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気付いてはいけないことに気付いてしまったエッセイ

ずっと気になっていることがある。

米津玄師の有名な曲「Lemon」

あの曲には「ウエッ」という音が、何度も挿入されている。

なんだ?ウエッって。

なんなんだよウエッって。

俺には違和感しかない。

どう考えてもおかしい。

いや、もしかして天才にしかわからない、何か重要な意味があるのか?あのウエッには。

その後も何度も聴くうちに、俺には一つの考えが浮かんだ。

もしかして…

ウエッが聞こえているのは、俺だけなのか!?

俺は怯えた。

このウエッは普通の人には聞こえない音なのだとしたら、ウエッは俺に何を訴えているのだ。

ウエッを知るのは俺だけなのか、それとも人類に正しく聞こえているのか、ずっと考えていた。

わからない。

こんなこと、誰にも言えやしないし聞くことなんてできない。

俺の心は荒んでいった。

だがある時、重要なことに俺は気付く。

待てよ…?

過去にカラオケでLemonを何度か聴いたことがあるが、誰もウエッとは言ってなかった。

ということは…

聞こえていないんだ!

いや待て待て。違う。そうじゃない。

あれは正確に言えば歌詞じゃない。言葉じゃなく音だからスルーしているのかもしれない。

くそう、どっちだ?どっちが正しいんだ?

様々な考えが浮かび、俺の頭は混乱した。

俺ならカラオケでウエッと言う。限りなくあの音に寄せた高い声で、ウエッって言うぜ。

そんなことを考えてみたが、友達がいないのでカラオケに行く機会はなかなか訪れず、俺は絶望した。

だがこの戦いは、ある日あっさりと終結する。

ネットで調べると、なんと米津玄師本人が「ウエッ」について語っていたのだ。

よかった、本当によかった。ウエッはこの世界に存在するウエッだったんだ。ウエッ。

俺は幼い頃から、常に何かと戦っている。

誰にも言えない。

親にも友達にも相談できない。

ひとりぼっちの戦争だ。

小学2年生の頃だろうか。

雨の中、学校へ登校していた。

集団登校なので、俺の後ろにもたくさんの子供達が歩いていた。

その時、俺は頭の中でクラスの女子のことを考えていた。

どんなことを考えていたのかは覚えていない。

だが小学生なりに、とてもエロいことを考えていたに違いない。

俺はおとなしく妄想しながら登校していたが、ふとある考えが浮かんだ。

もし、もしもだ。

今、頭の中で考えていることが作文のように靴の裏に浮き出てきて、それが道路にスタンプのように押されていたら…どうする?

後ろを歩いている子供達に読まれたら、俺の妄想がバレてしまう。

まずい…!

俺はあせった。

何度も何度も振り返り、足下を見てスタンプが発動していないか確かめた。

良かった。文字はスタンプされていない。

まぁ万が一そんなことが起こったとしても、この雨で道路に押された文字は消えていくだろう。

よって証拠は残らない。

フフフ、僕の勝ちだ。

こんなことを、俺は真剣に考えていたのだ。

俺は狂っているのか?

頭がおかしいのか?

俺は一体、何と戦っているんだ?

いつもそう思いながら生きてきた。

だがそのうちこんなことは、考えなくなるだろう。

大人になれば、きっと終わると思っていた。

だがこの戦いは、今現在も続いている。

noteと出会えて本当に良かった。

俺の誰にも言えない悩みを、すべて吐き出すことができるのだから。

数日前のことだ。

仕事中に同じ会社の女性のことを考えていた。

美人で優しくて仕事も丁寧、とても癒やされる女性だ。

今の俺の妄想は、小学生の時とはレベルが違った。

妄想の中で、様々な熱いセリフが交わされる。

「もしかして君は俺のこと…」

妄想の中でそうつぶやいた時、我に返った。

今…俺は黙って真面目に仕事をするふりをしていたが、何か喋っていなかっただろうか?

無意識に独り言を言ってなかったか?

最近、仕事中に独り言を言う人をよく見かける。

それもとても大きな声で。まるで誰かと喋っているかのように。

俺も今そんな風に、言葉を口にしていなかっただろうか?

何度も口の中を確かめる。

大丈夫だ。今俺は口を閉じているし、ずっと閉じていた。

この状態で言葉を発することはできない。

大丈夫だ。

自分に言い聞かすが、どこか不安が残る。

もし誰かに聞かれていたら…

俺はいつも不安と戦っている。

ここまで書いて思い出したが、はっきり言ってこれまでの戦いは大したことはない。

最大の戦争は、今も行われているのだ。

これは俺と神との戦い。

そう言っていいのかもしれない。

いつからこんなことを考えているのか、それはまったく覚えていない。

ある日俺は思った。

この世界は本当に存在しているのだろうか?と。

俺は確かに存在している。と自分では思っている。

でもその他のすべては、実は存在していないのではないか。

簡単に説明すると、俺が行ったその場所は存在する。

家を出て、車に乗る。

その車は俺が見たから存在するのであって、俺が別の場所にいる時は存在していない。

実家の親も友人、知人、会社の上司も後輩も、俺が出会った時だけ存在していて、俺が見ていない、会っていない時は存在していないのではないか?

そんなことを考えてしまったのだ。

だから今、アメリカは存在していない。

フランスもドン・キホーテもイオンも存在していない。

今はアパートの一室でこの記事を書いているので、その他は何も存在していない。

俺が眠ってしまえば、この世界のほとんどは消える。

そして目が覚めた瞬間、必要な物、必要な人物だけが俺の目の前に現われるのだ。

俺はたぶん宇宙には行かない。

だから宇宙は元から存在しないし、月も太陽も存在しない。

俺が空を見上げた時だけ、遙か彼方に存在するのだ。

なんだこれは。

一体どうなっているんだ。

そしてなぜだ。

なぜこんな世界が存在しているのだろう。

この世界に存在するのは最初から俺一人で、他のすべての物は偽物?いや一時的に創造された物なのか?

それが真実なら、一体誰が、何の為にそんなシステムを作り出したんだ。

考えれば考えるほど、頭がおかしくなりそうだ。

神…か?

神が創ったと言えば、話は簡単に終わる。辻褄を合わせることができる。

全知全能の神ならば、不可能ではないはずだ。

だがこんなことをする意味がわからない。

そしてなぜ、俺はこの真実に気付いてしまったのか。

もしかして、人類の数だけその一人一人世界が存在しているのか?

ダメだ。

わからない。

そして勝てない。

何をどうやっても、俺はこの神の創ったシステムから抜け出せない。

普段俺は、バカなことばかり言って笑っている。

性格は漆黒の闇のように暗いが、人を笑わすのが好きだから、いつもボケてツッコミをいれて、ウケを狙っている。

でもそれは表面上の話で、裏ではこの恐ろしい過酷な戦いを、今も続けている。

神がいることも、いないことも証明できない世界で、俺は俺であることを証明するために戦っているんだ。


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