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カウンセリング理論 - 感情的アプローチ

現在通っているキャリアコンサルタント養成講座で学んだことを、復習を兼ねてまとめています。
(2024年3月に受験予定です!)


ロジャーズ「来談者中心療法」

理論的背景

「人間は本来、自己成長力を内に秘めていて、自分の問題については自分が一番よく知っている。問題解決と、どう生きていくかを自分の中で育んでいるのだ」という考え。

ロジャーズは、クライエントの問題や悩みは、理想自己と現実自己が離れ過ぎているために生じる、と考えた。このクライアントの状態は、クライエントの自己イメージ(自己概念)と経験が一致しないことにより生じるとし、心理的不適応状態(自己不一致状態)とした。

そのため、カウンセリングの目的は、
(1)理想自己と現実自己の重なりを多くすること、
(2)クライエントの経験と自己イメージ(自己概念)を一致させること
とした。

カウンセラー側が主導権を握ったり、外からレッテルを貼るような見方で理解するのではなく、その人がどのような体験をしているのかを内面から理解しようとするクライエントの内的リアリティ、体験の中における現実性を大切にすることによってしか治療は成り立たないとした。

カウンセラーに求められる基本的態度の3条件

  1. 無条件の肯定的関心(受容的態度)・・・カウンセラーは、クライエントに対して無条件の肯定的関心を持つこと。

  2. 共感的理解(共感)・・・クライエントの内的世界を共感的に理解し、それを相手に伝えること。※1

  3. カウンセラーの自己一致(純粋性/誠実さ)・・・クライエントとの関係において心理的に安定しており、ありのままの自分を受容していること。※2

※1…同感ではなく共感。心理学的には、この2つははっきり区別され、
同感は自分事にして話を捉えて話すのに対し、共感は相手の気持ち・感情に理解を示して話すことを指す。
※2…分かりやすく言い換えると、クライエントの感情に飲み込まれ過ぎず、ニュートラルポジションでいましょうということ。

フロイト「精神分析的カウンセリング」

理論的背景

精神分析は、ウィーンの医師フロイトによって創始された、人間の心理的永助理論として最も早く開発され、現在のカウンセリング界にまで根強く影響を及ぼしている。

「人は自分の知らない自分=無意識に動かされている」「人間は本能の塊である」とみなし、「生きていく上でのエネルギーは、すべて本能部分が源であり、それを分化させていく。自由奔放な本能や欲求をいかにコントロールし、人間にふさわしい理性や両親を培っていく過程が発達である」というのが精神分析の人間観である。

心理的胃不適応は、無意識下に抑圧されている不安や葛藤が引き起こしているので、無意識を意識化し、それを受け入れられるようにしていくことが治療と考える。

主要な概念

1.構造論(心のモデル)
人間の心は「エス衝動的な本能エネルギー」「自我(現実認識の力)」「超自我(人間として生きる上での理想的な良心)」から成り、自我は、エスや超自我、外界からの刺激をコントロールしながら、自分らしさを保とうとする。自我は「現実原則」、イド(エス)は「快楽原則、超自我は「道徳原則」で動く。

2.局所論(心のもう一つのモデル)
心は「意識」「前意識」「無意識」の3層から成るとした。無意識とは「抑圧」されたものからなる領域(意識していると不快なので、意識から締め出されたもの)であり、本人の努力だけで意識に上らせるのは困難なため、精神分析で意識化し扱う。

3.心理性的発達論
心(自我)の発達を、性的エネルギー(リビドー)の出現の仕方や充足のあり方によって5つの段階に分類した。
それぞれの時期に欲求が十分に満たされなかったり、過剰に満たされたりするとリビドーの固着という現象が生じ、精神、性発達がある段階で留まってしまい、それが性格傾向に影響を与えると唱えた。固着があっても、多くは発達段階を進むが、その後に欲求挫折が生じると退行が生じる。

4.防衛機能
意識として受け入れが困難なことに直面した際に、自我が意識に受け入れ可能な形で処理する心の働き。
クライエントのアセスメントにも有用で、流派を問わず援用されている。

精神分析療法

・自由連想法
カウチに横たわり、思い浮かぶ言葉を全て語ってもらう。

・夢の分析
フロイトによると、夢は無意識が抑圧され変形され、加工されたものである。夢に現れたものを自由連想で紐解き、潜在的思考を炙り出し明らかにする。

・介入と解釈
明確化・・・内容についてめいかくにすることで 、最も多用される作業。
直面化・・・CLの無意識の重要な問題を直視するように促し、現実と照合する。

・抵抗の分析
抵抗=CLにとって耐え難い抑圧されていた無意識が現れそうに成ると、それに蓋をしようとするような思考パターンや行動が生じること。抵抗を分析することで防衛や無意識的過程を明らかにする。

・転移の分析と逆転移
転移=CLにとって重要な誰かに抱いてきた感情を、カウンセラーに向け変えることであり、それを分析することで無意識に抑圧された感情を明らかにする。
逆転移=カウンセラーの個人的葛藤に由来する感情をCLへ向けることであり、以前は逆転移は教育分析の対象であったが、転移分析への活用という考え方に変化してきた。

