【受験ノート】電気通信大学

 電気通信大学(電通大)は、調布にあります。最寄り駅は、調布駅。そこから徒歩5分です。文系の方は、電通大と東京電気大の区別すらつかないと思いますが、ルーツ無線電信講習所の電通大は、電気を使って通信することを研究する大学として、知る人ぞ知る学校です。地方の高校の進路のベテランは、東京と云う地名がついてなくても、電通大が東京にあることは、知っています。東京のどこにあるのかまでは知りません。地方から上京して来た学生は、上石原とか飛田給あたりの家賃の安いコーポに下宿して
「えっ、コレが本当に東京?」と、幾分戸惑っているかもしれません。が、調布駅前にはパルコも西友もあります。駅の反対側には、gergeousな名称、のロイヤルプラザ東急(ただのスーパーですが)も店舗を構えています。

「やっぱり大東京じゃ。便利で良かたい」と、納得すると思います。新宿には、京王線の特急に乗れば15分ですし、吉祥寺にもチャリで行けますが、まあ行かないと推測できます。吉祥寺のライブハウスに電通大のバンドが出演しているのを、私は一度も見たことがありません。基本、IT系のオタクが集まっている学校なので、学校の中と、調布駅周辺で、大学生活のすべてが完結してしまっています。アキバやブロードウェーに行かなくても、ネットで注文すれば、フィギュアもDVDもソフトの基盤を組み立てるパーツも、すべて手に入ります。

 前任校の担任クラスのTくんと云う生徒が、電通大に現役で進学しました。Tくんは、ルーツ無線ハム系の男子でした。夏休みに母校に喋りに来たんですが
「ネラーがいっぱいいます」と言ってました。「ネラーって、何だ?」と聞くと
「2ちゃんの住人のことです」と教えてくれました。電車男がブレイクする、3、4年前の話です。光ファイバーが始まった頃で、2ちゃんは、草創期だった筈です。IT系の学校だけに、2ちゃんへの食いつきも早かったわけです。

 ですから2ちゃんに行けば、電通関連のスレが沢山ある筈です。そっち方面からアクセスして、電通大に進学する生徒も、それなりにいるのかもしれません。

 電通大はUECWOMAN (University of Electro Communication Woman)と云う女子受験者に向けたパンフレットを出して、理系女子(リケジョ)を取り込もうとしていますが、理系女子は、理系単体のCollegeには、そう簡単には集まって来てくれないと推測できます。私はもう、10年くらい現任校に勤めていますが、私が知る限り、電通大に進学した女子は一人もいません。上智とか立教とか青山とかの、まあそれなりに華やかな大学に、リケジョだって、進学を希望すると普通に考えられます。

 ほぼほぼ、二次元にしか興味がない男子が集まっている大学だと言っても、過言ではないと思います。リアルのリア充は、間合いとか、駆け引きとか、記念日のsurpriseとか、いろいろな手練手管が必要です。学校の勉強がかなり忙しいので、そんな余分なことを学んでいる時間的な余裕は、多分、ないと言えます。

 大学1年次が、ある意味、一番大変だと思います(時間的には3、4年次の方が、より拘束されますが、自分の好きなテーマの勉強・研究に打ち込んでいるので、さほど苦にはならない筈です)。文系ですと、英語力を徹底的に鍛えられるわけですが、電通大では、数学力を1年次に徹底的に鍛えます。学校案内に「入学までの段階で修得が望ましい教科内容の水準」が掲載されています。数学に関しては
「基本的な概念や原理・法則を理解し、事実を論理的に考察し、数学的に処理する能力を有していること。特に数学Eまでの履修が望ましく、数学Eまでの微積分の基礎知識を使って、様々な関数のグラフを描いたり、速度や加速度や簡単な図形の面積や体積を計算できること。さらに、複素数方面の基礎的な事項を理解していること」
と、書いてあります。数ⅠA と数ⅡB は、センター試験でcheckできます。個別試験では、数回の試験は、当然あります。ですが、数学重視のA方式と理科重視のB方式に分かれています。数学と理科と両方を重視してしまうと、それをclearできる高い学力を持った生徒は、より偏差値の高い旧帝大や東工大に行ってしまいます。やむえず、苦肉の策として、A方式、B方式を設けているんです。理科重視コースで、入って来る学生は、数学力が不足していると推定できます。電通大は、情報理工学域と云うひとつの枠で学生を入学させ、1年次の後半から情報系のI類、融合系のE類、理工系のE類に分かれ、3年次から14の教育プログラムのどれかに進学する仕組みになっています。つまり、大学の前半の2年間で、自分のやりたいテーマを、見つけるシステムになっているんです。

 1年次は、全員が同じカリキュラムで、初年次教育を学びます。数学は、微分積分学第一と第二、線形代数学第一と第二、数学演習第一と第二、解析学と、1年次の必修が7つもあります。理科は、実験の必修があります。基礎科学実験Aは物理の、基礎科学Bは化学の実験です。どちらも実験後にレポート提出です。レポートの作成法も自ずと学ぶことになります。この2つの実験科目は、正当な理由なく、一度でも休むと、単位は取得できません。電通大の留年率は高く、3割は留年すると言われています。

 中堅公立高校の理系の男子は、理科はできて、数学は仕上がってないというケースが、大半です。受験本番までに、理科はほぼほぼ仕上がっています。ちなみに電通大の「入学までの段階で修得が望ましい教科内容と水準」の理科は
「出来るだけ多くの科目に興味を持ち、正しい自.然観・宇宙観が育まれていること。特に物理基礎、化学基礎に加えて、物理・化学の履修が望ましく、物理の分野では、力学・電磁気学・熱・波動などに関連する現象を論理的かっ数理的に捉えて、それを説明でき、化学の分野では、化学結合の概念や物質の構造及び性質を理解し、化学の成果が日常生活の様々なところで・役だ、っていることを認識し、説明できること」
と書かれています。

 数学・理科ともに高いハードルですが、英語に関しては「基本的な読解力、平易な英文を辞書なしで読み進んでいくことのできる語彙力・文法力や、あるトピックを一つのパラグラフ程度にまとめることのできる英作文力を有していること」と、一気にハードルは下がっています。数学、理科、英語の三兎を追うことは、理論的に無理だと、いたって常識的な判断をしているわけです。論文が読める程度の基本的な英語力は、中二までについています(構文、文法は中二まで。あとはtecnical terms、専門語を覚えれば、論文は読めます)。

 学校案内に、コンピュータ―の端末のデバイスを開発している電通大OBのMさんと云う理系女子が紹介されています。Mさんは、子供の頃から、父親が自宅に持ち帰る回路設計図を眺めるのが好きだったそうです。つまり根っからの回路好きです。
「女子高校時代は、機械や回路が好きだと言っても、共感してもらえませんでした。大学では、同じような考えの友だちが、たくさんいて、居心地が良かった」
と語っています。こういう回路好きのJKがいたら、迷わず電通大に「Go!! 」って感じです。

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