NIAGARA MOON 40周年盤

今更、2015年に出ていた『NIAGARA MOON』の40周年盤CDを手に入れた。


'95 mix の謎


1995年3月に再度ミックスしたらしい音源で収録されている。


まぁ、最初は「CD選書盤での再発に併せて、リミックスしたんだろうか」と思った。
1996年に出た『GO! GO! NIAGARA』選書盤は、後になってリミックスだったと発表したし。


ただ、『NIAGARA MOON』CD選書盤の発売日は1995年3月24日。
1995年リミックスのマスターテープの画像が、40周年盤のブックレットに掲載されているのだが、「'95 3/14 Remix」と「'95 3/31 Remix」とある。

そのまま読めば「1995年3月14日・31日にリミックスした音源」が「'95 mix」という事になる。
勿論、14日は選書盤の発売10日前、31日はとっくに選書盤発売後でリミックスしていたことになる。そうなると、ますます「何のためにリミックスをしたのか」が分からないのである。


ちなみに、聴いた感じは「えらいアナログ感が消え去ったな」という印象になった。

オリジナルのミックスは、良い意味でウォーミー、悪く言うとモコモコした音質だった。

それに対して、'95 mixは、高音域がかなりハッキリしている。
分かりやすい曲だと、「ハンド・クラッピング・ルンバ」冒頭のハイハットには、オリジナルだとディレイが掛けられていたようだが、'95 mixではディレイがかかっておらず、「実はこういう演奏していたんだよ」という、高解像度でタネ明かしをするかのようなリミックスと思った。


曲順については、大滝さんが生前、というかアルバム発表前の企画当初の曲順に従ったような雰囲気で、それに'95 mixを使用したという事で、この'95 mixはその当初の曲順を想定してのリミックスだったのだろうか。それとも、無関係なモノを大滝さん亡き後、勝手にコジ付けて売り出しているのか…。願わくば、前者であることを祈るばかり。


余談だが、「1995年にリミックスした」と明言したトラック(歌無し)音源が、『NIAGARA MOON』30周年盤で聴ける。

もしかすると、オリジナル・カラオケが欲しくて、一挙に歌有りのリミックスで、ボーカルトラックだけ消去して30周年盤に収めたんだろうか。『SONGS』でも「DOWN TOWN」のカラオケをリミックスで作っていたし。
思い返すと、『NIAGARA MOON』30周年盤には、「Cider」のオケは一つも収録されていない。「Cider'75」単独でリミックスしていたからか…?

そういえば、山下達郎がNIAGARAに居た頃の「パレード」を笛吹銅次がリミックスしたのも、1995年だったな…。



最後に


まぁ、正直 '95 mixには大して期待してなくて、今まで買いそろえようとも思っていなかったのだが、流石に大滝さん(笛吹銅次)が生前に自らの手でリミックスしていただけあって、正直不満らしい不満はない。

「亡き後、勝手に出すなんて!」と思いたい所だが…。普通に良い音源である。


やはり、最初に聞くなら、結局世に出た曲順で収録されている盤を探した方が良い。

40周年盤は「本編の無いアルバム」のように思える。あくまで「オリジナルの曲順じゃないし、リミックス音源を使用している」という事で、後から深掘りする為の、マニア向けなCDだと感じた。

なんなら、ブックレットではオリジナルの解説の転載や、インタビューの転載だけで、1995年リミックスについての言及が全くないような気がして、少し寂しかった。
オリジナルの音源無しに、オリジナルの解説ばかりが載っていて、曲順はともかく、初出リミックス音源の説明も無しに、この商品が成り立つとは到底思えないのだが…。ハナからマニアに向けた代物で、とても初心者向けの編集はされてない。


現在、オリジナル音源を新品で聴ける流通盤は、まぁ30周年盤になるだろうが、一番のオススメは選書盤である。
ボーナストラックがそれぞれあるのだが、30周年盤だと歌無しトラック、CD選書盤はスタジオ・ライブ演奏が数曲入っているのである。
おそらく、マニアでもない限り、聴いてて楽しいのは、歌があるスタジオ・ライブじゃないかなぁ…。

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