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渡米23日目 ついにこの日が到来!?そしてビックニュースが・・・

ついにこの日がやってきた。朝8時過ぎに家族全員で家を出て8時15分の待ち合わせに遅れないようにWilliam H. Lincoln School(リンカーン小中学校)へと向かった。昨日、学校から連絡があり、家族全員で学校訪問に招かれたのだ。早ければ、その翌日から学校に通い始めることができるという。

ブルックラインでも全米各地と同じく先週火曜日からすでに学校が始まっていたので、親としては一日も早く子ども達を現地の小学校に通わせてあげたい気持ちでいっぱいだった。だが、9月1日の書類提出からオンライン面接、英語テスト、さらなるさらなる書類提出と入学審査のプロセスが続き、ようやく最終段階となる学校訪問の日がやってきた。昨日まで降り続いていた雨も止み、今日は快晴。まさに新しいスタートを祝福してくれているかのような気持ちがいい朝だ。

だが、子ども達の反応は違っていた。ふたりともアメリカの小中学校という未知の環境に怯えていて、長男は露骨に「学校に行きたくない」と昨日の夕方、学校訪問が決まった時点から口にしていた。学校は徒歩5分ぐらいの場所にあるが二人の足どリはどことなく重い。

余裕を持って学校に着き、少しメインオフィスで待っているとふたりの先生が迎えにきてくれた。スクールカウンセラーのビビアン先生と日本語担当のフェル先生だ。フェル先生は日本人で子どもたちにも優しく日本語で話かけてくれる。そして、ビビアン先生の話す英語をフェル先生が的確に日本語に直してくれる。僕たちも時々同時通訳に加わりながらの学校見学が始まった。

校長室や保健室、数学の教室、カフェテリア、図書室、体育館、大講堂と順番に回りながら、それぞれの担当の先生に引き合わせてくれる。ここリーンカーン学校は日本の幼稚園年長にあたる5歳児から中学2年生にあたる14歳までの一貫して通うことができる学校で、地域によってはそれぞれが分割されていることも多く、とても珍しいのだという。学校には地域の565人の子供達が通っている。二階建ての校舎の中はとても広々としていて、どの部屋にもとても光がよく差し込む。学校にはバンドの授業もあり、音楽室の近くを通りかかるとたくさんのアコーステックギターが並んでいて、とても自由な雰囲気を感じる。

ブルックラインの公立校は、医療と教育に力を入れているマサチューセッツ州の学校の中でもとても裕福なエリアにあり、その分家賃は高いものの、私立高校以上に教育環境が充実しているのよと、Directingクラスの担当教授であるジュリアからも聞いたばかりだった。全米の学校を10段階評価したサイトでもリンカーンは10段階評価中9であり、僕がニューヨークにある大学院への進学を検討していた際には普通に3とか4の公立校が多かったことに比べても、やはりスクールシステムがしっかり機能しているとの評価が高いことがわかる。

ブルックライン地区にある10校近い学校の中でも、リンカーン学校は、日本語サポートの体制が整っている学校であり(学校によってスペイン語、アラビア語、中国語などそれぞれのサポート体制を整えている)、それもあって僕たちもこの学区に住むことを決めたのだった。学校見学にまわっていると、先生達がこの学校で学ぶ他の日本人の子ども達と引き合わせてくれた。中には幼稚園から通っている子どももいれば、去年来たばかりという子ども達もいる。

「最初は全く英語が話せなかったという子どもたちも多いので大丈夫よ」

緊張した面持ちの長男や次男を見て、時々冗談を交えながら、ビビアン先生がそう話かけてくれる。3年生のクラスに入る次男は決まった自分のクラスがあり皆でずっと一緒に授業を受けるのだが、7年生のクラスに入る長男は科目ごとに教室を移動して授業を受けることになるため自分のクラスというものがない。

途中で妻は次男を、僕は長男と二手に分かれて学校見学をする形になったが、やはり日本では中学生にあたる7年生、8年生のクラスは体も大きい。一方、長男はひとまわり小柄だ。

そんな中、長男と同じ7年生の日本人の男の子3人がやってきて長男に話しかけてくれた。彼らもやはりアメリカ人の生徒に比べてやはり小柄ではあるが、とても人懐っこい感じがして、「ああ、この子達がいてよかった」と僕は親として少し安心した。一方、人一倍シャイで新しい環境に馴染むのに時間がかかるタイプの長男はまだ緊張が解けない感じだ。大丈夫、少しずつ時間をかけて友達になれればいいよね。

2時間の学校見学を終えて、帰宅したときには新しい環境に少し圧倒されて皆少しぐったりとしていた。明日から始まる学校生活。子ども達もきっと様々な気持ちが入り混じっていることだろう。

妻が日本から来た友達と会うというので、天気のいい午後、僕は子ども達を連れて久しぶりに3人で街を歩いた。スマホのポケモンゲームにハマっている長男はエマーソン大学の近くの公園ボストン・コモンがポケモンの頻出スポットらしく、そこに行きたがっていて、一方、次男は明日からランドセル代わりに学校で使うリュックを欲しがっていた。次男が街を歩いていてふとショーウインドウの向こうに見つけたアンダーアーマーのリュックを気に入って、一番気に入った65ドルのリュックを買ってあげるととても喜んだ。

夕方、妻と合流し、明日からの新生活を祝って家族4人で大学近くの中華街に行って、久々の外食をした。初めて食べるアメリカでの中華料理、小籠包や焼きそば、チャーハンなどを注文し、それぞれの料理を取り分けたり、回したりしながら、家族で「これが好き、これはちょっと苦手」などと言いながらご飯を食べる。

「家族で食べるといろんな料理が食べれていいね」

本当にそうだよね。ささやかながらも幸せを感じる時間だ。帰りがけに、ドラックストアのCVSに立ち寄り、明日学校に持って行くスナックを買って家路についた。

帰宅後、ビックニュースが舞い込んできた。なんと、次男が地元の強豪水泳チーム・ドルフィンズのトライアウト(選抜試験)に合格したのだ。83人の選手のトライアウトが行われて、その中の15人に選ばれたのだという。

「先生が何言ってるか、全然わからない!」

先週のトライアウト当日、最初は泣いていた次男。しかしその後最後までしっかり泳ぎきった。しかも他のレーンで泳ぐ子供達よりも早く。圧倒的アウエイの環境で、よく頑張ったと思う。そしてまさかドルフィンズに選ばれるとは。すごい。よくやった!僕は次男を強く抱きしめた。

I’m so proud of you!!(僕は君を誇りに思うよ)

次男が明日からランドセルがわりに使うリュックを次男が誇らしげに妻に見せながら、次男が妻にこういった。

「ねえ、もし7年生になったら、にいにと同じように学校からパソコンを家に持って帰ってくるでしょ。そしたらこのポケットに入れることができるんだよ」

僕たちがここブルックラインに滞在するのは長くても、僕の大学院のプログラムが終わる2年半先までになるだろう。今、3年生の次男はその時6年生。7年生になるまでブルックラインで暮らすことはできないかもしれない。妻は何も答えなかった。だが、「日本に帰りたい。アメリカの学校に行きたくない」と話していた昨日までと比べて、その言葉に次男の中で何かが大きく変わりつつあるのを感じていた。

DAY23 20230914木2D+0800ー0924

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