見出し画像

abstract pop | Poppy Ajudha, OHYUNG...5 Best Songs:2022-16

「abstract pop」では、国内の音楽メディアでは紹介されないような、海外の新進気鋭なアーティストを紹介していきます。過去に紹介したアーティストは下記にまとめてあります。

Spotify更新しています〜

Poppy Ajudha

サウス・ロンドン拠点に活動するアーティスト、Poppy Ajudhaがデビューアルバム『THE POWER IN US』をリリース。彼女はTom Mischのアルバム『Geography』の「Disco Yes」で客演で参加したり、Moses Boydの楽曲でも参加したりと、UKのジャズやR&B/ソウルの界隈で注目を集めているシンガーでもあります。さらにその名をさらに押し上げたのが、Jorja SmithやJordan RakeiなどUK周辺で活躍するアーティストがレーベル〈BLUE NOTE〉の名曲をカバーしたコンピレーション・アルバム『Blue Note Re:imagined』にも参加。その他のコラボレーションなどあげればキリがないのですが、正直個人的にこのアルバム自体はノーガードで、全曲通して聴いた時の衝撃度はめちゃくちゃすざましかったです。(ちなみに彼女自身どこのメジャーレーベルにも属さず、インディペンデントで活動しているアーティストとのことで、それすらも驚きました…。)
幼少期からジャズを聴いて育ったという彼女ですが、そのエッセンスが随所に散りばめられつつも、R&Bやネオソウル、ファンク、ロック、ポップスなどを組み合わせたパワフルな音楽性は唯一無二です。ハードロックなギターが全面に出ている楽曲もあれば、洗練されしっとりとしたネオソウルな曲もあったりなどバラエティー豊かな作品に仕上げています。また1曲目から通して聴くとカーステレオから流れているFMラジオような感覚もあったりして、いつの間にか何周もしていて、その飽きさせない楽曲展開も秀逸だと感じました。
今作は彼女のメッセージもふんだんに詰め込まれており、そのことも知った上でアルバムを聴くとより別の側面も浮き彫りになってきます。Poppy Ajudha曰く、下記のようなことがアルバムで表現されているとのことです。あとこのサイトでのインタビュー記事がとてもよかったです。

「このアルバムは、女性の権利、国境を越える権利、進歩の名の下にボートを揺らすことを恐れない若者の力など、私の心の中で泳いでいるものの全てで構成されています。女性は教えられた通りになる必要はありません。母親、姉妹、娘、彼女、そして男性との関係以上のものが私たちにはあります。私は男性がフェミニズムにもっと深く関わり、フェミニズムに対する反抗や無視が、いかに女性や男性の足を引っ張っているだけかを知ってもらいたいのです。私たちが自分自身を閉じ込めている箱はたくさんありますが、そこから抜け出してほしいのです。」
Pointed



OHYUNG

NY・ブルックリンを拠点に活動するエクスペリメンタル・アーティストRobert Ouyang Rusliによるプロジェクト、OHYUNGが新作アルバム『imagine naked!』をリリース。OHYUNGはもともとヒップホップ系のアーティストとして知られていますが、今作ではそこから離れ、別のベクトルで楽曲を作り上げています。今作は72時間という制限した時間の中で制作されたとのことで、OHYUNG自身のその時の感情や想いが込められた空気感が感じられる作品に仕上げています。
アンビエントやエレクトロニカ、ニューエイジ、IDM、ドローンなどを組み合わせた、退廃的で儚げな音像を奏でており、その洗練された美しさは息を呑むほど。アルバム自体、1時間54分という超大作なうえ、1曲目の「my torn cuticles!」は15分、そしてラスト11曲目の「release like gloves!」は37分という楽曲で構成されていますが、徐々にOHYUNGの世界の深淵へと静かにじわじわと引き込まれていきます。幽玄で荘厳な作品ですが、じっくりと耳を傾ける価値にある作品だと思います。


Kate Bollinger

バージニア州拠点に活動するシンガー・ソングライター、Kate Bollingerが最新作EP『Look at it in the Light』をリリース。2019年の個人的なベストEPでも挙げさせてもらいましたが、コンスタントにしっかり作品も出しつつも、しっかりと安定感のある楽曲を作り出す彼女の才能に改めて驚かされました。昨年リリースしたシングルからHeliosやHana Vu、Lauderなどを擁するレーベル〈Ghostly International〉から作品を発表し、そこからの初のEP。
のびのびとした牧歌的なUSインディーや、ヘロヘロなローファイサウンド、サイケデリックなどを組み合わせた穏やかな音楽性がやはりたまらないです。楽曲によってはジャズやソウル、ボサノヴァの要素も取り入れたものもあったりと、Faye Websterと一緒にツアーを回ったのも納得ですね。


English Teacher

UKのリーズ拠点に活動する4人組バンド、English TeacherがデビューEP『Polyawkward』をSports TeamやPip Blomらを輩出した〈Nice Swan Records〉からリリース。最初出てきた時のこのアーティスト名のインパクトや「R&B」といった楽曲名の斬新さに驚いたのはいまだに忘れられないです。
アーティスト名や楽曲名の斬新さだけでなく、もちろん彼らの音楽も実験性とウィットに富んだもの。静と動を組み合わせた素晴らしいコントラストや楽曲構成をさることながら、絶妙な不協和音、ボーカルのスポークンワードなど、それぞれ4人の才能によるハーモニーが、彼ら独特なサウンドを創り上げています。今後もUKのインディーシーンでも注目され続けるバンドであることを証明するには充分なくらいの作品でした。


Lu.Re

ロンドン拠点に活動し”The Neil Radio”のレジデントDJで、シンガー/プロデューサーのLu.Reが、5月にリリース予定のデビューEP『Ruminate EP』からニューシングル「Hold On」をリリース。個人的に間違いなくPinkPanthressやNia Archive、yunè pinkuに続くアーティストです。
ハウス、UKガラージ、2ステップやダブステップといったダンスミュージックのビートに、ジャズやソウルのサウンドを組み合わせたダークでスモーキーな音楽性は最高です。そこにアンニュイでソウルフルな美声が乗っかるというフルコンボ状態で、これやられない人いないのでは??と思うほどです。まだまだUKからはこういった才能に溢れたアーティストがどんどん出てきますね…。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?