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TAKAKIとあの日原チャリで #3

醍醐グランドーム

今はもう無いらしいが当時は画期的な大型複合レジャー施設で
プール、スケート場、パットパットゴルフ、巨大迷路、最後方にはバンジージャンプもあったらしい

それを統合した施設名があるはずだが
「スケート行こ!」「迷路行く?」
と、周りの人間は個別に呼んでいた為覚えていないというか知らない

その施設の一つがグランドーム
ファミコン野郎のモニターに映る画面の不鮮明さは酷く
全くどんな建物だったかがわからない
しかも多目的ホール的なモノなのか冬はスケート場でそれ以外の季節は催事に貸し出されてるのかも不明瞭だ


グランドームの入口前には老若男女様々な人でごった返している
これがプロレスの原風景

走り回る子ども
じいさんばあさん
セーラー服の2人組
仕事帰りのサラリーマン
羽振り良さげなヤーサンなのか土建屋なのかわからない恰幅のいいおっちゃん
そのツレのおばちゃんなのかねーちゃんなのかわからないスナックのホステス

そしてチンピラバンドマンとシャレオツロックンロールBOY(自分で言ってみる)

みんな笑顔だ

携帯電話の普及以前
それぞれがおしゃべりや本を読んだり、握りしめた割引券で出場選手の確認と開場前の時間を楽しんでいる

まだまだおおらかだった平成初期
こんな光景が色んなところで広がっていた

全ての娯楽は細分化されディープな世界観を構築している
それはそれで正しい進化だとは思う

だが
「アジャが見たい!」「ダッダーン!ボヨヨンボヨヨン見たい!」
と、最大公約数でみんなが笑顔になれる

プロレスにはそうあって欲しいとは思う


「まだ開かんのかなあー」
「もうちょいやないっすかー」
タバコを吸っては消し吸っては消し(未成年の喫煙は法律で固く禁じられております)
これも待たされてるイライラではなく
ワクワクが止まらずに浮き足だっているのだ


そしてようやく扉が開いた
いよいよ開場だ
金の無い高校生は当然立ち見席
割引券使って千円くらいだったんじゃないかな
ダッシュして場所取りするが指定席は少し空席はあるが立ち見はパンパンで身動き取れないくらいだ

「結構パンパンに入ってるなあ?」
「始まったら突っ込んでいいんちゃう?」
と、ライブハウス的な考え

初めて見るリング
走り回る新人
少しでも金に換える為に指定席を売ろうとするミゼットレスラー
そこにはライブやコンサートとは違う
お祭り感があった


カーンカーンカーンカーンカーン
ゴングが鳴らされた

テレビ中継でお馴染みの今井リングアナが高らかに大会名を告げる

地方大会では入場式はなくそのまま第一試合が始まる
「第一試合15分一本勝負まずは青コーナーより、、、」

自分もTAKAKIも子どももじいさんばあさんもセーラー服の2人組もサラリーマンもヤーサンもホステスも目をキラッキラに輝かせた


続く


※今回掲載予定だった「この時ゆづきは?!」のコーナーは作者急病の為(うそ)、お休みさせていただきます

「この時ゆづき」早く言いたいー
布袋寅泰の「スリル」に載せて




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