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パラサイトについて語ってみたい

 この前金曜ロードショーでパラサイトをやってましたね。自分は公開当時に映画館で観ました。今回のTV放送は普通に知らなくて見逃したのですが、この映画を見たときの衝撃を思い出して懐かしくなったので感想を書いていこうと思います。
※ガッツリネタバレ含みます。
※評論じゃなくて個人の感想です。解釈が甘いのは重々承知してます。ご了承ください。

 まず、半地下一家の描写がユーモラスなのが驚きましたね。電波を探してトイレに集まったり、立ちションする人に水をかけて遊んだりしてて、彼らなりに現状を楽しんでる感があるのが印象的でした。
 パラサイトしていく過程でも、計画を思いっきり楽しんでいて、いい意味で生きることへの執着を感じないというか。これに俺らは賭けてるんだ感がなかったと記憶しています。
金ローみてないのでほんとにうろ覚えで、正直後半しか覚えていないところがあるので前半は飛ばします…
何とはいいませんが時計回りは今度やってみよう(人間の屑)
 自分が印象に残っているのはパパが堕ちていく過程ですね。最初はなんというか、自分ってそんなに変かなぁ?まぁ変だよなぁ…みたいなスタンスに見えましたが、机の下で隠れているときに自分の匂いを馬鹿にされた時から少しずつ流れが変わったような気がします。大雨の翌日に車で露骨に窓を開けられたり、諸々が積み重なった結果、最後ドンイクの恐らく本能的に鼻をつまんだ動作で狂気が溢れ出してしまう演技がマジで鳥肌ものでした。
 あのシーンは何が決め手になったのか、解釈の余地は無限にあると思います。自分の娘が死にかけている中で、さらには死んでるグンセなんて放置して車の鍵を要求する態度がトリガーになった(友人談)とか。
 最後のお庭でのパーティーのシーンは語ることが多すぎます。書き出したら止まらないのでここまでにしようと思います。

 ここまでクソみたいに長い前置きでしたが、個人的に感銘を受けた所、そしてこの文で一番言いたかったのは最後の最後、ギウがあの地下室で父親が生きていることを知り、静かに決意を固めるラストシーンです。
父への手紙をギウが読みながら映像は進んでいくのですが、映像ではギウがあの家を買って父親と再会してるんですよね。でもそれは彼の想像(理想?)で、暗い半地下の家で手紙を書き終えたギウを写して映画は終わります。
 めちゃくちゃな偏見ですけど、これが日本の映画だったら本当にギウが父を地下から解放してハッピーエンドっていうようにする気がしてならないんですよね。でもそうはならなかった。

ギテクは息子の手紙も、彼の決意も知らないまま、ましてや息子が自分のメッセージを受け取ってることすら知らずに今日も地下で生きている。

手紙など連絡手段がある描写があったかもしれませんが、ガッツリ厳しい現実をみせて、でも救いがないわけじゃない、そのバランスがとても良い最高のラストシーンだと思います。
 これをみせられて一時期邦画への興味を失いかけました。そのぐらい差を感じましたし、こりゃアカデミー賞とりますわ。って感じです。

その他
ダヘ可愛い。終始可愛かった。
ギジョンのやさぐれ具合がめちゃくちゃ良かった。一番達観してまともな彼女が犠牲になったのも考えさせられます。最後の一言までらしさ全開でしたね。
ヨンギョの女優さん、時計回りの人って呼ばれてるの可哀想だけど正直笑った。
敵対してたもののどこかで半地下の人間同士シンパシーを感じてた感があるミニョク夫妻。よかった。

全てのシーンに意味があって、無駄なところが何もない、最高の映画だと思います。
またおもろい映画があったらこういう文を書いてみようと思う。

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