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Tex, Carmody...今週のおすすめ 5best Songs:2022-28 | abstract pop

音楽ブログ「abstract pop」の「5 best Songs」の企画では、国内の音楽メディアでは紹介されないような、海外の新進気鋭なアーティストを毎週紹介していきます。過去に紹介したアーティストは下記にまとめてあります。

そしてポッドキャストも始めてみました。このnoteで更新している「5 best Songs」の内容を話したりしているのでよかったら覗いてみてください。先週の更新が以下になります。

Spotify更新しています〜

Tex

スウェーデン・コペンハーゲン拠点に活動するアーティスト、TexがデビューEP『Tex』をリリース。今作ではデビューシングルとなる「Skyline」をなんとEthan P. Flynnがプロデュースしています。また彼は以前ロンドンに訪れている時期があり、その時にハックニー地域で過ごし、その時に知り合ったCajmというアーティストとともに『5from3』をリリースしています。
彼は幼少期からFrank ZappaやThe Doorsといった音楽に慣れ親しんだそうで、そこから60〜70年代のソウルにも影響を受け、現在はThe Microphonesから多大なインスピレーションを受けているそう。
彼の奏でる音楽は、そういう遍歴やEthan P. Flynnがプロデュースで参加したのも納得のサウンドを奏でています。サイケデリックで奇妙なポップサウンドに、彼のハイトーンで独特のボーカルが重なり合うもので、かなり中毒性がありますね。サウンドもあえて粗くローファイな質感に仕上げ、楽器もミニマルに抑え、できるだけオーガニックな質感の響きとなるようにこだわっているようにも感じます。また「Sound of You」に関しては自身の歌声をわずかにピッチをいじって、気持ち悪いと気持ち良いのギリギリのラインを狙った、レイドバックソングに仕上げていて、この人の実験生の巧みさには驚きました。


Carmody

ロンドン拠点に活動するシンガー・ソングライター、Carmodyが待望のデビューアルバム『Imperfect Constellations』をリリース。彼女は2014年のTom MischとのコラボEP『Out To Sea』をはじめ彼とは多くの作品に関わっており、その後Alfa MistやConor Albert、edblなどさまざまなアーティストともコラボしています。もちろん今作ではTom Mischを客演に迎えたもの、Laura MischとAlfa Mistとコラボした曲、Conor Albertも迎えたものなど、3年かけて制作した全12曲を収録。
今作は全体的に幽玄なムードが漂いつつ、夢見心地のような浮遊感のあるものに仕上がっています。壮大でのびのびとしたフォーク的なサウンドや、ジャズやソウルを織り交ぜたメロウで優雅な音像を、美しく溶け合わせた音楽性には惚れ惚れしてしまいます。またCarmodyの繊細ながら、ソウルフルな渋さも兼ね備えたとろけるような美声にも驚きが隠せませんね。。ポップスとしても聴けるし、ヒーリングミュージックとしても愛聴できる素晴らしい作品だと思います。


Quinton Brock

NY・ブルックリン拠点に活動するSSW、Quinton Brockがデビューアルバム『My Shadow』をリリース。彼は以前、このブログ内のコラム「Bloc Party〜Jean Dawsonへ② 人種によるジャンルの固定概念をぶち壊すアーティスト特集」で紹介しています。

彼はいままでにJon Bapと一緒にThe Get Money Squadという名義で作品を2017年に2作出したり、2019年のソロ作品ではPink Siifuが参加していたりと、インディーロックからヒップホップ、R&B、ファンクなど様々な音楽を奏でているアーティストです。
2020年の「To The Moon」以降、音楽性に変化がみられ始め、今までの雑多な音楽をクロスオーバーさせ、サーフっぽさも感じ、爽やかだけどエモーショナルなインディーロックソングに仕上げています。彼は影響を受けたアーティストにRamonesやJulian Casablancasを挙げていたりも。今作はその音楽的な要素や想いを思いっきりに昇華させていますね。それこそ作品には前作にも携わっていたPink Siifuに加え、Portugal. The Manが作品に参加しています。


Golden Vessel

オーストラリア拠点に活動するMaxwell Byrneによるプロジェクト、Golden Vesselが新作アルバム『everythingeverydayeverything』をリリース。今作では客演にmallratやemerson leif、rei so laやAbraham Tilbury、The Nicholas、Akurei、FELIVAND、Nick Wardなどが参加しており、オーストラリアを中心としたいま注目の若手が参加しています。彼は2019年の『SLOWSHINE』でもそういったアーティストを客演で参加させて、そのキュレーション力やもちろん作品の出来も含めて、注目を集めました。
そのときの作品では電子音楽を中心とした作りでしたが、今作ではインディー・ポップやサイケ、マッド・チェスター感のあるベッドルーム・ポップ的な仕上がりをみせています。チープな質感でありながら深みと重みのあるビートに、グルーヴィーなベースライン。しかしメロディーは淡くもポップなものを乗せたトイ・ポップっぽい感じになっています。


NoSo

LA拠点に活動する韓国をルーツに持つアメリカ人でノンバイナリーでもあるAbby Hwongによるソロプロジェクト、NoSoがデビューアルバム『Stay Proud of Me』を名門インディペンデント・レーベル〈Partisan Records〉からリリース。NoSoの今作は、NoSoのアイデンティティーやアジア系アメリカ人としての経験と探求について記した作品とのこと。
サウンド的には清涼感のあるギターの響きと、青春映画のような淡くも燃え上がるような熱量を感じられるシネマティックなものに仕上げています。また夏の朝の澄み切った青空を想起させるようなNoSoの優美でたゆたう歌声が絡み合うことで、最高のインディー・ミュージックとなっていますね。シューゲイザー〜ドリーム・ポップ、インディー・ポップ、そしてUSインディーや80年代的なニューウェーヴなどの織り交ぜたNoSoの音楽的才能も存分に浸れる作品となっています。
MitskiやJay Som、Japanese Breakfast、SASAMI、Luna Li、Hana Vuなど挙げたらキリがありませんが、アジア系のアーティストがどんどん輝いている中で、また新たなNoSoという素晴らしいアーティストが加わったと感じています。今後もとても楽しみなアーティストです。


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