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TATSURO COLLECTION

2022年6月、新譜「SOFTLY」をリリースして、未だ衰えを感じさせない山下達郎さん。

サイトを色々探せば、アルバムやシングル曲のレビュー記事は結構見かけるし、Wikipediaにもかなり詳しい情報が載っているので、「タツロー初心者」は、それら記事を見ながら曲を聴くと、かなり勉強になる。

…のだが、どうしても情報源が少ないアルバムが存在する。
それが「非公認盤」という存在である。
発売日と曲目くらいしかWikipediaにしか載っていない。

ここでは、勝手に出されてしまった「達郎さんの曲で構成されているのに、発売に際して達郎さんは一切関与していないアルバム」を紹介していく。

今回の「TATSURO COLLECTION」について。
1997年6月4日の再発盤、BVCR-1036のCDを参考にしている。
公認ベストの内容を後から入れ変えたような会社の非公認盤となると、他の年に出た盤とは内容が違うかもしれない。

【ざっくり解説】

1.Circus Town

1st Album「Circus Town」のタイトル曲。

2.素敵な午後は

2nd Album「SPACY」から…と、ブックレットに書いているものの、音源自体は「IT'S A POPPIN' TIME」のライブ音源。
非公認盤のポイントとして、急にライブ音源が入って来る。
「時よ」とか「HEY THERE LONELY GIRL」とかはライブ演奏の音源しか達郎バージョンは存在しないだろうけど、「素敵な午後は」に関しては、ちゃんとスタジオ音源ある。

3.ペイパー・ドール (Paper Doll)

これは3rd Album「GO AHEAD!」の曲だが、これも「IT'S A POPPIN' TIME」ライブ音源だ。
実はLive Album「IT'S A POPPIN' TIME」でも、「素敵な午後は」からの「ペイパー・ドール」と並んで配置されているので、そのままこのアルバムに音源を持ってきたと考えられる。

4.夜の翼 (NIGHT WING)

5.永遠のFULL MOON

4th Album「MOONGLOW」から。
これも、さっきのと同じく、アルバムにおいても同じ並び順で収録されていた。

6.Love Space

2nd Album「SPACY」から。

7.RAINY WALK

4th Album「MOONGLOW」から。

8.Marie

Live Album「IT'S A POPPION' TIME」から。
この曲はライブでは無く、スタジオ録音のアカペラ・ナンバー。
(ややこしい)

9.ついておいで(Follow Me Along)

10.2000トンの雨(2000t of Rain)

11.Love Celebration

12.This Could Be the Night

3rd Album「GO AHEAD!」から。
ここは何故か、曲順は入れ替えて入っている。

と言った感じで、このアルバムは終わる。


【総評】

このアルバムの選曲で、唯一、配慮されている点がある。
1985年当時、唯一の公認ベストだった「GREATEST HITS! OF TATSURO YAMASHITA」との曲カブリは無かった。
恐らく「GREATEST HITS! OF TATSURO YAMASHITA」の次に聴くベスト盤として編集されたのでは無かろうか。
ただ「当時、曲カブリがなかった」というのは、公認ベストの内容が改変された件の一悶着あった後の1997年6月4日、その公認ベストが達郎さんのチェックが入った体制で再発されたのだ。これに、ボーナストラックとして「Love Space」が追加収録されてた。
だが、それでも、曲カブリが1曲しかない。「GREATEST HITS! OF TATSURO YAMASHITA」には、やはり有名超マスト曲が堂々と収録されているので、それらを除いた選曲になった時点で、このベスト盤はそこそこマニアックな選曲となっている。
マニアックな達郎さんワールドが楽しめる一作であることは間違いない。

一応言っておくが、たかだか12曲しか入ってない非公認ベスト盤なので「COLLECTION」は名ばかりだというのは、当然のこと。

そして、帯に書いてあることなのだが

「CIRCUS TOWN」から「MOONGLOW」までの4枚のオリジナル・アルバムからセレクトした11曲プラス、貴重なライブ音源から1曲を加えた全12曲のコンピレーション。

帯の書き起こし

「Marie」は、ジャケットの裏に書かれている通り、確かにライブアルバム「IT'S A POPPIN' TIME」の音源で、帯の解釈では「Marie」がライブ音源という事になっているのだろう。だが、聴いて分かる通り、「Marie」は多重録音アカペラ曲で、もちろんスタジオ録音の音源である。これは「IT'S A POPPIN' TIME」のプロモ盤で、「SPACE CRASH」と「Marie」について「スタジオ録音」と手書き文字に見えるコピー紙が付属していたようなので、間違いないだろう。
そんで、「素敵な午後は」と「PEPAR DOLL」がライブ音源なのだが、これをライブ音源とカウントすると、当然2曲になる。
帯の情報と、ジャケットの裏を見る限り、どうも「Marie」をライブ音源と捉えてるとしか考えられない。少なくとも「ライブ・アルバム(もしくは「ライブ盤」)から1曲を加えた」なら、まだ間違いでは無かったのだけれど…。

そもそも話なのだが、非公認盤は、音が小さい。マスタリングの質でも、特別評価する事もない程度の音質。
面白い事に、1997年の公認ベスト盤の正式再発と共に便乗して、非公認盤5作も再発している。当然曲カブリが存在するので、同じ曲で公認非公認を聴き比べると「達郎さんが関わると再発に相応しい音質にアップグレードされているのに対し、達郎さん非公認盤は過去のままの再発」と言うのが結構分かりやすい。
このアルバムの雰囲気を楽しみたいのであれば、2002年にリマスターされた公認アルバム再発盤を全部買い揃えて、曲目順にプレイリストでも作るのがオススメかもしれない。そもそもこのアルバムに入ってる曲が目当てなんてマニアックな人は、最初から全曲揃える意気込みで居た方が良いだろう。
個人的にライブ音源をスタジオ音源にしてプレイリストを作って聴いてみると、選曲のセンスは良いと思った。まぁ非公認盤だから出来る所業だけれど。

余談だが、非公認盤のジャケットは、なんかカッコよかったりする。誰がアートワーク担当したのか全く分からないんだけれど。
ただ、正直、時代を感じさせ過ぎるアートワークすぎて、そういう時代の流行りに積極的に乗りはしなかった達郎さんの作品に、時代を感じさせるアートワークと言うのは、やはり非公認らしさを感じさせるトコロ。

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