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「表現」は弱くてよし。「つくる」と「つくらない」の谷を渡るための思考法と手順を教わった講座の話。

2022年12月から翌2023年3月まで、渡邉康太郎さんが講師を務めた flier book camp "「つくる」と「つくらない」のあわい "という講座を受講しました。本稿では、僕がその講座で得た学びをお伝えしようと思います。

講座の概要について

どんな悩みを持つ人に向けたものか、講座の構成はどのようになっているかなど、詳しくはこちらのリンク先をご覧ください。

合わせて、受講者募集前にどんな講座なのかの紐解きを渡邉康太郎さんと荒木博行さんがトークセッションの形で行った動画も貼っておきます。講座の中で実際に使われるスライドもチラホラ。


僕が本講座に興味を持った背景


この講座を知ったきっかけは康太郎さんのこのツイートでした。僕に刺さったのが「表現に一歩を踏み出したいと考えている方へ」という冒頭の一言でした。この時点で、康太郎さん直々にこのイシューに対して補助線を引いてもらえる機会があるの!?とこの時点でほぼ受講を決めていた気がします。

僕は社会人として25年間「デザイン」の領域で仕事をして来ている人間なのですが、実はずっと「表現」をする人に対して憧れを持って生きて来ました。大学では美術史を学び、友人には美大藝大に通っている人が多かったんですけど、自分は何も表現をしてないな〜それができるみんなは素敵な人達だなーっという感じで、彼ら彼女らを、友人且つ憧れの対象みたいな気持ちをもって一緒にいさせてもらっていました。僕はみんなが「表現」していることの凄みに憧れて、それができる人たちと自分との間には「何かのギャップ」があるなと感じ続けて、でもその谷に向き合うことなく、谷を渡ることを諦め、放棄して生きてきました。

そんな僕が前述の康太郎さんの一言を見たとき、長年怖いと思っていた谷といよいよ向き合えるチャンスなのかも?という気持ちになったので、まさに期待と不安を胸に申込みを行ったのです。

この講座から得た発見、学び


講座全体を通じて、渡邉康太郎さんは、アーティストや作家と呼ばれる活動をしている人たちの作品には、何かしら前人の作品からの真似や引用があったりすることが多くあることを教えてくださり、真のオリジナルって何なんだろうか?という問いを投げかけ続けてくれました。そして「表現」とは必ずしも時代の本流に沿う必要はなく、とても小さくて弱い個人的な動機から生まれて良いんだという考え方を、様々な事例を通じて伝え続けてくれました。

僕はこの2つの足かせを、両方とも持っていた気がします。凄い作品と呼ばれる作品というのはオリジナルな発想から生まれていて、メジャーなテーマを扱っているものだと思い込んでいました。この思い込みに気づかせてもらって嬉しかった反面、自分は今まで何を見てきたんだとガックリもしました笑 生きている時代に評価されなかったけど今では巨匠と捉え直されている作家が美術史の中に何人いたか。本流なんてものは後から整理されるもので、実のところ作品が生まれるその瞬間、すべての作品はマイナーで弱く、時代にとってはちょっとしたノイズ、さざ波くらいのものなんじゃないのか。というかそれが「よい」のではないか。楽しいんじゃないか。これが1つ目の学びでした。

2つ目の学びは、課題を通じて、自分が気になるテーマを発見し、そのテーマに関するモノ・コトについて調べ、それらをマネをしつつ、弱くて良いから自分なりの表現を作ってみることを体験したことで「自分のテーマと作品」を創るプロセスを知ったことです。これまでは全くの無から自分のテーマは生まれるのだァ!と思ってたのですが、自分の興味関心から始めて良いんだ。。。すでにある作品とか活動とかで気になるものを調べてその横に自分なりの何かを置いてみるというアプローチで良いのか。。。これなら出来る!と暗かった道の進み方を得られた気がしています。また、マネをして弱くても作品を横にアウトプットしてみる、そしてもう少し掘り下げていく、というプロセスは、守破離という言葉にも置き換えられるなぁというのも大事な発見でした。

最近、このプロセスを自分が過去やっていた活動の振り返りに使ってみました。20代前半の頃、僕は友人と一緒に音楽イベントをやったりフライヤーを作ったりという活動を幾つか行っていましたが、どれもマネをするまでの取り組みだったな〜と思いました。贔屓目に見ても、守破離の、守と破の中間くらいで留まっていたなと。弱くて良いから、マイナーで良いから、自分なりのテーマを掘り下げていけば、破→離に進めたかも知れない、それが出来ていたなら、より「よい」体験を提供できたかもなと思いました。

これからの自分のテーマは?


怖かった谷を渡る術を得たので、今度はそれを渡っていくトライを繰り返していこうと思っています。

具体的には、こちらのnoteにも書きましたが、n=1のストーリーの価値をデジタルでも実感できるプロダクトを作ることにトライしたいと思っています。長年従事させてもらったEC事業の仕事を通じて、様々な人が顧客を知ることの大切さを語り、実践し、出版されているのを見て、自分もそのテーマの横に何か添えられないかと思ったのがきっかけです。こちらは今の会社の仕事を通じて探求します。

もう1つは、下記の自分が関心がある活動の横に、何か添えられるようなことを現在思案中です。本記事を読んでいただいた皆さんとも対話しながら創っていけたら嬉しいです。

黄色い部分が僕の関心事


グレーはその概念化


これらを真似して、この右側に僕は何を置くのか?

リアルな場、街の中の対話、山の樹木、プライベート空間のプランツ、花の美しさとはかなさ、イデアとしての植物と多様な個のプランツ・・・このあたりが僕の関心事のようです。全くデジタルじゃなくて自分でも驚いていますが、無理せず深呼吸して思い浮かんだのがこのあたりなので向き合ってみようと思っています。

講座関係者への謝辞


最後に、本講座の関係者へお礼をお伝えして本稿を締めたいと思います。

flier book camp 運営の皆さま
今回まだコロナの影響が残っていた中でも各種対策を行った上でリアル開催を含めて実施頂き本当にありがとうございました。もちろんオンラインでも刺激的な講座体験ではありましたが、やはりリアルで届く熱量や、キャッチボールのスピード感は貴重でした。受講生との対話もリアルで実施できたことで共に学ぶ一体感を持てたのもやる気アップの要因になりました。

受講生の皆さん
講座の時間以外でもチームごとの中間会議や、課外活動としてアトリエデーを開催いただいて、本当に楽しかったです。最初の頃は自分だけで課題に取り組めばいいかな…と思っていた私も、皆さんと同じ課題について対話する中で発見がめっちゃ出てくることを知り、つくる作業は、自分ひとりの作業×人との対話の中でやるべきなんだという気づきをもらえました。引き続きTwitterやSlackで皆さんと対話させてください。

講師、渡邉康太郎さん
とても貴重な時間でした。僕自身がこれからのライフをワクワクし続けるために大活躍する補助線をいただいたと思っています。Life is coming' back ! 心からありがとうございます。
講座中は、まるで自分がTakram radio のゲストで来ているのかと錯覚するくらいにとても丁寧に質問への返答や、提出課題へのコメントをいただけてとても嬉しかったです。また、康太郎さんがご自身の意見を僕らの間に置くように話される姿がとても印象的でした。講師と受講生のあわいにそっと置かれる問いを全員で楽しんでいるような、不思議で優しく刺激的な講座でした。また社会人向けに講座やWSを実施される機会がありましたら今度は友人も誘ってJOINしたいです!

※カバー画像は僕が本講座の最終課題で提出した作品「"online" social sculptures」です。

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