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社会の非常時は、ブランドにも非常時?

今、新型コロナウィルスでさまざまなものが非常時(普段ではない状態)にあります。社会の状態も非常時ですし、人の心も非常時。そんなときにはこのnoteで扱っている、商品・ブランドに対する生活者のパーセプション(認識)にも日常にない変化が訪れうるというのを、先日体験する機会がありました。

 今、世の中がマスク不足に困っています。うちの家も例外ではなく、妻・娘2人がいながら、マスクの在庫が底をついてきました。そこでこの前の週末、私がマスクを近くのドラッグストアに買いに行きました。訪れたのは私が常連のドラッグストアA。特に強いこだわりはないけれど、広告もやっていて何となくメジャーな感じ。そして何よりも「いつも買い慣れていて、何が買えるか分かっている」という習慣性・利便性により、私は継続的なユーザーでいたわけです。

 なので今回もマスクを求めてまずAにいったのですが、残念ながら品切れ。ただ家のマスク事情もひっ迫していて、どうしても近日中にマスクを手に入れる必要がある私は、Aの店員の方に「次はいつ入ってくるんですか」と尋ねたのですが、Aの店員さんは「それは本部の命令で伝えられません」の一点張り。らちが明かなかったので、私は次にすぐ横のドラッグストアBへと行きます。昔からありますが、Aがあるので行く必要を感じなかった存在。マスク切れということで訪れてみましたが、ここも品切れ。ただBの店員の方にいつ入荷するかを聞いたところ「月水金に来る予定です。朝9時開店で、大抵30分前からならんでいます。あと生産状況によっては来ないこともあるので、それはご容赦ください」との回答。

この状況で、私はどう感じたと思いますか?

私に沸き起こった気持ちは以下のようなものです。
まずは「Aの店員さんの気持ちもわかる(入荷するといってしなかったら、それこそ大トラブルになるので、チェーン全体として「いつくるかわからない」とコメントを統一するのは正しい)」という気持ち。一方で「Bの対応、ありがたいな」「めったに来なかったけれど、Bってどんな店なんだろう」という興味の念が沸き起こってきたのです。
マスクは買えなかったもの、その後に店内をのぞいてみると、実はAよりも品揃えが良く、しかも価格も若干安め。後日チラシを見ると「品揃え、安さは負けません」という謳い文句がデカデカと書いてあったのですが、今までは気づかずにいたのですね。長年ある店で、ずっと私の家にもチラシを届け続けたでしょうから相当な投資だったと思います。その投資の甲斐なく、まったくスルーしていた私が、今回の一件でBの価値をはからずも気づくことになったのです。

今回のAとB、どちらが良いとか悪いとかは全く思いません。ただ非常時のちょとしたふるまいの違いが、通常時には起きえなかったBへの興味を引き、チラシなどでは気づかなかった店の価値への気づきを作ったのだけは確か。そして以後A一辺倒だった私は、Bでもいいかもという状態になっています。

「こんなケース極論だ」という声もあるかもしれませんが、非常時にはちょっとしたことが、あるブランドを選んでいるユーザーの認識・行動の見直し(今回で言えば習慣的なAでの購買の見直し)につながる可能性が存在しているということ。一方でそれは(便乗商法的を推奨するわけではありませんが、)いくら投資しても覆せなかった、自分たちのブランドへのパーセプション(認識)がコロッと変わるチャンスといえるかもしれない思った出来事だったのです。

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