フロイトからの分派

・アドラー:個人心理学
フロイトが性を重視したのに対し、アドラーは個人の主体性を重視する個人心理学を提唱。その人独自の意味づけの仕方の特徴をライフスタイルとして分析した。また、人間は自己の劣等感を補償しようという力への意志し持つと主張。
治療は「勇気づけ」などの劣等感を和らげる働きを中心とした。アドラー心理学では「皆に認められ自分で自分を認められること(共同体感覚)」を幸せとみなす。

・ユング:分析心理学
フロイトの『夢判断』を読み傾倒し、後継者とみなされるも、のちにフロイトの性理論に違和感を覚え決別。文理心理学を創設し、元型や集合的無意識、夢分析など、独自の理論を提唱。
分析心理学では治療において夢分析を重視し、夢を歪んだ願望と充足と見たフロイトに対し、夢は誤魔化さない、「自我への補償」とした。

・自我心理学
フロイトの娘アンナをはじめ、アメリカとイギリスに老いいて発展した学派。自我の成り立ちと乳幼児の直接的観察による発達論的解明を重視する、心理療法の過程でも適応論的な治験から、子供やクライエントの外的環境調整を重視するのが特徴。
ボウルビィの愛着研究や、スターン、マーラーの分離固体化理論は、現在の親ー乳幼児治療の基盤となっている。

・クライン:クライン学派
子供の精神分析治療を始め、遊戯療法の創始者の一人。
子供の精神分析をめぐってA.フロイトと激しい議論を展開。
エディプス期前の子供の精神発達を研究し、分裂、投射性同一視、原始的理想化、勝ち切り下げ、躁的防衛などの原始的防衛機制を解明した。

・対象関係論
自我と対照の関係のあり方の特徴に着目し、人間の精神現象を理解しようとする立場。自我は本来、対照希求的なものであるとした。外界の外的な対象と個体の精神内海に形成される内的対照関係を重視する。ウィニコットの移行対照概念、ほどよい母親、環境としての母親・父親、偽りの事故、など現在のパーソナリティ障害の心理療法にも大きな影響を与えた。

・ブリル
職業選択に対して「快楽主義・現実主義」を適用し、「昇華」の概念を使って説明。

・ボーディン
乳幼児期における欲求への対応タイプが、青年期以降の職業選択行動と対応しているとした。

パールズ「ゲシュタルト療法」

理論的背景

ゲシュタルト心理学では、人間の税体制と人間の認知の連続性の統合性を強く主張する考え方で、人間は部分を集めた合計以上のもの、人間の知覚や認知も、バラバラな部分の総体ではなく、全体としてまとまりをつくるようにできていると考える。
「ルビンの壺」はゲシュタルト心理学の考え方を説明するのによく使われる。その受け取り方は、その人の経験などによって異なることを示し、その考えはどちらも間違ってはいない。クライエントの悩みもこのように作られているかもしれず、相手が自分と違う世界を持っていても、相手を認め自信を与えることが大切で、それを援助することがセラピーである、と考える。
また、「自立性の達成」をセラピーの目標として掲げ、それは「今、ここ」における自分自身の感情・思考・行動に気づき、それを深く体験することによって達成される、とした。

ルビンの壺

主要な概念

目的として、事故や自己の欲求を「形」にして表現し、未完結のものを「完結」へと導き、「全体」として「まとまり」のある方向へ人格の「統合」を図ることを志向している。
ゲシュタルト療法は「気づきに始まり気づきに終わる」と言われ、「今ここ」での「気づき」に焦点を当てる。そして、その人の中にある心と体の内部の統合がなされていないものと考え、体験を通じて解決をはかる。

ゲシュタルト療法における「気づき」の過程


カウンセリングにおけるゲシュタルト療法の介入

  • カウンセラーの解釈は極力避け、クライエントに気づきを持つ機会を提供する。

  • カウンセラーは「今、ここ」における自明な現象を取上げる。

  • 言葉は、できるだけ一人称で現在形を使うことを勧める。

  • 未来やかこへ逃避させない。

  • 周囲を操作するようなことではなく、セルフ・サポートへ結びつくようにエネルギーを使うことを勧める。

  • 自己に対決する機会を提供する。

  • 非言語的なものに注目する。

  • 「実験」を通じて気づきを促進する。

  • 「図」に上がっていくものの言語化を勧める。

  • 心残り(みなんけつの経験)を完結する機会を提供する。


よく用いられる技法

  • エンプティ・チェア・・・椅子に想像する他者や自己を座らせて対話する。

  • ファンタジー・トリップ・・・ファンタジーと言われるイメージ法により、ファンタジーの中でさまざまな体験をする技法。

  • 夢のワーク・・・「夢を生きる」とも言われるが、夢に登場する人物、物事、雰囲気などになってみて、夢を再現し、各々言語化や行動化する体験。

  • ボディ・ワーク・・・身体と対話したり、身体の部分になってみて言語化したり、行動化する体験をする。


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