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Cultivating Interest and Competencies in Computing 輪読会第2回

第2回の今回は、第1章・第2章をやる。第2章後半は自分の担当だったので、こないだみたいにキーボード叩きながら聞く感じでなく、アップが遅れた。

この論文の輪読会。

第1章 イケてる(Authentic)コンピュータ教育とは

1 INTRODUCTION 7
Charge to the Committee, 13
Study Approach, 14
Report Organization, 16

この第1章は、前回のSUMMRYとかぶることも多い、他の部分も調査手法、プロセス、データソースなどについて記述されている。ソース系は要約の意味がないが、
・学校外と学校外(メイカースペースなど)を幅広く対象に
・英語圏限定だけど、かなりたくさんの定量ベースの論文を対象に
・複数のバックグラウンドのプロ教育研究家が
資料をあつめた、というのが価値だろう。

その中で、
「これまでのコンピュータ教育では難しそうだった、コンピュータがあまり好きじゃない人を好きにする効果が、イケてる(Authenticな)教育にはあるだろう」
「そのイケてる教育は、これまでの教育やこれまでのコンピュータ教育とカブる部分もあるが、カブらない部分もあり、一旦別口として考えたほうがいいだろう」
というのが全体のトーンである。

第1章では特に学校以外の役割、メイカーフェアやメイカースペースの効果が非常にポジティブに語られていた。
一方で日本国内の企業運営メイカースペースは最近中止が続いている。十分な利益が上がっていない。
また、「ああいうスペースはどうもマニアが多くて敷居が高い」という、普段メイカースペースに来ない人からの声も聞こえた。

個人的には、企業は利益につながらない活動は辞めるべきだと思っているし、メイカースペースはその場にいる人達のために運営してるので来ない人がなにか言うのも生産的ではないと思うが、デモデイやイベント出展などの体外活動を積極的にやらないコミュニティはどんどんメンバーが固定化して歪んでいってしまう。
その意味で、メイカースペースが大事であり、様々な活動でメイカースペースを支援し、組み込んでいこう(たとえば地域のメイカースペース、地域の祭りとかに呼んだりお金払ってwifiセットアップしてもらったりするのがいいんじゃないか)という認識が広まっていくと良い。

第2章 苦手になりがちな人を好きにするのがイケてる(Authenticな)教育

BARRIERS AND SUPPORTS FOR LEARNERS IN
COMPUTING 19
Representation in and Access to Computing, 20
Social and Cultural Barriers Impacting Participation, 21
Role of Authentic Experiences, 30
Summary, 32

第2章は、「学習者や教育者をComputingから遠ざけてるバリアはなんだ」で、女性やヒスパニック、黒人などがコンピュータサイエンスに進むのは明らかに少ない。
わかりやすい差別(点数を引くとか)はさすがにない。でも、そもそも現時点で白人の男性が圧倒的なので、コンピュータサイエンスの先生も白人の男性ばかり、ロボコンのポスターも、インタビューに出てくるのも白人の男性ばかり。
そして、「ポスターかっこよくしよう」みたいなアイデアも、今のマジョリティ(白人男性)にとってのかっこよさを反映してしまう。同時に、そのアイデンティティにない人に疎外感を与えてしまう。会社案内にパリピっぽい人ばかり載せるとギークが入社しない、みたいなことはありえる。
ちょっと前の人工知能学会表紙みたいに、悪気はないけど何かの固定されたバイアスを助長する、みたいなことは、程度はともかく現実にある問題だ。

一方で女性やマイノリティのコンピュータサイエンス先生やサポーターがいることは、明らかにやマイノリティの参加者を増やす。マイノリティからコンピュータサイエンスの道に進んだ人のキャリアには、あきらかにカリキュラムどうこうよりも周りの個人的な関係が大きく影響している。

論文全体は極めて抑制的に書いてるのだけど、この章はかなり強めのトーンで「マイノリティのほうに肩入れして先生やサポーターを増やすことがバイアス解消につながる」とメッセージを打ち出していたのが面白い。

僕が紹介した、第2章後半の資料はこちら。


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