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キャリアに関する理論6 - ハリィ・ジェラット


前期理論:意思決定アプローチ

キャリア発達における意思決定アプローチは経済学や数学鵜における意思決定の研究の成果をもとにしている。

目標をはっきり決める
 ↓
情報を集める
 ↓
情報の関連性を分析する
 ↓
可能な選択肢を並べる
 ↓
それぞれの選択肢の結果を評価する

予測システムと価値システム

1.予測システム
行動と結果を予測し、客観的な評価と選択肢がマッチングするかを予測する

2.価値(評価)システム
予測した結果が自分にとってどれくらい望ましいのかを検討・評価する

3.決定基準
目的や目標に当てはめて評価し、その基準に合致したものを選択(決定)する

主観的可能性

キャリアの決定は自分の興味2位関連しているからこそ望ましいものに思えてくるという主観的可能性が採用されやすいことを示唆した。

主観的可能性に取る誤った判断や不合理な判断を避けるため、客観的なデータを収集し検討し、データの有効性を実証的に決定できるガイダンスが必要であるとした。

連続的意思決定プロセス

スムーズに探索的決定から最終的決定へと意思決定が進行する
プロセスとして「連続的意思決定プロセス」を提唱した。

>>探索的決定と最終決定

キャリアにおける意思決定を2つに分類:
個人のキャリアを確定する際の決定を「最終決定」、
それまでに行う決定を「探索的決定」とした(クロンバックら)

この分類では、キャリアは個人が職業に関連した
「生涯を通した役割と経験である、という継時性」が強調されている。

後期理論:左脳だけでなく右脳も使った意思決定

後期理論の社会的背景

変化の激しい労働市場:変化が多く、予測していたことも通用しない不確実な変化の多い一貫性が保たれない時代。与えられた情報が必ずしも、ある個人が職業生活を全うするまで真実とは限らなくなった。

本人の興味や価値観→様々な経験を積むうちに変化する可能性がある。

積極的不確実性

1980年代終わりには、教育分野において個性の尊重や、創造性が注目され始め、画一的、直線的なキャリア支援ではない、柔軟性に富んだが良いダンスのニーズが高まり、典型的なガイダンスの枠組みに柔軟性が要求されてきた。
ジェラットも1989年以降、将来に向かって柔軟に意思決定を行おうと、想像力、直感、柔軟性位、社会の不確実性などを積極的に意思決定プロセスに取り入れる、次のような「積極的不確実性」を提唱した。

将来は存在しておらず、予測することもできない。将来は創造され、創造されるべきものである。合理的戦略は役に立たないのではなく、ただ、もう有効でないだけである。

今必要なことは、クライアントが変化と曖昧さに対処し、不確実性さと矛盾を受け入れ、思考と選択と非合理的・直感的側面を活用できるように支援をする、決定およびカウンセリングの枠組みである。

「将来」への意思決定を行う際、過去のガイダンスが目指していた、ただ合理的、直線的、あるいは系統的な戦略だけで行うのではなく、時には曖昧さや矛盾の中で、主観的で、直感的な戦略を統合させるプロセスを支援することが重要となると言える。

キャリアカウンセリングへの応用

左脳だけでなく、右脳も使う意思決定を行う。

未来の予測が不可能な現在においては夢やビジョンを持つことこそが、その不確実性を歓迎して未来を創造する源泉となるという考え方。

パラダイムは今までの合理的な意思決定パラダイムを否定するものではなく、現代のキャリアを取り巻く状況により合致するように補完するもの。


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