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『15日目』7月30日の日記

久々に球磨川禊の名前を見かけたので彼の話でもしよう。
『球磨川禊』。週刊少年ジャンプにて西尾維新が原作を務めた漫画の登場人物である。西尾維新節全開の言葉遊びに満ち満ちていた作品であり、当たり前の如く私の大好きな作品のひとつで、尚且つファンが一番好きな長編、生徒会選挙編のラスボスである。
全ての台詞に『』が付いている。本人曰く括弧付け。つまりは格好つけ、本当の彼の言葉ではない、嘘である。これは彼の代表的な能力にも関連付けられている。『大嘘憑き』オールフィクション。現実を虚構にする能力。無かったことをなかったことに出来ない以外は生き返りだろうが、他人の五感だろうが無かったことにできる。他人の能力などは時間経過で戻ってしまう(完全には消せない)が、ほぼチートみたいな能力である。しかし、球磨川禊はそこに居るだけで相手の心が折れるという最悪の存在である代償かのようにどんな勝負にも勝てない。まあ本人も勝つ気がないし、引き分けや敗北に持ち込んで相手の人生も何もかもを壊す人間である。ジャンプ漫画にあるまじき敵だが、人気投票で主人公に倍々のスコアで一位をもぎ取った男でもある。まあ公約と称して自分より低い順位の女子に裸エプロンを着てもらうといって実際に着させたんだが。
この男が愛される理由の一つに、泥臭さがある。決して勝てないし、青春ごっこは大嫌いだが、簡単な話、主人公に勝ちたかった人間なのだ。格好つけも投げ捨てて、友情も努力も勝利も嘲笑ってきた男は、全てを持ち合わせる人間を倒したかった。そして、勝てなかった主人公は自分に手を差し出す。完璧な完敗を喫したのだ。青春ごっこは嫌いだけど、自分と同じように虐げられてきた人間に手を差し伸べることはするし、負けたからといって切り捨てるような真似もしない。悪には悪のカリスマが必要、みたいな話だというと本人には殺されそうだが。ラスボスと言ったがこのあとしれっと生徒会に混じってレギュラーキャラになる。
見た目もベタ塗りしかない真っ黒で愛嬌のある顔立ちをしているが、決戦の後は『』付けに戻っているし、生徒会室に居るし、全然図太い。勝つ気がないから何もかも壊すタチもあまり変わってないまま少し弱体化して味方になる。
何故こんなに語ったのか。めだかボックスを読む人口を増やしたいという強い意志である。めだかボックスを読んで、『球磨川禊』に出会ってほしい。最悪の最大瞬間風速をそのままに浴びてほしい。私はネタバレというネタバレをしたが、始まりを一切書いていない。ここまで語った能力も、ひとつだとは言っていない。
まあ、『僕は悪くない』ということだ。

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