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デマに乗る人=思慮が足りない?

ここ数日、新型コロナウイルスによるマスク不足がその他の紙製品の生産に影響し、トイレットペーパーやおむつが不足するというデマが発生。そのデマに反応した方々が商品購入に殺到し、店頭・ECサイトで品薄状況になっているという報道が各地でされています。この状況に対し、各分野の権威の方が分析をなさっている中、暴挙を承知で私もコメントさせていただくことにしました。専門家の中には「日本人は思慮が足りないのでデマに乗りやすい」「もっときちんと情報の信憑性を吟味・判断しないとだめだ」という論調の方もいらっしゃるようにお見受けします。ですが私のように、クライアントの商品を買いたいというパーセプション(認識)をどうしたら作れるかを考えている人間からすると、今回「デマに乗ってしまった」としても、以下ポイントから決して「思慮が足りない」と言い切れないのでは。。。と思ってしまうのです。

①課題の重大性・緊急性

商品(特にある問題・課題を解決するタイプの物)を買いたいと思ってもらうためには、その商品が解決する課題が、生活者にとっていかに「重要・緊急」であるかを啓発していくことが不可欠です。その点で、まずトイレットペーパー、紙オムツのような「サニタリー」商品の品切れは、生活への影響が甚大ですよね?オムツなどは「紙がダメなら布がある」とおっしゃる方もいるかもしれませんが、布オムツでのお世話って、とても大変なんですよね(※私も娘2人のオムツ替えをした時に「紙と比べて布オムツでのケアがいかに大変か」をいやというほど実感しました)。以上の点からトイレットペーパー・紙オムツの不足に陥らないという「課題」の解決は極めて重大。
そしてマスクのように、早めに手に入れないことで在庫不足に陥るような事態に今回は決して陥りたくない=緊急に課題解決することが必要という心理から、情報の信憑性吟味の前にこぞって行動に出たのだと思います。またどちらもストックしておいてよい商品であり、買いすぎて無駄になることはないという状況も、これらの行動を加速したのだと思います。

②文脈のわかりやすさと状況の納得性

「課題の重要性」に加えて、話が急速に波及し、商品を買うまでに意欲を高めていくのに必要なのが、この「文脈のわかりやすさと状況の納得性」です。今回デマの文脈として「マスクは紙でできている=トイレットペーパー、紙オムツも紙でできている=原料に限りがあるから影響を受ける」というのは一見、とってもわかりやすい論理展開の文脈ですよね。デマが拡がるには人から人への口コミが必要となるのですが、その際に「わかりやすい文脈」であることは、拡散の際の重要なファクターとなりますので、その点でも今回のデマは広がりやすかったんだろうと思います。

そこに加わったのが状況証拠。一番最初にこのデマに飛びついた人がドラッグストア・スーパー各所で買い占めをはじめ、それを見た方たちが「やっぱり本当だったんだ」と思い、AmazonなどのECサイトにいったらそこでも品切れとなると、ますますパニックになり、SNSなどで上記の文脈と状況証拠を伝え「やばくない!?」と伝えていくことで、雪だるま式になっていたのだと予想されます。

以上の要素を踏まえた時、このデマに乗った人=思慮が足りない人、というのは酷なのではと思うのです。むしろ私の子供がもし小さかったら自分もオムツを買いに走っていたかも…ととても他人事に思えず。w

このような状況下では事前にデマ発生を防ぐことは相当難しく、むしろデマの発生を発見した段階で、以下に的確な情報を伝達し、沈静化していくことが大事なのだろうと思います。現状、政府・公式機関からの情報がなされていますが、誤解を恐れずに言えば、比較的、旧来型とのトップダウン型の情報発信(マスメディア➡個人)に偏っていて、内容も「とにかくデマだから安心して」というメッセージにとどまっているように感じます。緊急時の柔軟・十分な対応は難しいことは重々承知ながら、もしできるのなら、今後より早急・的確にデマを打ち消していくには、デマが拡がっていたような口コミルートに乗りやすい「納得のいく”デマ打ち消し”文脈”(ex:マスクの主原材料国=●●、オムツの主原材料国=××)」と「状況証拠(ex:各メーカーの在庫データ)」をそろえ、逆に「拡散希望」のWEB・SNS情報ルートに乗せていくというよな、今の生活者にあった情報ルートを活用することも考えうるのではと思っています。


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消費者行動アナリスト。株式会社インテグレートの執行役員。https://www.itgr.co.jp/ 2児の父。ランニング中毒者(月間走行距離は200km超)。「日本のマーケティングのここが変」「生活者に買いたいと思ってもらえるルール・コツ」についての気づきを発信していきます。