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#39 デジタルシティズンシップ教育と生成AIー 未来のデジタル市民のための教育の重要性ー


1 はじめに

 現代のデジタル社会では、インターネットやデジタル技術が日常生活のあらゆる面で不可欠な存在となっています。情報の洪水の中で、正確な情報を見極め、安全にインターネットを利用するためのスキルがますます重要です。
 令和5年7月4日に、文部科学省から「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」の中に、「⽣成AIの教育利⽤の⽅向性」について以下のように示されています。

文部科学省(2023)「初等中等教育段階における 生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」、p4

  生成AIのメリットとデメリット、生成AIに関連する懸念やリスク、そして情報の真偽を確かめる習慣を身につけることなど、AI時代に必要な資質や能力の向上が求められています。
 そこで今回は、「デジタルシティズンシップ教育」と生成AIにおける「ファクトチェック」が果たす役割について考えてみたいと思います。

2 デジタルシティズンシップ教育の現状と重要性

 デジタルシティズンシップ教育は、インターネットやデジタルデバイスの利用に伴うリスクや責任を理解し、安全かつ倫理的に行動するための教育です。この教育は、特に若年層において、オンラインでの適切な行動を促すために不可欠です。
 
 世界の現状を見てみると、多くの国でデジタルシティズンシップ教育が導入されています。アメリカやイギリスなどでは、カリキュラムの一部としてインターネットの安全性やプライバシー保護、サイバーいじめの防止などが組み込まれています。これにより、子どもたちはデジタル世界での責任ある市民として成長するための基礎を築いています。
 
 日本の状況も同様に、デジタルシティズンシップ教育の重要性が認識されつつあります。文部科学省は、情報モラル教育の一環として、インターネットリテラシーやセキュリティ教育を推進しています。しかし、学校によって実施状況にばらつきがあり、全国的な取り組みが求められています。

3 生成AIにおけるファクトチェックの必要性

 生成AI(例:GPT-4など)の発展により、AIが自動生成する情報の信頼性を確認することがますます重要になっています。生成AIは、私たちが必要とする情報を迅速に提供してくれる一方で、誤情報や偏った情報を生成するリスクも抱えています。

 ファクトチェックの役割は、こうした生成AIの出力が正確で信頼できるものであることを確認することです。これには、生成された情報を他の信頼できる情報源と照らし合わせることが含まれます。世界中でファクトチェックの重要性が認識され、多くの教育機関や企業がこのスキルの育成に力を入れています。生成AIの情報を批判的に評価する能力を養い、誤情報の拡散を防ぐことが期待されています。

4 おわりに

 デジタルシティズンシップ教育と生成AIにおけるファクトチェックは、現代社会で責任ある行動を取るために不可欠な要素です。デジタルシティズンシップ教育と生成AIにおけるファクトチェックの共通点は、どちらもデジタルリテラシーの強化情報の批判的評価を目的としていることです。また、倫理的な行動を重視し、責任あるデジタル市民の育成を目指しています。これらの教育を統合的に行うことで、子どもたちがデジタル社会で健全かつ安全に生活できる力を身に付けることが期待されます。教育現場では、この両者を効果的に組み合わせ、次世代のデジタル市民を育てる取り組みが求められます。

 今後も、授業改善や働き方改革に向けて、効果的な活用方法を模索していきたいと考えています。
 子どもたちの深い学びの実現、教員の働き方改革の推進に向けて、ともに頑張りましょう。

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