#41 【教員のための生成AI活用ガイド⑤】生成AIを活用したデジタルシティズンシップ教育ー生成AIの情報って、本当に正確なのかな?ー
1 はじめに
ChatGPTやCopilotなどの対話型生成AIは、まるで人間と自然に会話しているかのような応対で、文書や素案の作成、画像の生成などが可能です。大量のデータをもとに、本物らしい答えを作り出すことに長けていますが、時には間違った答えを正しいかのように提示することもあります。
千葉県教育委員会が作成した「生成AIの利用ガイドライン」には、この点に注意を喚起する記載があります。
このようなガイドラインを踏まえ、学習指導で生成AIを活用する際には、情報モラル教育の一環として、生成AIの誤りを含む回答を教材に用いることが重要です。教師はその性質や限界を児童生徒に理解させ、正しい情報の見極め方を教える必要があります。
そこで、「デジタルシティズンシップ教育と生成AI」についての実践例を紹介します。以前ご紹介した下記の記事をご覧になっていない方は、ぜひご一読ください。
#39 デジタルシティズンシップ教育と生成AIー 未来のデジタル市民のための教育の重要性ー|Wayama@MIEE_Teacher (note.com)
2 授業実践例
★修学旅行で行く「鎌倉市」について学ぶ★
教師(T): 鎌倉市について、生成AI(ChatGPT)に聞いてみよう。
◎小学生6年生に分かるように、鎌倉市について教えてください。(ChatGPT)
#建物の名前
#建てた人
#建物の説明
児童(S): すごい!生成AIって本当に凄いんですね!
教師(T): 次に、鎌倉市のどんな場所なのか、画像を生成してもらおう。
◎「鎌倉市の風景」を教えてください。(Microsoft Copilot)
児童(S): 鎌倉市ってこんな素晴らしい場所なんですね!風景が本当に美しいです。
教師(T): 鎌倉市では「鎌倉大仏」が有名ですが、私が行った時に見た風景とは違うなあ。生成AIの情報って、本当に正確なのかな?
児童(S): え?生成AIの情報が間違ってることもあるんですか?
さぁ、ここからが授業の面白いところです!子供たちは、自分たちで正しい情報かどうかを調べ始めます。何をどのように調べたら正しい情報と言えるのか、鎌倉市のホームページを検索したり、実際に現地を訪れて確かめたりと、さまざまなアイデアが出てくるでしょう。この過程を通じて、デジタルシティズンシップの重要なスキルである「情報の信頼性を評価する力」を育むことができます。
3 おわりに
生成AIを活用したデジタルシティズンシップ教育は、児童生徒が情報の真偽を見極める力を養う上で非常に有効です。実際の授業を通じて、生成AIの限界や注意点を理解させ、情報モラルの重要性を教えることができます。これにより、子供たちはデジタル社会で責任ある市民として成長することが期待されます。
今後も、授業改善や働き方改革に向けて、効果的な活用方法を模索していきたいと考えています。
子どもたちの深い学びの実現、教員の働き方改革の推進に向けて、ともに頑張りましょう。
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