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■リリース作品 / 色街乙女™ 1st Single / 綴じ紐

ある夏の静かな夜。
雫石カロナと白河梨々香は行きつけの小さな喫茶店でアイスカフェオレを飲んでいた。
客はほかに誰もいなかった。
店内にはジャズが流れていたが、マスターにジャズ喫茶というほどのこだわりはなかった。
入口のベルが涼やかに鳴った。「まだやってますか?」
ひとりの女がふらふらと入ってきた。
単色のワンピースを着た、色気のある女だった。
髪が乱れ、ずいぶん酔っているようであった。
彼女は席につくなり、吐き出すように話し始めた。
昭和歌謡を思い出させる、切ない物語を。