読書録:ロック魂に満ちあふれた、山寨のレポート「中国モノマネ工場」
連休中に積ん読を消化。
「コンサルタントのビジネスモデルと茶道のそれは似ている。主に実質的ではない儀式を通して金を稼ぐ」
と公言する、中国のジャーナリストが山寨を解説した本。冒頭の茶道やコンサルタントへの軽視から、反逆へのロマンを感じる本書だが、一方でLinux、ビルゲイツやマイケルデルが成し遂げた技術の民主化、そしてアマチュアリズムなどについても触れていて、山寨の文化的なルーツをたどれる良い本でもある。
民間企業から山寨が伸びてきた様子、華強北いくひとなら当たり前の桑達ほかの企業が登場する、読んでて面白い本なのは間違いない。もともとweb連載を電子版にしたらしいが、今現在は紙の本しかない。残念。
許可証モデルであった携帯電話製造が、外資メディアテックと有象無象の中国民間企業が組んで伸びてきた様子を活写している。
深圳金立の、設計含めたアウトソーシングや、小ロット高速販売で(営業トークや値下げ交渉もやらない)資金を回転していく様子など、圧巻のエピソードも多い。
ただ、「日本には6大電機メーカーがあるが、中国には国営以外に大企業がない」と言われているが、この本が日本で出たのは2011年である。中国にとってこの10年がどれだけ大きかったかのかを語る本でもあると思う。
具体的なエピソードは多いが、雑誌連載から起こしたもので、ややストーリーは性急かもしれない。藤岡さんの「ハードウェアのシリコンバレー深圳に学ぶ」もぜひ一緒に読むのをオススメ。
もちろん「プロトタイプシティ」も。
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