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部下が新規事業の企画書を持ってきたときに上司が取るべき行動

 多くの企業は、新規事業を立ち上げたいと思っている。会社としても推奨している。部下が新規事業の企画書を持ってきた。そんな時、どうすればいいかについて解説する。

1.最初から完成された企画書はない

 まず、最初に企画書への向き合い方をリセットしよう。大抵の場合、上司であるあなたの脳は「部下が新規事業の企画書を持ってきた場合の対処法」をインプットしていない。このため、知らず知らずのうちにこれまでのやり方で対応することになる。新規事業開発を0→1とすれば、これまでの仕事は1→10(成長)、10→100(安定・拡大)、100→0(終末)になる。いずれの時期もやり方が違う。だから、向き合い方を変えなくてはいけない。

 どう変えるかと言えば、これは原石探しだと捉えること。これから事業を進めていく際、企画書通りに進むことなんてほとんどない。所詮は1人の人間が、顧客の気持ちを想像して描いた世界の上に成り立っている。その世界は架空のもので、現実世界は全く別だったり、似ているけど違う世界だったりする。

 実際、僕の場合は開発をスタートして1年の間に、e-コマース → プラットフォーム → as a Serviceと業態を大きくシフトしてローンチした。最初から最終形を描いておけよ、それは僕の思考が甘かったんだろうと思うかもしれない。しかし、断言する。最初に今の形を描くことは絶対に出来なかった。僕は、その1年間、顧客に提案をして反応を見て、修正を加えてまた反応を見て、説明用資料を作って意見を受けて、もちろん本を読んで関係者と打ち合わせをして、想定する顧客とのコミュニケーションとビジネスモデルの修正に膨大なエネルギーを使った。

 最初の企画書は、この作業を進める為の第一歩にあたる。企画を磨いていくためには、顧客に最初の提案をしないといけない。これから行われる膨大な作業のスタートラインに立つというだけだ。

2.企画書はオリジナリティが大事

 どれだけ発想が普通ではないかは重要なキーになる。

 どれだけ洗練されているか、はあまり意味がない。網羅的であるか、もあまり意味がない。一つ一つの前提を聞いてみて欲しい。例えば価格設定。価格設定が狂えば全ての事業計画は狂う。でも、企画者は現時点では想像して価格を付けるしかない。経費だって妄想だ。どんなにきれいな企画書でも、その中身はいくら掛かって、いくら儲かるかなんて分からないものだから、そういう話は後回しでいい。大切なのは核となるオリジナリティだ。

 オリジナリティをどこで見るかといえば、「技術」、「自社の強み」になる。これらはなかなか他社が真似できない。特にこの2つが網羅されていると、かなり高い参入障壁になる。

 もう一つ「仕組み」が新しいとうまくいくケースがある。これは巨大なマーケットを手に入れることが出来る為、魅力的でもあるがかなり厳しい世界にもなる。うまくいったところでいえばLINE、メルカリ。BtoBの世界でも同じように覇権を取っているサービスがある。このケースの場合、他社優位性はどれだけ皆がそのサービスを使っているか(ネットワーク効果)や、どれだけ便利か、ということになるので、開発に莫大な資金を投入し、とにかく素早く市場に価値を提供していく必要がある。最初の1年で何千万円と掛けてサービスを開始して、次の年もその次の年も同じように資金を注入していく。そんな考え方もある。

 いずれにせよ、このオリジナリティを軸としてここから先は圧倒的なスピードで顧客との会話をすることが成功のカギとなる。企画書をパワーポイントにまとめて顧客の前でプレゼンしてみる。顧客の意見を聞いて修正を加える。これを何度も何度も繰り返し、しばらく経ったらシステムならモックでもいいし実際に作ってもいいし、有形のモノであれば模型でもいい。具現化してまた意見を貰う。そうして、ブラシュアップして…。

3.新規事業開発に向いている人か

 なんだかんだ言ってきたけど結局、仕事は人。

 色々言ってきたものの、結局その仕事がうまくいくかいかないかは人に依存する。新規事業開発のように少人数で行うプロジェクトはなおさら。では、どんな人が新規事業に向いているのだろうか。部下は自分のことを理解していない。上司はこの部下が新規事業に向いているかどうかを見極めないといけない。それを見極めてあげる必要がある。別に新規事業開発をやることが優秀な人というわけではない。どちらかといえばその世界で生きるのは特殊な人であり、向いている人の絶対数は少ない。それを見極めてあげるのも、それを知りつつ挑戦させてあげるのも上司の役目だ。

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