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小児病棟で長期入院していた自分が児童養護施設で研修を受けて思ったこと

はじめまして。埼玉県で里親登録手続き真っ最中の加藤です。
先日、里親登録前研修で児童養護施設を訪れました。

自分の中で児童養護施設といえば、子どもたちが親と離れて集団生活を営んでいる場と考えていて、そういう意味では長期入院用の小児病棟と近いかなと思っています。

今回の記事では、先日訪れた児童養護施設と、自分が昔に入院していた小児病棟とを比較し、子どもたちにとっての違いについて思ったこと感じたことを簡単ですが共有できたらと考えています。

各施設の概要

児童養護施設

自分が訪れた施設は、子どもが約100人の大規模施設でした。子どもの年齢は幼児から高校生まででした。大人は職員・パートを合わせて約100人ほどいるそうですが、主に子どもと関わる保育士、児童指導員は約60人でした。

昨今、行政はケア単位の小規模化を進めており、この施設でも子ども6人程度を1グループとし、食事等を共にしていました。

小児病棟

25年ほど前になりますが、自分が入院していた病院は、子どもが約50人でした。子どもの年齢は幼児から高校生までででした。

病気別に病棟が2つにわかれており、自分の病棟は子どもが約2~30人、大人が約15人ほどで、全員医療関係者だったと思います(記憶あやふや)

それぞれの施設の違い

建物や設備、おもちゃの違い

児童養護施設
屋外スペースが広いです。中庭に公園やサッカー、バスケの練習場がありました。その辺の公園より充実しています。

屋内の設備は必要最低限という感じでした。ですが、いい感じでごちゃついていた印象です。新聞紙を小さく切り刻んだものが大事に保管されていました。その子にとっては宝物なんだろうなぁ。

共有の遊び場とグループごとの食事スペースがありました。子どもたちは、風船やぬいぐるみ、カードゲームで遊んでいました。カードゲームで小さいこどもが3桁の加減算をやっていたのはびっくりしました。

職員のPCを借り、子どもたちが集まってネットフリックスでポケモンを見ているときもありました。

小児病棟
屋外スペースはありません。
屋内はキレイでしたが、清潔感のある色合いで、小さい子どもには味気ないと感じるかもしれません。

ほどほどの大きさの遊び場がありましたが、自分は使っていなかったので何があるかは覚えていません。遊んでいる子もあまりいませんでした。唯一、エヴァンゲリオンがテレビでやっているときは満員でした。

普段は友達の病室に集まって遊んでいました。自分の場合は、折り紙や独楽、ボードゲームなどで遊んでいました。ボードゲームは高校生自作でした。普通に凄かった。

違い
児童養護施設は、パズルなどの一人遊びができる知的遊具が少ない印象を受けました。知的遊具は親が子どもに買い与えることが一般的なので、それも理由のひとつなのかと思いました。

小児病棟は子どもにとって刺激の少ない場であることを再認識しました。屋外で遊ぶ場もなく屋内もシンプル。病院の目的を考えたら当然ですね。小さい子にとっては物足りないかもしれません。

携わる大人の違い

児童養護施設
保育士、児童指導員が親の代わりとなって子どもと触れ合っていました。

それ以外に、ボランティアの方や、保育士研修、里親研修で来る方もいて、一緒に遊ぶようです。自分もその一人でした。
子どもたちも知らない大人に慣れているようで、いろんな子がひっきりなしに寄ってきました。休ませてください。

その他、栄養士や看護師などの職員さんも、余裕があるときには一緒に子どもたちと遊んであげているのではないかと思います。

小児病棟
医師、看護師が周りにいますが、一緒に遊んだりすることはあまりありません。将棋好きのお医者さんと2,3度将棋を指した程度です。強かった。

定期的に親が面会に来ます。頻度は家庭によってまちまちですが、1週間おきくらいが多い印象でした。
自分の場合はかなり多い方で週2回来てくれていました。親に感謝。

違い
児童養護施設は、関わる大人の人数は比較的多いものの、それでも足りていない印象でした。
子どもたちの中で大人の取り合いが何度も起きていて、十分に遊んであげることができませんでした。

