良いキックに必要な要素の認識がずれていたら当然キックのパフォーマンスは高いものになり得ないので正しいイメージを持つこと、そのためにある程度の知識を身に付けておくことは重要だと思います。これを伝えるのがまさに僕のお仕事ですね。
では、なぜ軸足でブレーキをかけることが重要なのかと言うと、実は体の一部にブレーキをかけることによって他の部分を加速させることができるからです。これはムチの先端が加速される原理と同様であることからムチ動作などと呼ばれますが、そもそもほとんどの人は鞭を扱ったことがないので良くわからないですよね。
大雑把なイメージとしては、電車や車に乗っている時に急ブレーキがかかると体が投げ出されるようになる感じで良いかと思います。あの時の動きって結構速いですよね。あの感じで、助走で勢いをつけておいて軸足側だけにブレーキをかけると蹴り足がグンッと前に押し出されるようにして加速するというようなイメージです。かえって分かりにくかったらごめんなさい。
また、軸足でブレーキがかかることにはボールへのインパクトがしやすくなるというメリットも存在します。勢い良く助走をつけて蹴るとインパクトがずれやすくなるというのは既に述べた頻発するミスですが、これはブレーキがかからず体が流れてしまうことによってボールと体の位置関係を適切に作れなくなることが大きな原因です。
例えば、ボールに対して体が異様に前のめりになって覆いかぶさるような形や横方向(特に蹴り足側)に倒れながら無理矢理蹴るような形になることで詰まるようなインパクトしかできなくなるというのは良くあるミスです。
これも軸足で適切にブレーキをかけることで解決することができます。
一般論の説明がだいぶ長くなってしまったので、そろそろデ・ブライネ先生のお手本に移りたいと思います。
誤解:走り抜けて蹴る?
ここまで軸足のブレーキの重要性を説いてきましたが、改めてデ・ブライネのゴールシーンを見ると、ブレーキをかけずに走り抜けているように見えるでしょう。というか実際に蹴った後は走り抜けているんですが、軸足のブレーキ(特に横方向)はしっかりと効いているのでその様子を確認してみましょう。
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