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自#037|非日常では、型は消滅or変形or changeできた方が、世の中は、より楽しそな気がする(自由note)

Man dose not live on bread alone(マタイ4-4)

アエラで「高級食パンはおこもりの友」と云う記事を読みました。長男が、早朝の散歩を兼ねて、清瀬まで行って、開店の1時間前にパン屋の前に並び、高級食パンを買って来たことがあります。私は、普段は、パンは食べませんが、トレンドに乗っかるために、食べてみました。確かに、美味でした。ほのかに甘くて、口の中で、ふわっと溶ける感じでした。値段は、そこらのスーパーで売っている食パンに較べると、ざっと5、6倍です。お金と情報があれば、美味なものが食べられる、まあ、まさにこれが東京です。

 食パンは焼いたその日ではなく、次の日に食べた方が、よりしっとりとしていて、美味だそうです。一日、寝かせる訳です。通販で買えば、焼いた翌日に届きます。美味な食パンは通販向きなので、巣ごもりがトレンドの今、またもやブームがやって来たと言えると思います。

 この高級食パンの記事のひとつ手前に、テレビ東京の「ハイパーハードボイルドグルメリポート」の記事を載せています。ハードボイルドは、冷酷、非情。「センチメンタルに流れず、つきはなした冷酷」と云ったニュアンスです。作家で云えば、ヘミングウェイ。ヘミングウェイは、最後、猟銃で頭をふっ飛ばして死にます。カートコバーンのような、若者の暴走ではありません。還暦を過ぎてから、冷静に理知的に、それこそハードボイルドな雰囲気で、自己の人生に決着をつけたんです。身体におもりの石を結わえて、多摩川で入水自殺した哲学者がいましたが、日本では、猟銃なんて簡単に手に入らないし、ハードボイルドは、そう易々とは実践できないんです。

 スープを口に入れようとしている若い女の子の写真が掲載されています。名前はラフテーさん。リベリアの元少女兵だそうです。11歳で兵士として駆り出され、内戦の戦場に叩き込まれます。恐怖心を失わせるためにコカイン漬けにされたそうです。戦争が終わったら、社会から放逐されて、生きるために、娼婦として体を売って生活しています。一回の仕事で得る報酬で、一食分だけ食べられるそうです。世界には、生死のギリギリの極限状況で、生きている少女もいれば、ひと晩、寝かした高級食パンで、しっとりふわふわの朝食を食べられるファミリーもいると云うことです。あっ、何か展開が、朝日の天声人語っぽくなりました。自由ノートは、着地点を決めないで書いているので、文章が、どうしたって、ブレブレになってしまうんです。

 現代の肖像のコーナーでは、小林麻美さんがイブサンローランの服を着て、come backしていました。ユーミンと同じ歳ですから、60代半ば過ぎです。60代半ば過ぎのシニアが、イブサンローランを、さらっと着こなして、めっちゃカッコいい、そういうシニアのシニアによる、シニアのためのアイコンが、今、求められているんです。「このおばさん、Who?」とかと、若い子にスルーされても全然、構いません。年金もきっちり貰えて、右肩上がりの経済成長の中で、それなりに貯蓄もして来た、ゆたかな方々が、マーケッティングのターゲットです。

 小林麻美さんの大ヒット曲と言えば「雨音はショパンの調べ」。オリジナルは、イタリアのガゼボが、英語で歌った「I like Chopin」。「雨音はショパンの調べ」と邦題をつけて、日本語の歌詞を書いたのはユーミンです。ショパンのどの曲だって、雨音とはかけ離れています。が、日本語のイメージだと、雨音とショパンの調べは、ふわっと、絶妙にコラボできてしまうんです。

 ところで、小林麻美さんには、日本服飾文化振興財団評議員と云う肩書きがついています。小林麻美さんは、御自分で所有していた180着のイブサンローランのビンテージコレクションを、財団に寄贈されたそうです。体型が変わって、着れなくなったとかではありません。(写真で見る限り)相変わらずスリムで、体型は若い頃と、まったく変わってません。「フランス人は服が10着あればいい」みたいな本が、一時期、売れていました。小林麻美さんは「いまの自分の年齢では洋服は沢山いらない。自然な自分でいるための究極の一着があればいい」と、仰っています。ファッションについて、自分について、とことん知り抜いてしまえば、こういう境地に到達できるんだろうと思います。

 男の人のために可愛いワンピースやスカートを作っているブローレンヂともよさんと云うデザイナーの記事も、興味深く読みました。ともよさんが、想定しているターゲットは、お姉系の男性だけじゃなく、お姉系じゃなくても、女装してみたい多くの男性たちです。年配の男の人が女装をしているのを、時々、電車の中で見かけます。お姉系の人が持つ、独特のオーラとかは別段、発してないんです。普通のおじさんが、普通に女装をしてるって感じです。高校生の男の子だって、時々は、女の子の洋服を着たいと思っているDKは沢山います。これは、間違いなく、今の時代のニーズをつかんでいます。メジャー系のファッションブランドが、なぜ、このことに気がつかないのか、正直、ちょっと不思議な気もします。スーツを着てネクタイを締める解放感の偏差値が30くらいだとしたら、可愛い花柄のワンピースでしたら(まあすね毛の処理とかは、エチケットとしてして欲しいとこです)解放感は、一気に偏差値75くらいまで跳ね上がります。

 男は男らしく、女の子は女の子らしくと云う型があっても、それはいいと思います。日常には型があって、非日常では、型は消滅or変形or changeできた方が、世の中は、ヴァライティに富んで、より楽しそうな気がします。

 ポールオースターの「サンセットパーク」を、今や、いきつけのひっそりとした本屋で注文して、購入しました。注文したのは、4月29日。本屋に届いたのは5月14日。きっちり2週間かかっています。このゆるゆるしたテンポ感が、昭和っぽくて、心地良い感じです。

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