小児病棟は、大人と遊ぶことはほぼないです。
大人と遊びたい場合は、外泊して自宅で、ということになります。
逆に言うと、外泊が許可されない子は大人と遊ぶことは難しいです。

子どもの過ごし方の違い

児童養護施設
平日は近所の学校に行きます。帰ってきてから宿題の時間があり、それ以降は自由です。

休日はご飯の時間以外は自由のようでした。
イベントなどもときどきあり、サッカーを見に行ったとか、スノーボードに行ったとか言っていました。高校生はバイトもOKだそうです。

自由時間は、年代が近い子が集まって遊ぶことが多いようでしたが、年が離れた子と遊んでいる子もいたり、一人でベッドで過ごす子もいました。外出してもいいですし、学校の友達が遊びに来ることもあるそうです。

勉強はどこでしているのかわかりませんでした。周りが賑やかすぎるので、落ち着くことのできる専用の部屋があるのかもしれません。

掃除や食事運びは当番制で子どもも参加していました。

小児病棟
要安静の子以外は、平日は併設されている養護学校に行きます。帰ってきてから安静時間と勉強時間があります。自由時間は平日だと3時間程度です。

休日も安静時間はありますが、基本は自由時間です。
医師から認められれば外泊もでき、週末は半数くらいの子が家で過ごしていました。

自由時間は、病棟内で各自過ごします。高校生に面倒見の良い人が多かったので、年齢差関係なく一緒に遊ぶ子が多かったです。

余談ですが、週に1回採血がありました。子どもの血管は細いのでよく失敗して何度も針を刺されます。周りの子どもたちと何回刺されたかを競っていました。

違い
児童養護施設は自由時間が多いです。睡眠時以外一人で静かにゆっくりできる時間が取れているかが心配です。

外出に関しては、親に会うこと以外は割と自由が利くようですので、社交的な子にとっては良い環境かなと思いました。

小児病棟は自由時間が少なく、安静にしている時間が多いです。安静の時間は本を読んだり勉強をしたりで、人によっては退屈と感じると思います。

また、イベントごとは少ないです。1年間過ごしましたが、餅つきくらいしか記憶にありません。

まとめ

児童養護施設はとても自由な環境です。自由さの匙加減によってはおとなしい子が不満を覚えたり、やんちゃな子が不満を覚えたりと変わってくるのかなと思います。ともあれ、加減ができるのは良い環境だと思いました。

また、一般的に言われている課題として、本来は親から受け取るべきものが受け取れない、と言われています。その影響かやんちゃな子が多い印象を受けました。

小児病棟は制限が多いです。服薬で体力がないこともあってか、比較的落ち着いた子が多いです。
医療施設ですのでやむを得ないとは思いますが、外の世界とのつながりが少なく、自分は1年過ごしただけで退院時は浦島太郎になっていました。ずっと入院している子は大変だろうな、と思います。

ただ、どちらの施設も良いことはたくさんあります。幅広い年齢の子どもと暮らすことで、小さい子はしっかりしますし、大きい子は面倒見がよくなります。

おわりに

子どもたちが集団で生活をするという特殊な環境を複数体験できたのは、自分にとって非常に良い経験になりました。

こういった施設で暮らしている子どもを可哀そうと感じる方もいるかと思いますが、自分の経験からすると、子どもはすぐに環境に順応するので自分のことを可哀そうだと思う期間はとても短いです。

ただ、子どもが自分のことをどう思っているかは関係なく、特殊な環境で育つ子どもにはその分足りないものがあるかなと思っています。

それが何かを考え、我々大人がそれを補うことができるようにしていけたらなと思っています。

拙い文章ではありますが、この記事がみなさんの何かしらの気づきとなれば幸いです。

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