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自#153|個人の先生方の献身的な努力、ソロ活動によって、学校は、支えられている(自由note)

 「通信切断なら面接打ち切り」と云う見出しの付いた記事を読みました。9月15日に出願が始まる大学入試の総合型選抜(旧AO入試)や11月1日に始まる学校推薦型選抜(旧推薦入試)について、複数の大学が募集要項などで、オンラインでの面接が通信不良などで、切断された場合、面接を打ち切る可能性があるとしたり、同意書への署名を求めたりしているそうです。

 信州大学繊維学部は「機器やネットワーク回線の不良により面接官が試験続行不可能と判断した場合は、面接を打ち切る場合があります」と「オンライン面接の注意事項」に、はっきり明記してあります。朝日新聞の取材を受けた信州大学の担当者は
「『打ち切る』と強めの言葉を用いたのは、通信状況の確認など、事前準備をしっかりして欲しいと云う意図からだ」と、とってつけたような、正直、筋の通ってない回答をしています。

 明治大学農学部は「システムトラブルによる再試験等は、原則対応しません」と、要項に書いてありますが、取材を受けると
「受験機会を奪いたいわけではなく、柔軟に対応したい」と、担当者は言い訳をしています。

 実践女子大は、同意書の提出を求めています。「受験する本人の環境不備により、試験に不具合が生じた場合は、試験が成立しない可能性があることを了承します」と云う項目を、要項の中に入れてあります。取材を受けた担当者は
「試験が成立しない可能性とは、不正を想定しており、不安をあおる意図ではなかった」と、まったく論旨のズレた釈明をしています。

 政治家が問題発言をして、おざなりな弁解をしている姿と、正直、そっくりな気がします。いずれの大学も、通信が切断されたら、そこで、the endにするとしか読み取れない要項の内容です。おそらく問答無用で、打ち切りです。クレームが届いたら、個別に対応するつもりだったと想像できます。要項の内容で、nervousな受験生は、かなり不安になっています。通信が切断して、それで落とされて、クレームをつけたりすると、受験生は、その後の一般受験の勉強に、集中できなくなってしまいます。今年の3年生は、英語の4技能の外部試験が、青天の霹靂のように、突然、なくなり、予定されていたり共通テストの国語や数学の記述式問題も、いきなり消えて、コロナ禍で授業が長い間、なかったりして、例年とは較べものにならないほど、大きくふりまわされて来た、不幸な受験生たちです。試験を課す側の大学が強者だとすると、受験生は、圧倒的な弱者です。その弱者に対する思いやり、配慮のかけらも感じさせない「オラオラ」的な無神経な要項だと言われても、大学側は、申し開きできないって感じがします。

 小中高、どこも苦労しながら、対面の授業を6月くらいから始めています。大学は、基本、オンライン授業のままです。オンラインであろうと、対面であろうと、授業料は、まったく同じです。オンライン授業なので、授業料を減額しますと云った話は、寡聞にしてまだ聞いたことがありません。授業料さえ、ちゃっかり徴収すれば、あとは、オンライン授業で、大学側は、楽をし続けて行くと、高校の現場から見ていると、感じてしまいます。

 各大学に、苦労して頑張っている先生が、いらっしゃることは理解しています。が、各先生の頑張りは、まあ職人仕事と云うか、ソロ活動です。大学全体としては、やっぱりアンシャンレジームで、旧態依然とした、昔のままだなと、今回、不安をあおりまくりの要項の内容を見て改めて感じました。

 ところで、とある福岡の県立高校では
「回線不良で試験が続けられない場合、面接を打ち切る場合がある。環境が整わない場合、学校の設備を借りるように」と、大学の要項に書いてあったので(場合と言う単語を三つも重ねて使っていて、正直、工夫のまったくない文章です)
「学校でオンライン面接を受けさせて下さい」と、3年生の生徒が相次いで申し出たそうです。学校(高校)の設備を借りるようにと、要項に書いた大学は、正直、無責任すぎます。そういう環境が整わない受験生は、大学側が、責任を持って対応すべきです。受験料は、3万円やそこらは、徴収している筈です。お金を取るなら、それに見合ったサービスをするのが、ビジネスの基本です。これじゃあ、大学のバカ高い受験料は、たんなるぼったくりじゃないかと、言われてもしょうがないかなと思います。高校に丸投げするような大学は、私が担任でしたら、生徒には、絶対に勧めません。

 丸投げされた高校側は「学校のネット環境も脆弱(ぜいじゃく)で責任を持てない」と語っています。言い訳とか、逃げとかではなく、事実だと推測できます。いつだったか、関西の中学生が、学校のサーバーにアクセスして、成績を書き換えた事件がありました。その学校のセキュリティシステムは、そこらの中学生のなんちゃってハッカーににさえ、突破される脆弱なシステムだったわけです。

各地方公共団体、各学校によって、システムの強弱はあると思います。私は、パソコンに詳しいないので、正確には判りませんが、学校のシステムの方が、自宅のそれよりも、安定しているとは、必ずしも言えないと思います。ですから、一方的に丸投げされても、学校は困ります。が、自宅にパソコン環境がない家庭も、存在します。その場合、本来、大学が対応すべきですが、担任の先生や、情報の先生が、学校のシステムを使わせてくれることも、まあ、考えられます。が、学校で対応する義務はありません。あくまでも、学校側のオプションのサービスです。それぞれの先生のやる気とか、熱意とかにかかっている云う面も正直、あります。結局、大学、高校以下の学校も、本質は同じなんです。個人の先生方の献身的な努力、ソロ活動によって、学校は、支えられています。その努力している先生方が、少しでもやり易くなるような環境を、整えてあげるのが、本来のあるべき姿ですが、まあ、そこは、必ずしも、あるべき姿を追求できてなかったりもします。step by stepで、少しずつ、学校環境は良くなって行くんだろうと、カルヴァンの予定説のように、一方的に信じて、良心的な先生方が、職務に専念していると云うのが、まあ、いつわらざる学校の実態です。

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